第2話 前世の記憶
(でもなんでこの世界に?)
この世界であるバーミリオン・オンラインは、俺が前世でトップランカーになっていたゲームだから。
それにしても、前世の記憶と取り戻さなかったら立ち直れなかったかもしれない。
まあ追放されたことよりも、職業がヒーラーって最高の職業じゃないか! この世界でヒーラーは最弱職業って設定になっているが、前世でバーミリオン・オンラインをやっていた時おかしいと思った。なんせ僧侶や賢者などヒーラーより優れている回復職業があるのに、なんでヒーラーって職業があるのか。
それはヒーラーが回復職業ではなく、時を戻す職業であるから。でもそれはやりこんでいるプレイヤーでは有名だが、始めたばかりの人は知らない。だからトッププレイヤーはことごとくヒーラーになっていた。
(でも今日周りから感じた限り、ヒーラーは最弱職業って設定になっているんだな)
まあ、前世でもヒーラーのことは最弱職業って設定だったからしょうがないか。それにしてもアインズ戦は、MMORPGで負けイベントだったからしょうがない。
(でもアインズ戦って確か戦ったはずなんだけどなんでだろう?)
「まあいいか」
それよりも今後どうしよう......。バーミリオン・オンラインのストーリー状、アインズに負けてから学園で勉強をして、冒険者になるのがセオリーだったはずだ。だけど、現状追放された時点で学園に戻ることはできないし、ストーリー状のセオリーではない。
「冒険者にでもなろうかな」
結局学園を卒業したら冒険者になるんだし、早くなれると考えればよかったことかもしれない。そうと決まれば、明日ギルドにでも行くか。
♢
次の日、冒険者になると決めたのですぐさまギルドに移動した。そしてギルドに入って実感した。
(本当に転生したんだな)
前世の記憶を取り戻した時はそこまで考えることができなかったけど、今ギルドを入ってゲーム世界ではないんだなと感じた。
(雰囲気がゲームをやっている時とは違う)
当たり前のことなんだけど、昨日まではまだ転生したと考えられなかった。だけど、街並みやギルドの雰囲気を感じて、やっと転生したのを実感する。
周りを見つつ、受付嬢に話しかける。
「冒険者の申請ってできますか?」
「できますよ! 冒険者学園の卒業生でしょうか? それとも一般ですか?」
「一般です」
「わかりました。名前を記入して少しお時間をください」
受付嬢はそう言ってこの場を後にした。確か、冒険者学園を卒業してから冒険者になると、Dランク冒険者から始めることができる。だけど、学園を卒業していないと、最低ランクであるFから始まることになる。
数分待ったところで、受付嬢が戻ってきて説明を始めた。
「担当をするリリーと申します。まず、ルイさんは職業ってわかっていらっしゃいますか?」
「ヒーラーです」
「......」
リリーさんは俺の回答を聞いて、嫌悪感を少し出した。
「本当になって大丈夫ですか? 厳しいことを言いますが、ヒーラーだとパーティメンバーが見つかること自体珍しいですけど」
「はい、大丈夫です」
その後も説明が続いて、最後に冒険者カードを渡された。案の定、Fランク冒険者からのスタートになっていたが、俺にとっては特に問題ではなかった。
(これで本当に冒険者になったんだな)
誰しもが、異世界に来たら冒険者になるのが夢だと思う。俺もその一人であったし、それが今までやりこんでいたMMORPGなら尚更だった。
掲示板に行って、どのクエストがあるか確認をする。
(今の実力ならこれか)
そう思い、スライム討伐のクエストをリリーさんに渡す。
「一応は受けられますが、本当に大丈夫ですか?」
「はい。大丈夫です」
「......。分かりました」
しぶしぶリリーさんはクエストを受理してくれたので、俺はバーミリオン帝国付近にある森林に向かった。
(確かこの辺りに......、いた!)
スライムが大量に生息している場所についたので、スライムを倒そうとした時、金髪の女性がスライムをことごとく倒してしまった。
(え?)
こんなイベントなかったはずだけど、何なんだ? そう思っていると女性が話しかけてきた。
「大丈夫ですか?」
「あ、はい。ありがとうございます」
すると、女性が笑顔で話し始めた。
「良かったです。あ! エル・ホワイトと言います!」
「ルイ・スミスと言います。よろしくお願いします」
この出会いが、俺の人生を大きく変えた。
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