第三十四章 真夜中の王宮
第三十四章 真夜中の王宮
ソミンは王宮に
「
ギリジャーがあくびをしながら言った。
「いいじゃない。明日お休みがもらえるわ。」
ナリニーが明るく言った。
「こういうのって普通兵士の役目じゃない?」
ギリジャーは不満そうに言った。
「でも顔が分かるのは毎日王宮で働いている私たちだけだわ。」
「確かにその通りね。」
ギリジャーはまたあくびをした。そしてふとあることを思い出した。
「そういえば、ナリニーは知ってる?五人の警備兵を目撃した侍女の話。」
「どんな話?私知らないわ。」
ナリニーは
「目撃した子、五人の後をつけたんだって。」
「ええっ!?」
ナリニーは思わず声を上げた。ギリジャーが慌ててナリニーの口を塞いだ。
「静かにしてよ。張り込みの
ギリジャーが注意した。
「ごめんなさい。それで、居所が分かったの?」
ナリニーが尋ねた。
「いいえ。後をつけたんだけど、
「
ナリニーが聞き返した。
「うん。王と大臣が話し合うための場所よね。
「
ナリニーが尋ねた。
「もちろんラージャ王だけよ。」
ギリジャーが答えた。
ナリニーは少し考えた。頭の中で
「
ナリニーはつぶやくように言った。
「え、何?」
ギリジャーは聞き取れなかった。ナリニーはすっくと立ち上がるとギリジャーに言った。
「
「え!?」
「外から鍵を掛ける前に誰かが
ナリニーが言った。
「どこに?」
「
「でも私たちの持ち場はここだし。」
ギリジャーがそう言うのも聞かず、ナリニーはギリジャーの手を引っ張って
「ちょっと、ナリニー!」
「しっ!」
ちょうど
コツ、コツ、コツという足音が近づいてきた。二人は息をすることさえ
「
ナリニーが言った。
「
ギリジャーは声を
「ギリジャーはこのことをソミン
「そんな!」
「いいから行って。」
ナリニーはギリジャーを追い立てた。ギリジャーは
ドン、ドン、ドン。
「ソミン
ドン、ドン、ドン。
「ソミン
事務室に着くと、ギリジャーは力の限り扉を
「誰だ?」
扉の向こうから
「
ギリジャーがそう言うと、ソミンはすぐに扉を開けた。
「どうした?」
「大変です。ナリニーが、仲間の侍女がハルシャ王子を襲った五人の内の一人の後をつけています。それから、五人の居場所を突き止めました。」
「どこだ!?」
「
ギリジャーはついに泣き出した。
「すぐに
ソミンはそう言って
ソミンは窓から差し込む月明かりだけを頼りに王宮の廊下を走った。向かった先はもちろん
ソミンは全身に
「サクセーナ大臣!」
ソミンが驚いて言った。サクセーナ大臣の方も驚いている様子だった。ソミンは
「ソミン、
サクセーナ大臣にそう言われると、命令に従わないわけにはいかないので、ソミンはゆっくりと
「サクセーナ大臣ここで一体何をしていらしたのです?」
ソミンが
「人を追っていた。」
「誰を?」
「そなたには関係ない。そなたこそ何をしている?」
「会議でご報告いたします。」
ソミンはそう答えた。ここで五人の男たちが隠れている場所を知っていると言えば、この場で斬りかかって来るか、五人を逃がしてしまうのではないかと思ったからだ。二人は互いに襲われるのではないかという恐怖で身動きが取れなかった。言葉さえ交わさず、
「ソミン
後ろから声が聞こえた。たくさんの兵士を連れてチャカがやって来た。ソミンはほっとした。全身に温かい血が流れるのが分かった。
「兵士はすぐに
ソミンは大声で指示を出した。全員ソミンの指示に従った。サクセーナ大臣は黙ってその場から立ち去った。
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