第三十七章 砂漠に追放された祭司
第三十七章
次にハルシャ王子が目を覚ましたのはベッドの上だった。ルハーニはハルシャ王子より先に目を覚ましていた。そしてハルシャ王子が良く知っている誰かと話をしていた。
「アニル!」
ルハーニの向かい側に
「アニル!兄上とアジタ
ハルシャ王子は
「話はルハーニから聞きました。というより何もかも知っていたと言うべきでしょうか?それより
アニルがそう話しているところに誰かが来た。
「アニル殿。」
男は部屋に扉がなかったが、一応その場で立ち止まって中に入る許可を待った。
「クールマ、シェーシャ!」
ルハーニは駆け出して男に近づこうとした。
「ジェイ
アニルが言った。ハルシャ王子は思い出した。その男は王宮の
「自由じゃ!」
「これで魚くさい
クールマとシェーシャが言った。シェーシャの一言が
「てっきりあやかしの
アニルが二匹に
「アニル、どうしてジェイ
ハルシャ王子が
「
アニルが尋ねた。
「いいや、知らない。」
ハルシャ王子はそう答えた。
「実は一ヶ月ほど前、
アニルが説明した。
「本当に盗んだのか?」
ハルシャ王子は一応確認するため尋ねた。
「まさか!私は
アニルはやれやれといった調子で言った。
「僕は何も知らされていなかった。」
ハルシャ王子は自分だけ除け者にされていたような気がしていた。
「関係者以外誰も知らないことです。
アニルは
「そういえばさっき、ルハーニに知らされる前から何もかも知っていたようなことを言っていたな?どういうことだ?」
ハルシャ王子は
「ご心配なさっているようなことはありませんよ。」
アニルはそう言うと、おもむろにテーブルの上に置かれている
「ここはどこだ?」
ハルシャ王子がアニルに尋ねた。
「タール
「これが
話を聞いていたクールマが後ろから口を挟んだ。
「ええ、そうです。グッジャラ国の
クールマを
「私はスターネーシヴァラ国から
ジェイ
「戻るって、どうやって?
ハルシャ王子が言った。
「私は
王宮ではあなたがいなくなって大変なことになっているらしいですね。それにラーケーシュ君も。でもラーケーシュ君は無事
ラーケーシュ君がアジタ
あとはあなたが私を連れて戻るだけです。本当はアジタ
アニルはそう言うと、持っていた
「さあ、帰りましょう。」
アニルはおどけた
水が
『合言葉を唱え、行き先を告げよ』
「これは…」
そう口をついたのはシェーシャだった。
「これが何か分かるんですか、
アニルがシェーシャに目を向けた。アニルは名前を知っていながらシェーシャとは呼ばなかった。いつものシェーシャなら怒るところだが、アニルに対してはそんな気にならなかった。
「これは
シェーシャは何かに怯えるように静かな声で言った。
「その通り。」
アニルはシェーシャに向かってそう言うと、今度はハルシャ王子に向かって言った。
「一番小さい円の中に入ってください。指一本でもはみ出すことのないように。後で後悔することになりますから。」
アニルはそう言って円の中に入った。次にジェイ
「ハルシャ王子、大丈夫です。」
ジェイ
「ルハーニもどうぞ。置き去りにして行く訳にはいきませんから。」
アニルが言った。
「ルハーニ、行こう。」
ハルシャ王子がそう言うと、ルハーニは
「よし、準備はいいね?」
アニルは三人と二匹を見回しながら言った。そして大きく息を吸い込むと言った。
「開けごま!スターネーシヴァラ城!」
青い
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