第22話 新たなるモノリスの因子?
フラッポ商会の馬車が見えなくなるまで動けなかった。
心臓がバクバクと激しく鼓動する。
死にかけたぞ。
タブレットで気配遮断スキルを上げなければアウトだった。
レベルカンストで生えたスキルが役にたったな。
【身体透過】はスキルポイントを消費しなくても使えた。
スキルにレベルがなかったからだ。
なぜだ? そういう仕様なのか・・・
派生スキルカンストボーナスなのかもしれない。
或いは緊急処置? ・・・ポポに確認だな。
即使用可能で助かった。
あんな召還獣は反則だと思う。
マーク・キャンベルはカンゾウ親分の推測通り、
モノリスの因子か厄災かもしれん。
この先、あんな化け物ばかりを相手するのだろうか?
ちょっとどころか、かなり引きますけど・・・
インザキの諜報活動は失敗に終わったが、
マーク・キャンベルと遭遇したのは大きかった。
しかも、その使役する魔獣に襲われたしな。
カンゾウ親分に報告して今日は撤収だ。
座会本部の地下室まで行ったがカンゾウ親分は不在だった。
仕方ないので明日にでも報告しよう。
家に戻ると、トトがまだ起きていた。
「イチちゃん、お疲れ様」と言う。
え、まだ起きてたの?
「ただいま、こんな遅くまでどうした?」
「イチちゃん、帰りが遅いから待ってたの」
「ああ、ごめんごめん、ちょっとな」
マフィアのドンことカンゾウ親分の仕事をしてたって、
うーん、言えないよな。
でもだ。トトはもちろん、ウダユウやキリに内緒ってやだよな。どーすっかな、カンゾウ親分の手伝いをしてるって言えばいいか。俺のスキルが役に立つから個人で依頼を受けてるってのはどうだろうか・・・親分に相談だ。
マーク・キャンベルのこともある。
あいつは危険だ。その情報だけでも共有しないとだな。
驚異を認識して、その対応をせねば、この先がやばい。
少しだけなら、話してもいいだろう。
スキルレベルは、確実に上げていかないと詰む。
仲間達も同様に強化しないとだ!
ポポに会いに行くべきだと思う。
俺はポポから貰った、
転移魔法陣のスクロールを取りだした。
「トト実はな、今日とんでもないもんに出くわした」
トトは、俺の隣に腰掛け話の続きを聞いた。
「モノリスの因子か厄災かもしれない。それに遭遇して襲われた。今の俺らじゃ敵わないと思う」
「け、怪我はなかった!?」
ベタベタと俺の身体を確認するトト。
「イチちゃん! 1人で危険なことしちゃ駄目だよ」
そうなるよな。ごめんトト、
嘘はつきたくないが、
できる限り、お前らの安全を優先させてもらうぞ。
「怪我はない。無傷だよ。
でも、ポポが言ってた通り俺は弱いと認識した」
俺はマーク・キャンベルと召還獣の話をした。
召還獣を目撃した時、背筋が凍り、何もできなかった。スキルのお陰で事なきを得るが、この先が不安なことを説明した。
思い出すと、また体が震えた。
トトは俺をギュッと抱きしめてくれた。
「イチちゃん、大丈夫だから、トトが守るんだから!」
思わず抱き返してしまった。
「トト、ありがと、俺はもっと強くなるからな」
次の日、ウダユウとキリにも同様の話をしたら、メチャクチャに怒られた。
説明がしどろもどろすると、その追求は激しくなる。
座会の依頼だったと話し、マフィアの件はなんとか伏せることができた。2度と1人で依頼を受けるなと釘を刺される。
うむ、当分の間はマフィア案件は難しいかもしれん。
「イチ、ポポ様のダンジョンに行くんだろ」
「そうだな、長期で滞在したい」
「じゃあ、準備が必要だな」
俺らは買い出しに出かける。
長期の計画だから各所に報告しなければいけない。
冒険者ギルドにはウダユウが、座会には俺が行くことにした。
座会本部の地下室で、
カンゾウ親分に直接報告することができた。
「饕餮を召喚しただと! 本当か?」
「はい、たしかに饕餮と言ってました」
ん、親分は饕餮を知っているっぽいぞ。
「神獣だ」
「はいっ?」
「それは、神獣だ。召喚ではない」
神獣とな、なにそれ?
「ポポと同類だ」
「で、では、モノリスの因子?」
「間違いない」
神っぽいのに攻撃されてたのかよ。
無茶苦茶だな!
いやいやいや、ポポと同類だと・・・
かなり禍々しい雰囲気だったぞ!
あれが敵対者って可能性もあるのか?
圧倒的な力の差を感じた。
でも反則じゃね!
んでも、ありなのか、協力者としてありなのか?
うちのポポは幼女にしか見えないが・・・
ひょっとして、とんでもなく強いかもしれん。
「現状の俺らでは、太刀打ちできません。
ポポの元へ、明日から行こうと思います」
「そうか、仕方あるまい」
「カンゾウ親分、実はですね。昨日の件、饕餮の驚異を共有する為、ウダユウ達に座会から依頼を受けてると話しまして、なんとか追求を躱しましたが、1人で依頼を受けるなと、ひどく怒られました。も、もちろんマフィアの情報は伏せてあります」
「そうか、イチマツご苦労だったな。
それで問題ないが、仕事はこなして貰うぞ。座会の依頼として、お前ら全員に働いて貰う」
おお、それならば大丈夫かな。
「今後、裏側の案件も多くなる。お前はスキル特性を生かせば、なんとかなるだろ」
え、なにそれ、仕事が増えた?
ぬお、これも運命なのか・・・
「ポポの元から帰還したら、すぐに戻ってくるんだぞ」
「は、はい、親分!」
それから少々雑談を交わした後に、
「トトは怒ってなかったか?」
「へっ?」
「お前を危険に晒したからな」
「し、心配はされましたが」
「・・・そうか・・・トトをあまり心配させるなよ」
え、カンゾウ親分がそれを言いますか・・・
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