幼馴染と妹と荷物持ちの俺(下着売り場にて)

まあ、ゆきは成長期だからしょうがない。

そもそも基本的に二人暮らしの俺達は、お金の管理を俺がしつつ、家事などは分担してこなしていた。

ゆきが困らないようにお小遣いもきちんと渡していたし、必要になったら言うようにしていたのだが、なぜだか分からないが、ゆきはゆきで俺に遠慮をしているようだ。

だが…

「ねぇ、とーや、これはどうかな?」

試着室から出てきたのは、ほんのり頬を赤く染めたひなであった。

しかも少々過激な下着を試着して、御自慢の胸を張って俺に見せ付けてくる。

「うわぁ〜、ひなちゃん大胆だね」

ゆきが褒めると調子に乗ったひなは、鼻息を荒げながら俺に詰め寄って来た。

「どうどう?

とーやは、このひなちゃんの悩殺下着姿にコーフンした?」

「それ以前に下着姿で試着室から出てくるんじゃねぇよ」

「ふぇ?」

ようやく状況を理解したのか、まぁ、周りは女性しか居なかったので幸いであるが、ひなは顔を真っ赤にして試着室へと戻って行き、カーテンを勢いよく閉めた。

「まぁ、似合っていたぞ

だが、ひなの下着なんぞ見ても俺の鋼の精神を崩すことなぞ出来んぞ」

嘘である。

もう少しで試着室へと連れ込んで、口では言えないようなセクハラする所だった。

ゆきが隣にいたので、自制心が強化されたのだ。

「ふ、ふーんだ

似合ってるなら、私もコレ買おっかな」

「そうしろ

ゆきも遠慮なんてせずに好きな物を買いなさい

そもそも今日はお前がメインだ」

「うん、じゃあ私選んでくるから、ここで待っててね」

こんな所にお兄ちゃんを置いて行かないで欲しいのだが…

「ゆきちゃん行った?」

声がしたので振り向くと、試着室からひなが頭だけ出していた。

「ひな、さっきはサンキューな」

「良いってことよ

私ととーやの仲だからね

でも、ちょっと恥ずかしかったかな」

「周りから見れば痴女だろ」

「うぅ…

やっぱり…」

「ま、まぁ、立派に育ってるみたいだし、俺も眼福だったから気にするな」

その言葉にひなはジト目になりながらもすぐに表情を変え、ニヤニヤと笑みを浮かべた。

「じゃあ、とーやは見物料として、この後お昼御飯を奢る事ね」

「あいよ、まあ、元々そのつもりだったから別にいいけど…」

「え、そうなの?

じゃあ、とーやも気に入ってるみたいだし、この下着買って貰おうかな〜なんて…」

「OK、どうせならそのまま着たままでいいぜ

店員さーん」

「と、とととーや!?」

ひなは慌てて止めようとするが、俺はさっさと会計を済ませる。

ゆきの会計も改めてするのだが、まあいいだろう。

「ぐぬぬぬ、とーや、おぼえてろよー」

「ちゃーんと覚えてるよ

お前の着けてる下着は目に焼き付けてる」

「とーやのエッチ!

全く、もぅ…」

本当に俺には勿体ない友人だよお前は…

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悪友で親友で俺の大切な幼馴染(♀) ロタ @suiren0704

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