第10話 戦乱の惑星10 作戦指示1

ブリーフィングルームに入ると、先客が2人いた。

こちらも男女のペアだった。

階級も同じ。

おそらく作戦要員と言った所だ。

つまりは、同じ穴の狢(おなじあなのむじな)だった。


こいつらもサイボーグであるが、より金のかかった機体である事は、オレの目にも明らかだった。

ローグもそれを見て取って、「良いボディーね」と声をかけた。


相手は2人ともこちらに顔を向けて、「有り難うございます」と、口を揃えていった。

会場に用意された、サイボーグ用の椅子に腰をかける。

サイボーグは体重が重い。

常人の2倍はあるから、椅子は特殊なものが使われるのだ。


「わたしはローグ、こっちはゼロよ」

ローグはオレの紹介までしてくれた。

「あなたたちは?」

まず男の方が口を開いた。

「わたしはダブです。よろしく」

と言って頭を下げた。

「わたしはネーラです」

女の方が、胸に右手を当てて、お辞儀をする。

「ダブとネーラね」

ローグはまるで、新しい友達が出来たという様子で、嬉しげな雰囲気で、ダブとネーラに声をかけた。


待ち合わせの時間になる前に、サトナカ本人が入ってきた。

サトナカは、威圧感のある、独特な雰囲気を漂わせる男である。

先ほどオレが会った時は、オレが目覚めたばかりだという事も有って、その威圧感を感じる事が出来なかった。


サトナカしか入出しなかったところを見ると、この組織は本当に小さなものなのか、それとも、秘密主義で、作戦ごとにチーム別に指示を出しているだけなのだろうか。

メンバーが捕まっても、組織の全容を、尋問などで離す事の危険を避けるために、そうしているのかもしれない。


だが、それだったら、なぜ、このようにして、会って指示を出す必要があるのか。

脳内のチップに、直接指示を送れば良いのではないか?

そうできない、何か特殊な事情があるのだろうか。


サトナカはゆっくりと壇上に登ると、こちらの見据えた。

「初めてだね」

口を開いた。

オレにとっては初顔合わせでは無かったが、他の連中はそうでは無いのか?

オレだけ特別扱いとは、何かやらせる気かな?

オレは余計な勘ぐりをするのをやめて、サトナカの方を注視し、次に何を言うか注目した。


「ダブ、ネーラ、ローグ、そしてゼロ」

オレ達の名前を言って、一人一人確認するように、顔を確かめた。

明るい部屋でサトナカを見るのは、初めてだった。

ライトに照らされたサトナカの姿は、やはり機械の身体、サイボーグ体だった。

やはり顔も、機械化されていた。

サイボーグ体の上に、大きめの軍服を着ていた。

軍服は、緑色掛かった、アーミーカラーだった。


「早速だが作戦を伝える」

サトナカの声は、重く響いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る