「センパイ、好きです結婚しましょう」


「センパイ! 今日もよろしくお願いします!」


「はい、よろしくお願いします」


図書室。いつもの一角(といっても昨日しか来ていないのだが)。私は今度こそセンパイと一緒に二人きりのイチャイチャな勉強会(仮)が始まるわけである。


私は昨日に引き続き数学を解こうとバッグから参考書やらノートやらを取り出す。センパイはというと昨日勉強していた英語ではなく私と同じ数学を取り出していた。


「センパイ、今日は数学なんですね」


「はい。優良さんが昨日の放課後と夜に勉強していたのを見て僕も解きたくなりまして…」


「それじゃ同じですね!」


なんて言いながら私は昨日解いていたノートのページを開く。もちろんノートはセンパイと電話してからも勉強した跡が残っていた。昨日の私えらい。


「はい」


センパイはそう言ってサラサラと問題を解く。そのセンパイに倣って私も問題を解き始める。


しかしすぐに躓いてしまうのが私クオリティである。うーむ。これは大変である。


このままじゃ数学のテスト本当に赤点取らないで済むのかな?! つかこの公式初めて見たんだけど…! え! なんでこの答えになるの?! は? まっっったく分からないんだけど!!


クラクラと頭の上に星を回しながらフラフラする私。そんな私を一目見てクスリ、と笑うセンパイ。笑ってもらえたなら良かったです。


「大丈夫ですか?」


「ダメです。助けてください」


「ふふっ。分かりました」


即答した私にセンパイは快く引き受けてくれて身を乗り出して私のノートを覗き込む。あ、やべっ。ノートの端に丸顔のセンパイ描いたんだった。


バッ、とノートの端を隠すがセンパイには見えていたようにクスクスと笑われる。


「優良さん」


「なんでしょ」


「これ、僕ですか?」


「え…っ、とォ…」


やばい。目が右往左往しちゃう。でもそんな事をしたら「センパイです!」と言っているようなものじゃないか。仕方がないから私はパッ、と手を離してその絵を見せる。


センパイ、といっても丸顔で目は点である。全くセンパイに似合っていなくて本当にごめんなさいである。


「ふふ。可愛らしいですね。それでは…」


センパイはシャーペンを手に取ってサラサラと隣に同じように丸を描き始めた。最初こそは“何しているんだろう?”と思いながら見ているとすぐにそれが私だと気づいた。


「これで完成です」


「これ…っ私ですか?!」


「えぇ」


「めちゃかわなんですが…!」


「わぁぁ!」と歓声を小さくあげながらじっ、と見る。私の描いた(ヘナチョコな)センパイと同じく丸顔だが目はクリクリしていてとても可愛らしい。私だが私よりも可愛い。


「私こんなに可愛くないですよ…?」


「おや。僕にはこう見えてますが?」


「センパイ好きです結婚しましょう」


「ふふ。熱烈ですね」



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