第9話 戦乱の惑星 9

召集がかかった。

頭の中に、メッセージが流れてきたのだ。

「1430時に第13ブリーフィングルームに集合」発信元はサトナカ准将だった。

直接情報を送っても、大丈夫なのかな。

オレはサトナカ准将の姿を思い出しながら、疑問を抱いた。

基地内ならば、ハッキングの心配が無いとでも思っているのだろうか。


ローグの所にも、もちろんメッセージは届いていた。

「第13ブリーフィングルームって、何処にあるの」

ローグはオレに聞いてきたが、無視した。

なぜ無視するのか、どうして答えてくれないのか、そう文句を言いながらも、オレの後ろをついて来る。


オレは面倒になって、仕方なく答えてやる。

「自分の頭のマップを見ろよ」

頭の中のチップには、ちゃんとマップデータが送られてきているのだ。

ローグのチップ内にも、データが有るはずである。

オレは彼女に、データを検索させて、自分でも、マップを表示させてみた。


基地中央棟の3階、北側の2番目の部屋。

それが第13ブリーフィングルームだった。

ブリーフィングルームは全部で13個ある。

それぞれがならんでいるわけでは無く、基地内の各所に点在していた。

意味のある配置では無く、単に空き部屋を、ブリーフィングルームにしているだけだったのだが、位置もわかりづらく、使い辛いのではないかというのが、オレのイメージだった。


「わかりづらいわね」

ローグの感想である。

彼女は服の襟が気になるらしく、頻りにさわりながら言った。

ローグの服は、戦闘防御服とも呼ばれる戦闘服だった。

これは、鎧のような役割を果たす防御力が高い服装で、生身の身体を保護するためのものだった。


このような服を着用しているという事は、ローグの身体の一部は、いまだに生身だという事なのだろう。

オレは少しだけ想像してみたが、あまり色気の有るものではないと気が付いて、妄想を、頭から追い出した。


「なんかイヤラシい視線を感じるな」

ローグがオレの様子を見て、勘ぐった。

オレは素早く視線をずらすと、惚けて見せた。

「なに考えていた?この服の下?」

この女、人懐こいと言うよりも、ちょっとズレてるな。

まだ、出会ってから数十分の相手に、数年来の友達のような感覚で、親しげに話す事が出来るのだ。

かなりのコミュニケーション能力だと言えるだろう。

オレは、この女の感覚がわからなかった。

だが、こういう接しられかたは、嫌いでは無かった。


それ故に、錯覚してしまわないように、覚悟を決めて接しなければならなかった。

錯覚とは、例えば恋愛感情である。

ローグがオレに好意があるのでは無いかとか、そういった勘違いの事である。

オレもさすがに子供では無かったが、ここまでべったりと接しられると、錯覚してしまいかねない。

気を付けるにこした事は無いが。

そんな事を考えながら歩いていると、いつの間にか目的のブリーフィングルームに着いてしまった。

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