第5話 レッドキャップだと!

 D級ダンジョン:ポポのお花畑!

 とぼけた名前だ。その、ポポとはなんであろうか?

 我が家の知恵袋、ウダユウさんに聞いてみた。


「ポポってのは精霊神だ。昔の土地神だな」

「んで、ポポって土地神は、このダンジョンにいるのか?」

「いるわけないだろ、昔の神話だよ」

「左様でございますか」


 どうやら神話由来である。


「神の名を冠するダンジョンって、上級ダンジョンじゃないのか?」

「神様にもいろいろある。多分、ポポは忘れられた神だな。人々の信仰が神様の格を上げる。信者がいなくて消滅したかもな。まあ、このダンジョンのどこかに祠があるかもしれん」


 へー、と。相槌を打つ。


 ポポとは、土地神であったか。




 まあ、そんなことより魔物の討伐だ。

 さくさく狩って、スキルポイントを獲得せねば。

 ここは、まだ第一層だし、もっと深くへ潜るのだ。


 次々とゴブリンを屠っていく。

 次々とウダユウが受け止め、

 次々とトトの一撃で仕留めていく。


 お前ら、強さはなんなんだ。そんなにも、か!

 おい、俺の出番はどこにいった!


 Aタブレット№1のスキルポイントの推移を見ながら愚痴をこぼす。


 うむ、出番はないが、わかったことが2つある。


 まずはスキルポイントだ。ゴブリン1体で0.3ポイント加算された。パーティー全員に0.3ポイントだ。

 次に、トトの豪運さん。ラストアタックをすると8割の確率で魔石がドロップする。


 ちょうど、さっきのゴブリンで10体目となる。

 スキルポイントが各々に3ポイント加算された。

 魔石は8個となった。


 いやいやいや、魔石って滅多に落ちないからね。

 10体狩って、1個ドロップしたらラッキーなんだから。


 トトさんの豪運が異常なんです。


 大活躍のトトが、また、褒めて欲しそうにこちらを振り向く。子供か!


 だがなトト、あまり褒めるとキリの機嫌が悪くなるような気がするんだ。先程、トトの頭を撫でてたら、キリと目があって、ぷんってされたんだよ。伝説少女を怒らせちゃいけないと思うんだ。


 軽く無視すると、トトの尻尾がだらんと下がったことは見なかったことにしよう。





 んむ、驚愕の収益である。

 え、俺らの1ヶ月分以上がこんな短時間で稼げた。

 そもそも10体を討伐するなんて、以前は不可能だった。

 それを、ウダユウとトトで軽くやってのけた。


 俺らの1日の生活日は20セン、1人5センってところだ。

 もちろん安宿と安飯での話だ。

 ゴブリンの魔石は最下級ではあるが、そのドロップ率の低さから買取単価100ゼニはする。それが8個で800ゼニになる。

 ちなみにゴブリン右耳の単価は10センだ。普通のD級冒険者なら1日5体倒せれば大の字だ。


 今晩は、肉が食べれるぞ。


「なあ、ウダユウ。とんでもなく効率がいいな」

「あ、ありえないドロップだぞ。どうなってんだよ」

「今日は、この第一層でいいかもしれん」

「ああ、そうするか」

「状況の変化が激しすぎて、みんな集中力が散漫になっているしな」

「俺も、その意見に賛成だ」

「トト、今日は肉の日にするぞ。んでな、キリのスキルポイントが4.19Pなんだ。あと20体ゴブリンを狩れば、10P貯まる。我がパーティーにヒールの恩恵がもたされる。がんばれるか?」


 トトの尻尾が垂直にピンッと跳ねた。


「に、肉の日になるの?」

「ああ、そうだぞ」

「トトは、がんばる!」

「キリもそれでいいか?」

「もちろん! 私もはやく役に立ちたい」

「ウダユウ、そういうことで行きますか!」

「おう、ガンガン狩るぞ!」



 ダンジョンにポップするゴブリンを狩り尽くしていく。

 ちょうど、20体目を倒した時に、それは現れた。


 大きさは普通のゴブリンと変わらない。赤い帽子をかぶったゴブリンだった。その右手には錆びついたナイフがあった。


 そいつは腰を低く落とし、こちらの動向を窺う。


「おい、ウダユウ、変なゴブリンだな」

「不味いな、あれはレッドキャップだ。おそらくゴブリンを30体連続して狩ったから、ポップした」


 なにその現象?

 そういうものなのか・・・


「レッドキャップはB級の魔物だ」

「んな、・・・大丈夫か?」

「イチ、Aタブレット№1でスキルポイントを振ってくれ」

「あ、ああ、わかった」


 貯まったスキルポイントをウダユウに振る。

 ウダユウの【挑発】がLV1になった。


 すかさずウダユウはレッドキャップを【挑発】する。


 ビックッと反応したレッドキャップは、ウダユウに襲いかかった。その速さになんとか対応するが、浅い傷が無数ついていく。


 続けて、キリの【ヒール】をLV1にした。


 キリは待ってましたと間髪入れずウダユウにヒールをする。

 浅い傷はみるみると回復するが、レッドキャップの攻撃は止まず、新たな傷がついていく。


 ウダユウの影から応戦するトト。

 【連撃】をLV1にした。


 レッドキャップはトトの攻撃を器用に捌いていたが、戦況が変化した。トトの繰り出す連撃すべてを回避できずにダメージを負いはじめる。


 キリの連続ヒールでウダユウが安定する。落ち着きを取り戻し、レッドキャップ攻撃に順応しはじめた。


 俺は【気配遮断】と【無音歩行】を展開しレッドキャップの背後に回った。奴は気づいていない。必勝パターンだ。


 剣で背後からレッドキャップを貫いた。

 戦闘が止まった刹那、トトがレッドキャップの首を刎ねる。


 レッドキャップナイフ

 レッドキャップカード

 B級魔石


 3点がドロップした。

 おい、レアドロップじゃないか!



_________________________________________



 お読みいただきありがとうございました。

 これからもよろしくお願いします。


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