「センパイ、100話目ですよ!」
「あらら…、結構並んでますねぇ〜…」
シューティングゲーム、通称“ネズミーとシューティングゲーム”の場所に来たはいいものの、待ち時間90分。だがしかしホラーエリアで乗った絶叫アトラクションの120分よりはマシだろう。といっても30分しか分からないが。
「そうですね。意外と人気なのかもしれませんね」
「参加賞貰えますし!」
「ふふ。結城さんもそれが目当てですか?」
「だって気になるじゃないですか!」
「そうですね」
なんて話をしながら私たちは列に並び始めた。
ネズミーとシューティングゲームがあるエリアは今までのエリア(ホラーや海など)とは一転。ポップな雰囲気が漂っている。お店の外装はバルーンアートで使いそうな風船でできていて、あちこちに風船が風になびいていた。
そしてネズミーとシューティングゲームも例外ではない。バルーンアートで使いそうな風船で出来た家に私たちが入るような作りになっていて、中の構造も全てバルーンアートで使いそうな風船である。よくよく見てみると天井に釣らされているのはバルーンアートだった。ウサギや犬、何かのキャラクター(ネズミー?)などがいた。
「なんだか可愛いですね」
「そうですね。バルーンアートがコンセプトなよでしょうか…。本当にひとつの施設とは思えないくらいたくさんのコンセプトがありますね」
「ですよね! まだまだあるなんてびっくりです」
ポップコーンを食べながらそう言うと列は以外にも早く進む。といってもまだまだ先は長いだろうが。
「こんな風にバルーンアートの風船を見ているとバルーンアートやってみたくなりますね」
「僕やった事ありますよ」
「え? 本当ですか?」
「えぇ。中学生の時にリクリエーションで」
「私! 私の知らない時のセンパイは地雷です!!」
そう言って耳を塞ぐ。といってもやはりセンパイの声は聞こえるもので、クスクスと笑う声が聞こえる。
「あッ、でも私の知らないセンパイも知りたいというか…」
耳から手を離して両手の指先同士をつんつんする。
「それでしたら卒業アルバムがありますので今度家に来てください」
「え! センパイって卒アル見せられる人種ですか?!」
「え…っ、ええ。まぁ…」
「まじっすか…」
「結城さんは見せられないんですか?」
センパイが不思議そうに首を傾げながらそう聞いてくる。その質問に私はもげる勢いで首を縦に振る。
「当たり前じゃないですか! 卒アルなんて黒歴史ですよ! そんな黒歴史を人様に見せられませんッッ!」
「ふふ。そんな事言われたら結城さんの卒業アルバム見たくなりますね」
「いや、マジ勘弁してください…」
まじで今と別人なのよ。
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