第11話 戦乱の惑星11 作戦指示2
サトナカの声は落ち着いていた。
作戦内容が、頭に入りやすいように、声のトーンを調整しているのだ。
しかし、作戦指示などは、チップに直接送り込んでくればいいのに、音声で伝えるのは、サトナカの趣味だろうか。
今回は小手始めという意味なのだろう、簡単な作戦だった。
基地の敷地内に集会を開いている反乱分子を、内部から解体せよというものだった。
リーダーの名前はシュウと言う。
サブリーダーはサントスと言うコードネームだ。
30人のメンバーが居る。
構成員一人ひとりまでは調査が出来ていないので、名前は不明だ。
このチームは、ハッキングが得意で、基地内の機密を、他の組織に漏らして、活動資金を稼いでいる。
それを叩けと言う指示である。
具体的な作戦指示はなかった。
サトナカ准将は、特性をみる為のテストだと言った。
それにより、今後の任務での、指示が決まるのだとか。
サトナカ准将は、オレ達を信用していないのか。
それとも本当に作戦のコマとしての実力を測るためだけなのだろうか。
ローグがオレをつついてきた。
「ゼロ、サトナカを信じていいの?」
頭の中の、秘話通信である。
おそらくサトナカにもハッキングされていない。
「さあな、オレは彼のおもりじゃないんだぜ」
オレも秘話通信で返す。
ハッキングされている形跡はない。
それだけでも、サトナカは、信用に値するのかも知れない。
今までのオレの上司は、嫌なやつばかりだったし、部下を信用していないから、このような通信も、常にハックされていた。
サトナカは、少なくとも、自分の部下を見張るようなことはしないのだろう。
裏切ったら、その時はその時、とでも思っているのだろう。
「あなたがおもりだったら、息が詰まりそうね」
ローグは言って、笑った。
サトナカから、脳内チップにデータが転送されてきた。
確認して、さらにコピーを取る。
内容は、口頭で説明された通りのものだったが、ターゲットの組織の幹部連の映像が入っていた。
3人分あった。
小さなグループなのだ。
一人は女だった。
やはりサイボーグ体だったが、いい女の雰囲気があるなと、オレは思った。
特殊作戦に従事することの多い人物らしい。
あとの2人は男だった。
こちらはこの女の部下ということになっている。
ということは、特殊作戦に従事してきたということだ。
少人数だが、精鋭とでも言うのか。
「手強そう」
ローグはまた、秘話通信で話しかけてきた。
ハッキングはされていないだろうが、電波は監視されていると思ったほうが良いから、当然、秘話通話が多ければ、怪しまれたりもするだろう。
「ローグ、集中しろよ」
ローグはオレの意図を察してくれたようで、通信を切った。
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