「センパイ、早いですね!!」
「さて。ご飯も食べ終わりましたけど、次どこ行きます?」
と、完食したシーフードパエリアのお皿を見つめながら私はセンパイにそう聞く。するとセンパイは「そうですね…」と言いながらバサリとマップを広げた。それを私は覗き込むように見る。
午前中で結構行っていたとは思っていたが、まだまだ行っていないエリアが多い事に驚く。本当に広いんだな、ネズミーランド。
「僕的には景色を見てゆっくりもしたいですが、結城さんはどうですか?」
そう聞いてくるセンパイに私は首を縦に振った。そりゃせっかくネズミーランドに来たんだからアトラクションに乗りたいという気持ちはある。
それでも、それよりも景色を見たいと思うのはきっと相手がセンパイだから。
「いいですね! 景色見ましょ!」
そうと決まればどこのエリアが一番景色がいいのだろうか。そんな事を思いながらマップを覗き込むとセンパイがとある場所を指さした。
「そろそろパレードが始まるんですよ。ここから見るといいらしいです」
センパイが指さしたのは川沿いの道。センパイ曰くパレードはその川から広い湖に出る流れらしく、丁度センパイの指さした川沿いの道は狭いながらもよくパレードが見られるらしい。
最も、一番良く見えるのは湖を一望できる観客席らしいが。
「それじゃ次はパレードですね!」
「はい」
それにしても昼間のパレードとはどういうものなのだろうか。ネズミーランドには家族や友人で何度が来た事があるが、パレードをしっかり見た事なんてなかった。
ある意味初めての体験である。
昼間のパレードは光を使うのだろうか。いや、でも昼間だから光を使っても見えないよな…。それなら紙吹雪とか…。いやいや、紙吹雪なんて使ったら後片付けが大変になるし…。
なんな黙々と一人で考えているとセンパイが声をかけてきた。
「どうかしましたか?」
「いや…、どんなパレードなのかな? って不思議に思いまして。普段来た時はパレード、見ませんから…」
「そうでしたか。ふふ、それならより一層楽しめますね」
「はいっ!」
それから食べ終わったお皿を片付けて私はセンパイと一緒にお店を出る。
それからしばらく歩き、パレードが見られるという川沿いの道まで歩く。そこに着くともう既に人は何人かいて、時間を確認している事からきっとパレード待ちの人たちだろう。そんな人たちと混ざるように私たちも場所を確保する。
「パレード楽しみですね!」
「えぇ。今回のパレードはクリスマスイメージらしいので楽しみです」
「クリスマスイメージなんですね! 確かにもう12月ですもんね」
「えぇ、早いものです」
「ほんとそれなです」
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