「センパイ、嬉しいですか?」
「あっ、あの…っ! センパイ…っ」
私の声は震えていた。
はぁっ、と吐く息が白い。
「なんですか?」
「私も、センパイに…っ、プレゼントあって…っ」
そう言ってガサゴソッとリュックの中から袋がよれないようにと大切に入れておいたプレゼントを取り出す。
あれ? これ…センパイのプレゼントよりも全然しょぼいんじゃ…、なんて一瞬不安が過った。
「これ…。センパイのプレゼントには遠く及ばないんですけど…」
「プレゼントですか…?」
「はい…っ」
今思ったけど、プレゼントで携帯カバーって良かったのかな? プレゼントってそれぞれ意味あるらしいし、携帯カバーってどんな意味があるんだろう…? “あなたが嫌い”とかそういう意味だったらどうしよう…! センパイ、ネックレスくれたんだから私はリングとかにすれば良かったかな…。センパイに幻滅されたら…。
考えすぎて頭がクラクラし始めた私を他所にセンパイはプレゼントを受け取り、キラキラとした目で「開けていいですか?」と聞いてくる。
あぁ、センパイ。そんなにいい物じゃないからそんなキラキラした目で見ないで…。
コクン、と頭を縦に振る。
そしてセンパイは携帯ショップで買った時に入れてもらった白い袋からオーガンジーの包みを取り出す。
二重に巾着がしてあるタイプのため、中はまだ見えない。
だけどドキドキは増加していって今にも心臓が口から飛び出しそうだ。てか飛び出てる。
センパイはオーガンジーの袋を丁寧に開き、そして中に入っているプレゼントを取り出す。
「これは…」
半透明の白い携帯カバー。やっぱり白は無難すぎただろうか? センパイなら黒の方がシックで良かったかもしれない。
「携帯カバーですね。しかも白」
「は、はい…っ。すみません、こんなので…」
私がそう言って俯き気味にセンパイを見るとセンパイは先程となんら変わらないキラキラとした目でこちらを見てきた。
「“こんなので”、なんて言わないでください。僕の携帯カバー、買った時から変わらないので古いんですよ。優良さん、そんな細かいところまで見てくださってて…。あっ、だからこの前携帯の機種を聞いてきたんですね」
センパイ、テンションが上がっているのだろうか? いつもよりも喋る量が多い気がする。
「そうなんです。それで…、私も買ったんです」
私はリュックから初期こん包だけされているピンクの携帯カバーを取り出す。
「お揃いなんですね…!」
「はい…。それで…、その…」
気に入ってくれましたか?
なんて聞かずとも分かる。だけど聞きたくなってしまう。するとセンパイはそれを悟ったのかこう口を開いた。
「ありがとうございます。とても嬉しいです」
「本当ですか…?」
「はい。2つになりましたね」
「2つ…?」
「優良さんとのお揃いのものです。この携帯カバーと、クマのキーホルダー」
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