第10話 ダンジョンでスキル会議と、

 ダンジョン:ポポのお花畑に潜っていた。

 ポポのお花畑で入手できる素材は幾つもある。


 冒険者ギルドの受付嬢のマリエに斡旋してもらった依頼の多くは、ポポのお花畑で採取できる素材だった。


 俺らのモチベーションはかなり高い。

 本格的にダンジョンに潜るのは初めてだからだ。

 今回は3泊のプランで準備をした。


 スキル獲得し、装備を一新した。

 テントや寝袋等も新品だ。


 ギルドマスターには、あまり目立つなよと言われたが、C級相当の装備やアイテムだから、大丈夫。

 うん、きっと多分だがな。


 新装備の鉄槌を持ったウダユウは強力だった。

 そこいらの魔物は敵じゃない。

 ウダユウが挑発をすると、魔物は踊りかかってくるが、鉄槌の一撃で屠られていく。ぺっシャンコだ。


 トトは躍動する。獣戦士はフィールドを駆け周り魔物の攻撃を寄せつけない。的確なステップを繰り返し、常に有利な位置取りをする。対象は何もできないまま、その首を落とされる。


 ウダユウの挑発で魔物を引き寄せ、トトが蹂躪する。

 俺とキリは戦闘の出番がなかった。

 ひたすらドロップアイテムを拾い続ける。


 D級の魔石がザクザク、手に入った。


 時折りタブレットでスキルポイントの数値を確認する。

 かなりポイントが換算されていた。

 今晩のキャンプは、みんなでスキル会議ができるな。


 俺らは冒険者ギルドの依頼を3つ受けている。


・朝露の葱・・・10本

・ギシギシの根・・・15本

・月花・・・1本 


 薬草採取だ。

 朝露の葱とギシギシの根は、半分は採取できていた。

 この2つに関しては今日中にも必要本数は達成するだろう。


 問題は月花である。

 ポポのお花畑で入手できると言われているが、誰も発見できていない。古い文献にその存在が記されているだけだ。


 何年も前からある依頼で、依頼者は蒐集家の貴族様だ。

 また、依頼料も高設定な為、依頼の達成は評価に直結するとマリエさんが断言していた。しかし、なければ仕方ない、幻の依頼だ。そもそも実在しないかもしれない。と付け加えた。


 そして、俺らの目的もここにある。

 土地神様のポポを探さないといけない。




 順調に狩りをしながら、3層まで降りてきた。


 3層は草原エリアである。

 噂で聞いてはいたが、それを目の当たりにすると驚きは隠せない。ダンジョンなのに空がある。昼夜もあり、夜になるとアンデッドもポップすると聞いていた。

 魔物は相変わらず、ゴブリン・コボルト・ウルフだが、これに昆虫系の魔物が加わった。


 魔物がスキルポイントにしか見えない。

 薬草を採取しながら、かなりの魔物を屠った。

 素材も月花以外は、規定数に達した。


 空も赤みがかってきたので、

 セーフエリアを探しテントを張った。


「ウダユウ順調だな」

「ああ、月花は無理そうだがな」


 ウダユウは笑みを浮かべて、焚き火に枯れ木をくべる。


「みんな、集まってくれ」


 トトとキリがテントから出てくる。


 スキル会議である。


「スキルポイントが貯まってきた。いまからスキル会議を開催する。はい、パチパチパチッ」


 パチパチパチッと、みなが拍手する。


 まずは、ウダユウからだ。



 ウダユウ 人族 15歳 男

 スキル

 重戦士   LV1 0/30

 商人    LV0 0/30

 挑発    LV1 0/10

 スキルポイント:57.25P


 57ポイントもある。

 ウダユウはタブレットを覗く。


「イチ、重戦士に30ポイントだ。新しくスキルが生えたら、それに振る」

「OK、わかった。んじゃ、やるぞ」


 重戦士に30Pを加算するとLv2なった。

 新たにスキル【鉄壁】が生えた。


 ウダユウに確認すると【鉄壁】に10P振るように言われた。

 【鉄壁】がLv1になった。


 ウダユウは立ち上がると、盾を構え鉄槌を振り回す。

 ヴォン、ヴォオンと、鉄槌が風を切る音がした。


 おいおい、重戦士がLv2になって、さらに力強くなった? 鉄槌って、あんな風切り音がでるものなのか・・・


 んじゃ、トトだ。


「トトはどーする?」

「イチちゃんに責任取ってもらう」

 

 ニヒヒと、笑顔だ。


「ん、61ポイントあるな」

「一緒に考えて」


 トト   銀猫獣人 15歳 女

 スキル

 獣戦士   LV1 0/30

 豪運    LV1 0/10

 連撃    LV1 0/10

 スキルポイント:61.58P


「んじゃ、獣戦士に30P、豪運に10P、新しく生えたスキルがあれば、だな」

「うんうん、イチちゃんに任せた」

「あいよ」


 獣戦士に30Pを加算すると【ウォークライ】が生えた。

 トトに自己バフだろうと説明し、承諾の上10Pを振った。豪運にも10Pを加算してレベルを上げた。


 続いて、キリだ。


「キリはどーしようか?」

「ヒールにレベルを上げたいかな」



 キリ   ハイホビット族 15歳 女

 スキル

 治癒士   LV1 0/30

 付与魔法士 LV0 0/30

 ヒール   LV1 0/10

 スキルポイント:56.19P


「治癒士はどーする?」

「じゃあ、治癒士も上げて見る」

「OK」


 治癒士に30Pを加算すると【リラックス】が生えた。

 ヒールに10Pとリラックスに10Pを振りレベルを上げた。


 ウダユウに【リッラクス】について聞くと、状態異常を緩和する効果があり、その汎用性は高く、通常時でもかなり効果があると聞いた。


 レベルが上がり、はしゃぎまくっていたトトを呼ぶ。

 フンス、フンスと、鼻息が荒い。


 予想通りだ。トトはウォークライを使用していた。興奮状態である・・・なんと都合のいい。


 キリに目配を送る。こくりとキリは頷くと【リラックス】を唱えた。


 範囲効果があるのだろうか、俺も穏やかな気分になる。


 フンス、フンス、フーと、トトの呼吸が整っていく。


「キリ、これはいいな。俺まで気分がいいぞ」

「ふふふっ、どーいたしまして」


 んじゃ、俺の番だ。


 イチマツ 人族 15歳 男 

 スキル

 スキルデッキLV0 0/50

 インベントリLV0 0/50

 影法師   LV2 0/30

 気配遮断  LV1 0/10

 無音歩行  LV1 0/10

 スキルポイント:106.21P


 スキルデッキとインベントリが気になっております。

 まずは、インベントリにポイントを50P振った。


 すると、インベントリの横に▲マークが表示された。

 その▲をタップすると、表示が▼になり、その下部に文字が展開した。


『積載量500㌔ 個数制限1/1,000』


 どういうことよ。


 一緒に眺めていた。ウダユウがつぶやいた。


「マジックバックみたいだな」

「なぬ、そうなの?」

「ああ、きっとそうだぞ」


 俺はインベントリを意識する。

 おお、なんか使い方がわかるぞ。


 小石を拾い、インベントリに出し入れした。

 俺のサックも試す。OK、成功だ。


「ウダユウ、インベントリはマジックバックみたいなスキルだわ」

「これはすごいぞ。手荷物なしで探索可能だ。それに素材やアイテムの持ち帰れる量が増える」

「おお、いいな。いいスキルが取得できた」 


 ん、知らぬアイテムが1個入ってる。


 おもむろにそれを取り出すと、

 それはカードホルダーだった。


 おお、覚えてるぞ。

 密閉空間で発見した木箱に入ってた物だ。


 カードホルダーには3枚のカードが収まっていた。


 鑑定士カード

 土使いカード

 召喚士カード


 なんだろうか、スキルだろうと思うが・・・

 ウダユウと、そのカードをまじまじと見つめる。


「イチ、スキルデッキってのが関係あるんじゃないか?」

「なんで、そう思う」

「カードゲームで使用するものだが、カードデッキってものがある」


 ほほう、そんな単語があるのか、さすがウダユウさんは博識だ。


「んじゃ、スキルデッキにポイント振ってみるか」


 スキルデッキに50Pを加算すると【カード化】が生えた。新しくスキルが生えたのはいいが、必要スキルポイントは0/100だ。ポイントが足りない。


「【カード化】は、やけにコストが高いな」

「強力なスキルで間違いないと思う」とウダユウ。




 俺はスキルデッキを展開する。


 目の前にデッキが出現した。


「まさにカードデッキだ」とウダユウがつぶやく。


 俺は鑑定士カードを取り出し、スキルデッキの中央にある枠にカードを置いた。


 するとタブレットが反応する。


 俺ら4人の名前が点滅していた。

 とりあえず、イチマツを選択する。


『鑑定士LV0 0/50 習得にはスキルポイント50が必要です。習得しますか?』


「ウダユウ、これってスキル習得できるって書いてあるな」

「イチ、俺もそう読めるぞ」


 ポイントを消化したので新たに習得はできないが、無限の可能性が想像できた。


 そして、俺とウダユウは、あーだこーだと夜遅くまで語りあうのであった。


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