第十四章 シャシャーンカ王の奸計
第十四章 シャシャーンカ王の
ラージャ王一行に用意された部屋には広い
一行が部屋に入ってすぐ、カルナスヴァルナ国の文官一人とたくさんの使用人たちがラージャ王たちの荷物を抱えてゾロゾロと部屋に入って来た。
「お初にお目にかかります。スターネーシヴァラ王。私は文官のチョンドロと申します。使用人や
チョンドロはそう言うと、てきぱきと使用人たちに指示を出して荷物をそれぞれの部屋に運ばせ、荷解きをさせ始めた。チョンドロは背の低い若者で、変わった
ラージャ王たちは
「すみませんが、その箱の中に入っているシーツをベッドの上に広げておいてもらえますか?」
ラージャ王はシーツが入っている箱を指差して言った。
チョンドロは一瞬『なぜそんなことにこだわるのだろう?』という顔をしたが、何も思わなかった振りをして、『はい、そのように。』と
「お荷物はすべてお運び致しました。何かありましたら、扉の前にいる者を呼びつけて下さい。では私はこれで。」
すべての作業が終わるとチョンドロは早口にラージャ王に挨拶し、最後に祭司全員の顔を見回した。そして、そそくさと使用人をゾロゾロと引き連れて出て行った。
シャシャーンカ王はすでに
「待っていたぞ。サンジャヤ。」
サンジャヤ大臣がラージャ王たちの案内をし終わってやって来ると、シャシャーンカ王が待ち
「お待たせして申し訳ありません。シャシャーンカ王。」
サンジャヤ大臣は一応待たせたことを
「
シャシャーンカ王はラージャ王たちの様子を知りたがった。
「はい。」
「
「ございません。」
シャシャーンカ王の顔に
「良くやった。サンジャヤ。あとは
「そのことですが、その役目を私にお任せ頂けないでしょうか?」
サンジャヤ大臣が頼んだ。シャシャーンカ王は意外だという顔をした。
「なぜ急にそんなことを言う?それは他の
「もちろんでございます。もしもの時は毒を盛ったのは私一人の責任にしてご
「できないとな。」
シャシャーンカ王は
「はい。ラージャ王は噂に違わぬ名君。先程も兵士たちの訓練の様子に目を光らせておりました。おかしな行動を取れば気がつくでしょう。計画ではラージャ王の
「ならばどうする?」
シャシャーンカ王は
「ラージャ王とアジタ
シャシャーンカ王はサンジャヤ大臣の考えていることが分からなかった。サンジャヤ大臣はさらに詳しく説明した。
「杯は取っ手のついたペルシャのガラス製のものを三つ用意します。一つはシャシャーンカ王あなた様の杯。もう一つは
一つ目の杯には毒を仕込みませんが、二つ目と三つ目の杯にはあらかじめ毒を仕込んでおきます。ラージャ王とアジタ
私が杯と飲み物を盆の上に乗せ、このテーブルの上で
それからあなた様が『
私はあなた様に二杯目を注ぎます。その間にアジタ
ラージャ王も杯に口をつけます。ラージャ王も一口目は何ともありません。しかし、二口目はそうはいきません。あなた様はラージャ王が二口目を飲む時、『この飲み物は大変香りが良い』とでも言ってご自分の杯を
毒は杯の内側、それも手前ではなく奥の上の方に塗ってあります。杯を揺らせば液体が毒に触れて
サンジャヤ大臣はそう説明し終わった。
「何とも見事な計画だ。サンジャヤ。だがもし、二口目をアジタ
シャシャーンカ王が
「その心配はありません。飲み物を酒にしておけば。」
サンジャヤ大臣は全てを見通しているように言った。
「アジタ
シャシャーンカ王の目が
「さすがは大臣。見事だ!完璧な計画だ!よし、全てそなたに任せよう。ハハハハハ。」
シャシャーンカ王は嬉しそうに
そこへラージャ王たちの荷物を運び終わったチョンドロがやって来た。チョンドロは扉の向こうから声をかけた。
「失礼致します。チョンドロでございます。」
シャシャーンカ王は扉の方に目を向けた。
「入れ。」
するとチョンドロは中に入って来た。チョンドロがシャシャーンカ王の前に進み出てくると、サンジャヤ大臣が尋ねた。
「荷物の中に不審なものは?」
「ありませんでした。」
チョンドロにとって驚くほどみずみずしい香りのするシーツは
「テーブルの上のものに手をつけていたか?」
「いいえ。」
「やはり警戒しているようですね。」
サンジャヤ大臣はシャシャーンカ王に言った。シャシャーンカ王は
「あやつはどうしていた?」
「特に変わった様子はありませんでした。」
シャシャーンカ王はそれを聞いて安心した。
「ご苦労であったチョンドロ。もう行ってよい。」
「はい。」
チョンドロは部屋から出て行った。シャシャーンカ王は鋭い眼をサンジャヤ大臣に向けた。
「サンジャヤ、そろそろ兵を配備してラージャ王を呼んで参れ。」
「はい。計画通りラージャ王を殺した後、
「そうだ。誰一人、生きてこの城を出すな。」
「かしこまりました。」
サンジャヤ大臣は重大な
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます