第15話

ローグは敵対組織のリーダーであるシュウのいつも居るであろう所属部隊の場所を確認しながら、おそらくゼロが直接シュウと接触しようと思うのではないかと考えていた。

事実、ゼロは、リーダーのシュウとの直接コンタクトを考えていた。

どうすれば良いのか?

ローグ自身もリーダーに直接アプローチが正解だろうとは思っている。

組織もそれほど大きくはないようなので、多分そのほうが手っ取り早いだろう。

ゼロもそう思うに違いない。

彼を相棒に選んで間違いはなかった。ローグはそう確信した。


オレはローグの考えなどわからないままに、パソコンで資料を閲覧し続けた。

おそらくローグもオレと同じ、敵のリーダーから攻めたほうが良いと思ってくれるに違いない。そう思っていた。

「ローグ」

オレはローグに語りかけた。

「シュウのよく行く、基地の外にあるバーに言ってみようか?」

シュウの行動記録を見ながら言う。ローグはそれをきいて、少し顔を曇らせた。

「わたし、あの雰囲気が嫌なのよ」

オレはそれを聞いて笑いだした。

「仕事だぜ!」

「そうだけれど、酔っぱらいがたくさん居るわ」

「それでも行かないと、仕事が終わらない」

ローグは渋々と肩をすくめると、納得したのか、軽く頷いて、寄りかかっていたテーブルから、身体を離した。

オレはパソコンからバーの情報を脳内のメモリーにコピーすると、ローグの手を取って、部屋をあとにした。


お酒の時間まではまだ数時間はある。やることは山盛り状態だった。

まずは武器の用意。

ローグやオレには、はじめから体内に武器が仕込まれているが、この武器は少々使用に厄介な点があるので、通常は使いにくいから使わないのだ。

手で使える、小型の傾向武器が居るのだ。

この種類の武器はサイボーグ体を一発で壊せるほどの威力はない。だが、足止めや目くらまし程度には使える。

使い方による。

「ローグ、武器って何処にあるんだ?」

「ゼロ、アンタ、本当は馬鹿なの?」

「なに?」

「わたし達の仕事は隠密なのよ?堂々と武器の支給なんて受けられると思うの?」

ローグはオレを鼻で笑ったのではないかという気がした。

オレはごく当たり前のことも気が付かない馬鹿だった。

「サトナカに頼むしかないのか」

オレはまだ、あのサトナカが信用できずにいた。

サトナカはまだなにか、オレ達には本当のことを言わずに隠しているような気がする。

「そうね、やっぱりサトナカ准尉に頼まないといけないかも知れないは」

「必要なリストを上げてくれ、オレがサトナカに頼む」

サトナカと接するのは、注意したほうが良いのかも知れない。

オレは資料のホルダーを閉じてロックをかけると、大きく行きをしてから、とりあえず時間つぶしに出かけた。

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