第4話 伝説少女現る

 パーティー登録、おめでとうございます。

 拍手、パチパチパチッ。

 お客様にはスキルポイントがございます。

 お好きなスキルをどうぞ、お選び下さいませ。


 やったね、みんな!

 俺を崇めろ。フハハハッ。




「んじゃ、ウダユウからいくか」

「お、おう、どうするんだ」

「スキルポイントってあるだろ。そのポイントを30ポイント、スキルに振ればレベルがあがる。ウダユウの場合は重戦士か商人だ」


 いいね、重戦士は盾役にピッタリじゃないか、商人ってガラじゃないだろ。

 でもあれか適正があるから表示されるんだっけ?

 うむ、そんな気がする。


「重戦士だ。イチ頼む」

「OK、んじゃ、重戦士に30P」


 ウダユウ 人族 15歳 男

 スキル

 重戦士   LV1 0/30

 商人    LV0 0/30

 挑発    LV0 0/10

 スキルポイント:2.25P


 おお、スキル、【挑発】が生えた。

 まさにタンクじゃないか!


「な、なんか力が漲る」


 なぬ、重戦士だからか、俺の時はそんな体感なかったぞ。


「イチ、ありがとな」

「おう、よかったな。重戦士の武器ってなんだろ?」

「鉄槌だな」

「厳ついな、細マッチョでギャップ萌だ」


 ウダユウは、すでに俺の話しを聞いていなかった。

 盾を構え銅の剣を、ブンッブンッと、やってる。

 金貯めて、鉄槌に装備変更せねばあかんな。


「トト、おいで」


 すさっと、トトはタブレットを覗き込む


「イチちゃん、なんて書いてあるの?」

「トトは獣戦士と豪運だな。スキルポイントが46あるから、どっちもいけるぞ」

「ふふふっ、イチちゃんにまかせる。責任とってね」

「なんだよ、責任って。とにかくレベル上げるぞ」

「ん、お願い」


 トト   銀猫獣人 15歳 女

 スキル

 獣戦士   LV1 0/30

 豪運    LV1 0/10

 連撃    LV0 0/10

 スキルポイント:6.58P


 トトにもスキル、【連撃】が生えた。

 だが注目するのは【豪運】だ。なんか、羨ましい。


「トトも、トトも力が溢れてる」


 ほほう、トトも、であるか。


 ぴょんぴょん跳ね回る、その高さに驚く。

 え、トトさんや、それは異常じゃないか。

 身体能力が著しく伸びたのが一目瞭然だ。


 「じゃあ、キリだな」


 って、キリさんの種族に注目せざるおえない。

 ハイホビットってなんぞ?


 キリはタブレットを、じっと見ている。


「なあ、キリ、ハイホビットなのか?」

「え、なにそれ、私はホビットだけど」

「ハイホビットって書いてあるぞ」


 なんや、キリさん、知らんのかい。


「ウダユウ、ハイホビットって知ってる?」

「まじか!ハイホビットって伝説だぞ」


 はい、きた、伝説少女現る!

 どういうことよ、それ。


「頭、大丈夫か、ウダユウさん」


「お前が言うな。・・・ハイホビットは太陽の塔の住人のはずだ。古き時代の種族だよ」


 ん、んん、太陽の塔。

 そこへいけった言われた気がするが、

 ・・・ん~、いまはそこじゃないか。


 ふむ、キリを見る、このかわいい地味っ子が伝説少女。


「キリ、伝説らしいぞ」

「と、言われても。イチ君がいいなら、いいんじゃない」


 え、なんなんそれ、意味不明の返答。

 キリはニヘッと笑った。


「オホンッ、それはともかく、キリは治癒士と付与魔法師だ。どっちがいい」 

「治癒士でお願い」

「うむ、じゃあやるよ」


 キリ   ハイホビット族 15歳 女

 スキル

 治癒士   LV1 0/30

 付与魔法士 LV0 0/30

 ヒール   LV0 0/10

 スキルポイント:1.19P


 これは、予想通り、【ヒール】が生えた。

 LV0で、まだ使用できないだろうが、とっても素晴らしい。ヒーラーがいるパーティーなんて、まさに一流!


「私は、なんだろ、力が溢れる感じはないかな。んー、でもなんだろう、体が癒やされたかも」


 伝説少女は癒やされたかー。

 その笑顔に俺も癒やされるわー。




「おーい、トト!戻ってこい。探索すっぞー」




 冒険者で言うところの、スキル持ちは、一流と呼ばれる。ランクで言えばB級からだ。C級上位からチラホラと散見されるようになる。


 C級からB級には、大きな壁がある。壁とはスキルのことだ。多く冒険者は、その壁を越えられない。血の滲む努力をしても届かない。才能がなければ到達できないのだ。


 種族的に見て、トトは鉄板だった。希少種であり、銀猫獣人だ。その身体能力は反則級である。スキル獲得は確実だと思われた。だから、俺らにとって彼女は希望の星そのものだった。


 ただの人族である俺やウダユウには、望みが薄かった。それでも努力はしてきた。日々の鍛錬も毎日欠かさずやっている。その結果、衣食住だって最低限から少しづつ向上してきた。


 でもだ、全員がスキル持ちになった。こんな夢のようなことはない。状況が一変する兆しが見える。


 さてさて、タブレットに全員がパーティー登録できた。

 スキルポイント制が適用されてしまった。

 もうこれD級ダンジョンは余裕じゃねえかと思うぞ。


 誰もが浮かれ気分だ。それはそうだ。スキル所持者なんてB級冒険者の証なんだから、このまま最下層まで行けるじゃないかと思われる。


 うむ、これは、方向性を示さなければいかん。


 んだ、俺らの冒険は始まったばかり、それにスキルのレベルも上げないとだ。

 スキルポイントは魔物を倒すと貰えるはず、それをしっかりと確認しなければ。


「ウダユウ、多分だがスキルポイントの獲得は魔物を倒すことだと思う。さっき、俺のスキルポイントが少し増えた」

「おお、んじゃ、いっぱい狩るとするか」


「トト、ラストアタックは任せる。豪運がどう作用するか試したい」

「わかった、イチちゃん」


「んじゃ、行くかー、俺らの冒険へ」

 

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