第6話   0006「メーデー」

0005の続きとします。


タッタッタッタッタッタッー

薄暗い施設の廊下を走る音が、頭に響く。

息が騰がって、苦しい表情を魅せるのコロニー公社のスタッフ。

廊下の壁に設置されている基盤に、緊急時用非常回線と書かれたシールが見える。

その下には、有線の受話器が蛍光色で目立っていた。


「ハァ、ハァ。メーデー!メーデー!コロニー公社通信員のイザナギ!こちら、コロニー公社通信員のイザナギ!大至急で繋いでくれっ!!」


男の声は、廊下に響き渡り、終いには泣き崩れた。




静かな黒海に、細かい鉄屑が星のように流れ行く。


ガガッ! ジィッ! ズズッ!


ミノフスキー粒子が少しでも浮遊していると、無線はノイズの嵐。

サイド6へ向かう、地球連邦政府軍所属のマゼラン艦1隻が航る。


「ああぁ~、上のモンはケチケチしてんなぁ~。」

「しゃあないだろ?!税金の無駄遣いは、御法度よぉ~。」

「ジャブローから受け取った御荷物、御古のガンダムっつうし。」

「まぁ、ここでドレスアップして結果が見えないけど?同伴の方、ニュータイプかもよ?」

「ひえぇ~!?怖い怖いっ。」


二人のメカニックが、コンテナチェックを眺めながら、煙草を吹かしていた。


「はいそこっ!!さっさと、オレの棺桶を組み立てろっ!!」


若い青年が声、大尉のバッチが二人を固まらせた。

そう、彼が同伴者。アヤノ・アヤノ大尉、22歳。


彼は、幾度の出撃を潜り抜け、多くの戦友の屍を越えて、今に至る。

数時間前に、ハワイからジャブローへ。そこで間も無く打ち上げ。

過密スケジュールをこなすと、誰でも嫌気をさすでしょう。


「大尉っ!!」


アナハイム社のワッペンを貼ったメカニックが、手を挙げている。

堅苦しそうな髪型に眼鏡、管理職独特の淡白なアクションを魅せていた。


「装備の説明をしますので、ノーマルスーツに着替えて下さい。モンブラン製のイイヤツですので。」


と、円満の笑みで話をし始めた。内容な開発途中のモノが大半で、彼の心は折れていた。



続く

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