第三十五章 救出
第三十五章 救出
真夜中に、
「ラーケーシュ様?」
聞き覚えのある声だった。
「ナリニー!」
ラーケーシュは立ち上がった。声の主は間違いなく聞き慣れたナリニーのものだった。
「ナリニー、どうしてここに!?」
「
「無事だ。ナリニー、ここはどこなんだ?城はどうなってる?」
「ここは王宮の北の
「王宮!?ここは王宮の中なのか!?」
「ええ。すぐに助けが来ますから安心してください。」
「何で王宮に…。」
ラーケーシュはつぶやいた。
その時、物音がした。ナリニーとラーケーシュは息を
「ナリニー、
ラーケーシュが声を
「分かりませんわ。階段を下りたはずですが、
「ラエはいつもこの時間帯に食事を運んでくるんだ。食事の準備をしてやって来たのかも知れない。」
「どうしましょう!」
「明かりを消すんだ。」
「ああ!どうしましょう!このランプ、階段のところに掛けてあったから持って来てしまいました。」
「ええっ!?」
ラーケーシュはうろたえた。
「きっと私がここに入って来たのが知られていますわ。」
急ぎ足で階段を下りてくる音が聞こえてきた。
「いいから、明かりを消して。私が気を引くから隙を見て一気に階段を駆け上がるんだ。」
ナリニーは力強く
階段を駆け下りる足音と共にランプの明かりが見えてきた。ラエが新しいランプを持ってやって来た。ラーケーシュは気が気ではなかった。
「そこにいるのは誰だ!?」
ラエが
「うわああ!」
ラエがさっきまで
「ナリニー、逃げて!」
ラーケーシュは叫んだ。ナリニーは急いで階段を駆け上がろうとした。けれどラエは見逃さなかった。ナリニーの手を捕まえた。
「きゃあああ!」
ナリニーの悲鳴が
「ナリニー!」
ラーケーシュは牢の
その時、二つのランプの明かりが階段を駆け下りて来た。ソミンとチャカだった。
ソミンとラエ力比べのように
ソミンは
また力比べになると勝ち目がないと思ったソミンは身をかわしながら一撃を
「
ソミンは息を切らしながら言った。ラエは
「チャカ
「はい。」
今までナリニーと同じように
「ありがとうございます、ソミン
ナリニーが言った。ソミンは
「ありがとうございます。」
ソミンは
「行きましょう。事務室でお話を伺いたい。」
ソミンはそう言うとナリニーからランプを取って階段を登って行った。ナリニーとラーケーシュは後に続いた。
ソミンはラーケーシュ、ナリニーを連れて王宮にある自分の事務室に行った。ソミンは二人を中に入れ、椅子に座らせるや否や質問攻めをした。
「私はハルシャ王子
ソミンはナリニーに目を向けた。
「私は
「ナリニー、よく五人の居場所を突き止めてくれた。しかもその内一人の後をつけ、見事ラーケーシュ殿も見つけてくれた。
ソミンは
「ラーケーシュ殿、
今度は
「私にもはっきりとは分かりません。おそらくタール
ラーケーシュはそう言ってからチラリとナリニーの顔を見た。まだ何も知らないナリニーはラーケーシュが無事に見つかって喜んでいる様子だった。これからナリニーの耳に例のことを入れるのかと思うと心が痛んだ。ラーケーシュはナリニーがラージャ王のことを思っていることを知っていた。けれど後で他の誰かから聞くよりこの場で話すべきだと思った。
「私は重大なことをお伝えしなければなりません。」
ラーケーシュは言った。ソミンは注意深い目でラーケーシュを見た。
「ラージャ王とアジタ
シャシャーンカ王はスターネーシヴァラ国に攻め込むつもりです。アジタ
その直後、ハルシャ王子と私は
ハルシャ王子はアニル様を呼び戻すためタール
ラーケーシュがそう言い終ると、ナリニーの顔は
その時、事務室の扉を開けてチャカが飛び込んで来た。
「大変です!
チャカはそう言ってから事務室に
「
ソミンがそう言うと、チャカはまた飛び出して行った。
ソミンはナリニーに目を移した。ナリニーは泣きもせず、ただ
「ギリジャーを呼んで来る。今日はもう休みなさい。」
ソミンがそう言うと、ナリニーは
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