第23話 幼女は飴玉が好きです。
転移魔法陣を家の地下室に設置したって事は、
毎日帰って来れるじゃないかと、今、気付いた。
ポポの庵と、ここの地下室が開通するのだから・・・
一週間分の保存食を用意してしまった。
「なあ、ウダユウ、毎日帰って来れるんじゃないか?」
「ああ、そうだな。毎日帰って来れるだろうな」
「トトは、ポポちゃんちに泊まりたい!」
「私は、ポポ様を家に招いて料理を食べてもらいたいわ!」
女子は自分の願望を口にする。
買ってきた保存食は眼中にないらしい。
まあ、いいか保存食だし、なんかあったらあかんし、
非常食として活躍するだろう。
「さて、んじゃポポの庵に転移しますか!」
「ポポちゃんにはやく会いたい!」
トトだけは友達に会いにいく雰囲気だった。
タブレットを出し、転移の項目を出す。
『ポポの庵』に転移しますか? とある。
俺は実行を押すと、魔法陣は光だした。
ポポの庵に転移した。
辺りを見渡すと、ポポの姿が確認できた。
幼女はにっこり笑って、俺らを迎えてくれた。
スッさ、と、ウダユウとキリがポポに跪く。
2人は、干し肉を幼女に捧げた。
トトは、ポッケから飴玉を取りだしグイっとポポに向ける。
土地神幼女のポポ様は飴玉を受け取った。
なんだこの流れは?
ウダユウとキリは悔しい表情を浮かべている。
トトがポンッとポッケを叩くと、また飴玉を1個だした。
おおおお、っと幼女がトトにすり寄って行く。
トトの圧勝であった。
俺は飴玉で神(幼女)を釣る瞬間を見せつけられた。
「よく、まいったのじゃ」
と、ホッペをぷっくりさせてポポは言った。
うむ、やっぱしポポの印象はあまり変わらない。
こいつ大丈夫か? と疑問を抱いてしまう。
ウダユウ達が、どうしてそんなに崇めているのか?
理由がイマイチわからない。可愛いからなのか・・・
「ポポ、俺が弱いことを理解した。強くなりたい」
「どーしたのじゃ? 随分やる気になったのう」
俺はマーク・キャンベルと饕餮について話した。
何もできないまま、
怯えて驚異が立ち去るのを待つことしか出来なっかた。
「ほほう、饕餮が現れたか、それはそれは難儀じゃった。お主はよく生きていたの。さすがモノリスの因子じゃ」
「そんなにヤバイ奴か?」
「うむ、戦闘能力は協力者の中でも上位じゃな。あ奴が本気で対処したら、命はなかったかもしれん。運がよかったの」
運がよかったか・・・
「ポポ、饕餮と対峙した時なんだが、派生スキルの気配遮断をカンストさせた。それで【身体透過】が生えたんだ。そういうものか?」
「まさに運がお主に味方したのじゃ。派生スキルをカンストさせるとエクストラスキル獲得の資格が得られる。じゃが、条件が揃わんと獲得できんのじゃ。・・・その【身体透過】は物理無効じゃな。凄いスキルじゃの」
お、おう、本当にギリギリだったのか・・・
「じゃが、そのスキルには弱点がある。【神眼】持ちには気をつけるのじゃ」
なんだよ【神眼】持ちって、何でも見えそうだな。
「ポポがそうじゃ、
【神眼】を持っておる。激レアなのじゃ」
え、しれっと自慢しよった!
ウダユウ達が、感嘆の声を上げる。
なんと素晴らしい。と、さらに幼女を崇めた。
「どんな能力なんだ?」
「よく見えるのじゃ」
・・・そりゃ、よく見えるだろうよ!
え、俺はからかわれているのか・・・
「じゃから、お主と相性がよいぞ。そのうち誰もお主の姿を捉えられなくなる。影法師はそういう職業スキルなのじゃ。スキルが暴走したら、誰にも見つけられんじゃろ。ポポを頼るしかないの」
何! なんだスキルの暴走って?
「モノリスの因子は特異なスキルが発現するのじゃ。暴走を止められないと厄災となるの」
重大発言きたあああああ!
何それ、俺はポポから離れちゃ駄目じゃないか!
暴走ダメ、絶対!
「ぼ、暴走するのか?」
「お主は、暴走しても大丈夫だろうとポポは考える、良い仲間がおるからの、闇堕ちはせんじゃろ」
「暴走はどうやって止める?」
「ポポが見つけて、仲間が癒やすのじゃ」
「イチちゃん、トトが絶対癒やすからね!」
「わ、私だって治癒士だし、頑張るんだから!」
「イチ、厄災になっても俺はずっと一緒にいてやる!」
う、ウダユウさん、厄災にはなりたくありませんが・・・
ともかく、みんな、ありがとう。
「イチマツよ、モノリスの因子は互いに引き寄せ合う。マークじゃったかの、そやつと邂逅するのは必然じゃ。協力者が饕餮と言うことは、おそらくコードCじゃな」
コードC? 確か俺はコードAだと言っていたな。
「コードCってなんなんだ?」
「うむ、お主は、Aタブレット№1じゃ。コードAと呼ばれる。マークはCタブレットの適合者じゃな。じゃからコードCとなるの。あくまで予想じゃぞ。ポポも直接見ないとわからんよ」
それは、なんとなく分かるのだよ。
なんで、AやらCが存在するんだ?
「AとCの違いは?」
「簡単に説明するとの、タブレットは太陽の塔で開発されたのじゃ、開発者の違いじゃよ」
うーん、ますます意味不明なのだが?
「開発者とはなんだ?」
「はるか昔、太古の話じゃ。
・・・ポポが知るよしもない」
ポポはトトに飴玉を要求した。
再び、ホッペをぷっくりさせる。
「それからの、コードAの者はお主の味方じゃ。コードCは厄災の討伐で協力することもあるが、国造りが本格化すれば敵対者になるのじゃ」
えっと、混乱してきた。
モノリスの因子にはAやらCがあり、
同じAなら味方となる。
Cと協力しながら厄災を討伐するが、
国造りで敵対する。
しかし、モノリスの因子が暴走すると、
厄災になる可能性がある。
俺らはそれを討伐しないといけない。
「あの~、俺らが国を乱しているってこと?」
「イチマツ、それは違うの。
国が乱れるとモノリスの因子が出現するのじゃ。
そして、最も優秀な因子が太陽の塔へと導かれる」
・・・どういうことだ! 導かれたらどうなる?
ポポは立ち上がり、
足元まで来ると俺を見上げながら、
両手を広げた。
え、何、ポポの加護でもくれるのか!
ようやく俺も貰える?
「抱っこ」
「えっ」
「抱っこするのじゃ」
「あ、はい」
俺は幼女を抱っこする。
幼女はビッシと天を指差した。
その指先は仄かに光、花吹雪を出現させる。
「イチマツよ。王となるのじゃ!」
「「「なっ!」」」
静寂が辺りを制し、ひらひらと花びら舞う。
突如、ポポの庵に拍手が巻き起こる。
ウダユウ、トト、キリは狂喜乱舞した。
「降ろすのじゃ」指示通りにすると、
幼女は、タタタッと駆けていく。
ウダユウ達の和に加わり、一緒に騒ぎだした!
「イチちゃんは、やっぱり王子さまだった!」
「イチ君に、絶対着いていくわ!」
「イチ、太陽の塔に絶対に連れて行くからな!」
「飴玉、飴玉が欲しいのじゃ!」
おい、お前ら・・・
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お読みいただきありがとうございます!
これからもよろしくお願いします。
評価をいただけたら幸いです。
感想もお待ちしております。
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