第27話 コードA発動!

『太陽の塔とリンクしますか?』


 だ、誰だ?


『私は、Aタブレット№1。太陽の塔とリンクしますか?』


 え、あ、えええ? はい?


『承諾した。太陽の塔とのリンクを構築します』


 な、なんだ、どうなった? お、俺は赤いオーガと・・・


『リンクが構築されました。システムを最適化します』


 ウダユウ、トト、キリは大丈夫なのか?


『最適化に成功しました。イチマツとAタブレット№1のシンクロ率が0%から32%に上昇しました』


 ダメだ、意識が保てない。


『緊急事態を確認、イチマツの意識喪失5秒前、Aタブレット№1のアクセスを認めますか?』


 ・・・・・な、何?


『Aタブレット№1のアクセスを認めますか?』


 は、はい。


『アクセス許可を確認しました。コードAが発動します』


 そして、俺は意識を失った。




ーーキリ視点ーー


 私は足がすくんで立ち上がることもできない。


 赤いオーガはウダユウを吹き飛ばし、イチくんの一撃をものともせず、片手で彼の首を締めつけていた。


「イチくん! いああああぁ!」

「ギリ、と、トトをつえて逃げ、がふっ」


 イチくんが逃げろと言う。


 ウダユウがピクリとも動かない。

 かすかな呼吸を確認できるだけだ。


 トトは全身の毛を逆立て、赤いオーガを威嚇するが、腰が引けていた。


 ポポ様は何処?

 頼みの神様の姿が見あたらない。


 視線を戻すと、イチくんはグッタリとしていた。


 ああ、イチくんが・・・


 トトは、けたたましく鳴き、

 一心不乱に赤いオーガに向かって駆けていく。


 赤いオーガはイチくんを放り投げると、金棒を振り上げた。


「トト! ダメエエエエ!」


 私は顔を背ける。


 ガッキイイイイーン!


 甲高い金属音があたりに反響した。


 イチくんが、オーガの一撃を大きな鎌で受け止めていた。

 彼はトトを庇う様に立ち塞がる。

 その両肩から、ゆらゆらと黒い陽炎が見えた。


 大きな鎌は弧を描くと、

 赤いオーガの片腕と金棒が飛んだ。


『グオオオオオオオオオオウ!』


 絶叫を上げるオーガの表情は歪む。

 圧倒的な存在であった立場は逆転した。


 い、イチくんがいない!

 気づくと彼の姿が見えなかった。


 赤いオーガは彼を探す。


 シュッパーン!


 赤いオーガの体躯は崩れる。

 両足の膝から下が切り飛ばされていた。


 イチくんの上半身が赤いオーガの影から出ていた。

 スキル潜影で、膝下を刈り取ったのだ!


 ドサリッ!


 彼は赤いオーガが倒れるのを避けながら影から飛び出す。

 ゆっくりと対象に近づき、大きな鎌を振り抜いた!


 ゴロゴロ! 赤いオーガの首が転がる。


 すると突如、ポポ様がイチくんの前に出現した。

 彼女は、指先で彼の額に触れた。

 彼は脱力したのか膝から崩れ落ちる。

 黒い陽炎も大きな鎌も、うたかたに消えた。

 彼女はやさしく彼を受け止めた。


「キリ、エリアヒールをするのじゃ!」

「は、はい」


 私は震える体をなんとか抑え、エリアヒールを展開した。




ーーイチマツ視点ーー


 目が覚めるとトトに顔を舐められていた。


 ・・・記憶が戻ってくる。


 俺は跳ね起きた!


 ここは? ポポの庵か・・・


「やっと起きたかの」

「お、オーガはどうなった?」

「お主が倒したのじゃ」

「・・・俺が?」


 ポポは鍋の火に薪を焚べていた。

 ウダユウとキリは寝床に横たわっている。


「ウダユウとキリは大丈夫なのか?」

「寝ておるだけじゃ」


 ポポは鍋の蓋を取ると湯気が立った。

 お椀に粥をそそぐと、それを俺に渡した。


「七種の薬草粥じゃ。体にやさしいぞ」


「・・・まったく憶えていない。

 俺は負けたんじゃないのか?」

「お主はコードAを発動させたのじゃ」

「・・・コードA?」

「Aタブレット№1とシンクロしたんじゃよ」

「ど、どういうことだ?」

「簡単に説明すると、

 太陽の塔から送られた力が、

 モノリスの因子を通じて重なりあったのじゃ」

「・・・それで、どうなった?」

「モノリスの因子、

 その力がお主に宿り、相手を倒したのじゃ」

「あの化け物をか?」

「そうじゃ。覚醒が始まったのじゃ」

「いやいやいや、ちょっと待て。全滅しかけたぞ!」

「大丈夫じゃ、ポポがおる」

「・・・え?」

「最悪の場合は、転移魔法で逃げたのじゃ」

「・・・そう言うのは、はじめから教えろよ」


「七種の薬草粥が冷めるのじゃ」


 腑に落ちないが、粥を流し込んだ。


 あ、ああ、うまい! うまいぞ!

 五臓六腑に染み渡る。

 なんて、やさしい味なんだ!


 全部、粥を胃に流し込む。

 空のお椀をポポに突きだすと、

 ポポは嬉しそうな顔をして、おかわりをよそった。


「美味いかの?」

「ああ、美味い!」


 って、おい、違うぞ。


「危険なときは教えろよ!」

「・・・こじ開けたのじゃ」

「こじ開けた?」

「モノリスの因子、

 その力を引き出すには、

 ギリギリの極限状態が必要なのじゃ」

「俺は、まったく記憶にないぞ!」

「Aタブレット№1を見てみるとよい」


 俺はAタブレット№1を意識する。

 胸元に透明の板が出現した。




 イチマツ 人族 15歳 男 

・因子スキル

 カード化  LV0 0/100

 スキルデッキLV1 0/50

 インベントリLV1 0/50

・職業スキル

 影法師   LV5 0/30

・派生スキル

 気配遮断  LVMAX

 無音歩行  LVMAX

 影縛り   LVMAX

 潜影    LVMAX

 影騎士   LVMAX


 スキルポイント:3295.54P


・エクストラスキル

 身体透過

 デスサイズ召喚 new!


・Aタブレット№1 シンクロ率:32% new!

 コードA発動条件:HP残量32%以下

 HP残量32%以下本体許可要す・HP残量3%以下自動発動



_________________________________________



 お読みいただきありがとうございます!

 これからもよろしくお願いします。


  評価をいただけたら幸いです。

  感想もお待ちしております。

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