「センパイ、どうしたんですか?」


「合計で5900円になります」


ネズミーランドにきてお土産代を5900円で収められたのってかなり凄いんじゃ…? なんて思いながら私はお金をお財布から出す。


センパイはどこにいるかというと一緒にいたら私のお土産代まで払いそうな勢いだったから振り切ってきたため分からない(ぬいぐるみも買ってもらってお土産代まで出させるわけがないのに)。


チラリ、と辺りを見渡すと私とは違うレジでお会計をしているセンパイがいた。ちょうどぬいぐるみを袋に入れてもらっていた。

なんだかセンパイみたいなイケメンがぬいぐるみを買っているだけで萌え要素なのに、実は彼女(私)のために買ってるとか…、もう萌えの大爆発でしかない。


「ありがとうございました〜! 良い一日を〜」


レジのお姉さんに会釈をして私はセンパイの元へ向かう。センパイもお会計が終わったらしく、レジのお兄さんにお礼を言っていた。


「センパイ! お待たせしました!」


「優良さん。良かった。会えましたね」


「会えないと思っていたんですか?」


「えぇ。人が多くなってきましたし…。最悪迷子センターに行って探してもらうところでしたよ」


「その前に“携帯で連絡”っていう方法は思いつかなかったんですか…?」


「そうでした、その方法もありましたね」


センパイは楽しそうにそう言って笑うとお土産を持ち直した。センパイのお土産は袋が二つ。美術部、家、長瀬クンにお菓子、そして私にぬいぐるみだけしか買わなかったらしい。


対する私は美術部、家、えみ、バイト先、そして自分とセンパイのお土産。自分とセンパイのお土産は何が入っているか分からないサプライズトイだ。


ネズミーとネズミーの友だちが入っていて誰が入っているかは開けてみてからのお楽しみ、という内容。それにしては値段が安く、一つ500円(税込)であった(四つも買った)。


「さて。帰りますか」


「そうですね」


まだ帰りたくない、なんてワガママを言える訳もなく。私は少しシュン、とした悲しげな表情でセンパイと出口を目指す。その間、センパイが話しかけてくれていたが私の返事は元気がなかっただろう。


それを見兼ねたのか出口前でセンパイは立ち止まった。


「………センパイ?」


「優良さん。少しいいですか?」


センパイはそう言うと近くにあったベンチに荷物を置き、私に手招きをする。そんなセンパイの手招きに誘われ、ベンチに座った。


「センパイ、あの…」


「優良さんはどの動物がお好きですか?」


「え? ………猫、です…」


「猫ですね。わかりました」


ゴソゴソ、と自身のリュックの中を漁るセンパイ。猫の置物でも出てくるのだろうか…?



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