「センパイ、それは恥ずかしいです」
「これと…、これ…」
そう言いながらカゴにお菓子を入れる私。カゴの中に入っているお菓子は人気NO.1の1番安くて小袋がたくさん入っているお菓子だ。これはバイト先、美術部、家へのお土産。
それからネズミーのフィギュアの中に入っているお菓子を一つ。少し高めだけどこれはえみへのお土産。真斗は真斗用のお土産を買わないと怒りそうだけど無視。あいつはいないものだと思う事にしよう。お金もないし。
「あとは…」
クルっ、と辺りを見渡す。するとしばらく見なかったセンパイが少し遠い方で何やらぬいぐるみを見つめていた。……え? あのぬいぐるみ、大きさLLくらいありそうじゃない…? あれ買うの…??
「センパイ…?」
「あぁ、優良さん。どうかしましたか?」
センパイがこちらを見る。そのセンパイが持っているぬいぐるみはやっぱり大きい。
「いや…。そのぬいぐるみ、大きさLLですよね…?」
「はい。購入しようか迷っていて…」
「どうやって持ち帰るんですか…っ! 戻しましょう!」
「ふふっ。優良さんはお母さんみたいですね…」
センパイは笑ってそのぬいぐるみを優しくぎゅっ、と抱きしめた。おい、ぬいぐるみ。その場所変われ。
「私はお母さんじゃないですっ」
「おや。それはそれは…。失礼しました」
「それにぬいぐるみは大きいと持ち帰るのが大変ですよ」
「そうでしたか。……残念ですね…。優良さんへのプレゼントで、と考えていたのですが…」
「うっ」
それならそれで嬉しい気も…。いや、でも電車だと他の人の迷惑になってしまう…! 今日は我慢して数年後、家族になって車を持った時にプレゼントしてもらうって事で…、いやいや! その時にはこのぬいぐるみの取り扱い終わってるから!!(ここまで0.5コンマ)
「本当に残念です。優良さんに喜んでいただけると思ったんですが……」
センパイは一つ一つの言葉を強調してそう言う。
「うぅ…っ」
「このぬいぐるみも優良さんの元に行きたいと言っていますよ? …ね?」
センパイはそう言うとぬいぐるみを再度見た(やだ何その行動。めちゃくちゃ可愛い)。ネズミーのLLのぬいぐるみ。クリスマスらしくサンタさんの帽子と服を来ていて両手で大きめのプレゼントを持っている。
欲しいかって聞かれたら欲しい。
めちゃくちゃ可愛い。家に飾りたい…! ってかセンパイだと思って一緒に寝たい…!!
でも。でも、今日は色々と買ってもらったり、奢ってもらったりしてるから…、と遠慮してしまう気持ちがある。
それをするのは杞憂だと分かっているが。
「プレゼントさせてくれませんか? 優良さん」
「……うぅん…」
「ふふ。遠慮は無用ですよ。その顔を見れば分かります」
センパイはニコッ、と笑ってそう言うとぬいぐるみを大事そうにカゴの中へと入れた。
「…………ありがとう、ございます…」
「その代わり写真を撮らせてくださいね」
「おっと。それは恥ずかしいのですが…」
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