「センパイ、頭いいですね」
「優良さん、そこはこの公式を当てはめると時間短縮になりますよ」
「なるほど…」
翌日。私はセンパイと図書室で勉強会をしてた。本当なら私の部屋で2人っきり、ドキドキな勉強会を開きたかったのだが、生憎ママがいるため断念した。
しかし今となってはママがいてもいいから私の部屋に行くべきだったと後悔している。
まっっっったくイチャイチャが出来ない…!! あれ?! 恋人の勉強会ってもうちょっと…こう、イチャイチャできるもんじゃないの?! 「ここ出来たらキスしてあげますね」とか! お約束じゃないの?! 違うの?! なんかガチな勉強会始まってんだけど!!
なんて思いながらチラリ、と横にいるセンパイの事を見る。センパイはサラサラと自分のノートにペンを走らせる。バレないようにノートを覗き込んでみると英語の勉強をしているようだった。
「センパイ」
「どうかしましたか? 何か分からないところでも…?」
「いえ。…センパイは不得意科目はないんですか?」
「不得意科目…ですか…」
そう言ってセンパイは考える。
数学はさっき私に教えていたから得意だろうし、英語も見たところ躓いている様子はなくサラサラと解いている。国語は恐らくだが、本を読んでいるため得意。理科や社会などは暗記が基本のためセンパイが不得意なわけがないと思う。
結果、五教科全てに不得意科目がないのでは? というのが私の結論だ。
「そうですね…。これといって不得意科目はありませんが…」
「ほらァ!」
「優良さん、図書室では静かに…」
「し、失礼しました…」
周りからの目が痛い…。
「ですがこれといって得意科目もないですよ」
「得意科目なくてもセンパイの場合、全教科が得意科目の点数とってたりして…」
私がそんな事を聞くとセンパイは首を横に振った。「まさか」なんて言っているがその“まさか”が“まさか”になってしまうのがセンパイなんだよな。
「ふふ。そんな事ありませんよ」
それは本当にそうなのか、謙遜で言っているのかが分からないんだよなぁ。
「あっ、優良さん。そこはこの問題の応用なので……」
サラサラとノートに走るセンパイの文字が綺麗だ。分かりやすくポイントも書き込んでくれている。このノートは絶対に捨てない。絶対に、だ。
「正しくはこうですね」
「なるほど…」
ここでハッ、と気づく。
やばい。センパイのノートに書き込む文字に夢中で話聞いてなかった…。
私がそんな事を思いながら慌てているとセンパイは小さく笑ってノートから視線を私の方に移した。
「もう一度説明しましょうか?」
「お、おなしゃーっす…」
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