第8話 0008「ツミ」
前の続き。
キラキラと流れ行くモノは、地球の衛星軌道に載って宇宙を彩る。
そんな軌道上に、何十億もの人類が暮らし始めてから80年近くになる。
ただ、その頃の地球には、多くの屍が浮遊する地獄であった。
ゴゴゴゴゴゴゴォォォー!!シューン!!シュシュッ!!
昼間のインド洋上空に、幾つモノ火球が降る。
それを、美しいと称賛する者と膝待ついて嘆く者とが、海岸に集まっていた。
そこに、杖をつく背が曲がった老婆が呟いた。
「我が子孫たちが、帰って来たわい。立派になって、帰って来たわい。婆さんは、今も此処にいるどぉ。バカ息子たちがぁ~。」
と、天に上がらない腕を震わせながら、抱えようとする。
ジリリリリリリリィィ~~~!!
「アル~!!起きてんの~!!朝御飯を食べなさぁ~い!!」
通勤途中の青年が、その声に和みを感じ通り過ぎていく。
そんな中、サイド6では幾つものニュースが、世間を賑やかにさせていた。
「中立コロニーで、何故?モビルスーツ戦が起きたのか?」
「何故?このコロニーだけ、悲劇を味わうコトに?!」
街頭スピーカーで、反戦運動を行う車。救助活動を続行している市民。
窓からウルサイと生タマゴを投げつける中年婦人。
1キロ先の死臭に気付かない方々、無頓着なのは相変わらずなのだ。
ゴゴゴゴゴゴゴォォォーーーーーー!!!!!
コロニーのミラーに、赤い彗星が過る。
8秒もない間隔なので、気付かない光景。
そのアトを白く輝く星が、流れていく。
「ええぇ、定刻バスが動かない?」
「はい。先日のテロの影響で、当分はぁ~?!」
「じゃあ、シャトルかぁ~。ありがとう。」
「申し訳ございません。出来れば、社員チケットを。」
「おぉ、有り難いが。シャトルなら、顔パスなんだ。御厚意に感謝する。」
スペースコロニーの港口の搭乗カウンターで、そんなやり取りがあった。
数基のスペースコロニーで、成り立っているサイド6。コロニー内の移動は、主にモノレールかバス。隣接コロニーへの移動になると、バスが活躍しているが。事件や事故が起きると、運休になるよう組まれている。ただ、カーゴ用シャトルは、ライフラインの為に自衛強化され移動は容易い。
「中尉、高熱源反応確認。」
「早いなぁ~?他の部隊かぁ?」
「総帥の命で、この辺にはウチらしか居ません。」
「しゃぁねぇ~!!定刻より10分切り上げる!!艦に伝達。気付かれたって!!」
フェザー付きのザクIのモノアイが、真っ赤に点る。
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