第15話 網走署へ

 網走署では警官に向かって大声でクレームをつけている声が聞こえてきた。

「女性が行方不明って、警察は何してんだ! ひどいな、早く犯人逮捕しろ! 税金から給料もらってんだろ! しっかり働けよ!」

 北網走漁業組合会長の桜井さんが警官に怒っていた。最早、見慣れた光景となっていた。

 私たちは刑事課へ行き、尾崎刑事に話を聞いた。

「尾崎さん、係長とは昔からのお知り合いなんですね?」

「えっ? ……えっと……」

「さっきー、係長の昔の知り合いに聞いたんですー」

「あ、いや、それは……」

「言い逃れはできませんよ。北の海食堂で、係長の昔の知り合い数人から聞きました」

「……そうですか。ええ、私は村田さんの高校時代の後輩です。だから昔から顔見知りでした」

「どうしてそのことを私たちに言ってくれなかったんでしょうか?」

「別に話すことではないと思ったので……」

「係長の父親のことについて、何か知りませんか?」

「……いえ、特に知りませんね。家に遊びに行ったりする仲ではありませんでしたから」

「尾崎さんー、私たちに何か隠してませんかー?」

「いえ、別に何も」

 尾崎さんは少しあたふたしているようだった。

「尾崎さんも、相田さんも、係長も、みんな同じ高校の出身なんですね。偶然なんでしょうか?」

「はは、網走は大きな都市ではありませんから、高校も数が少ないですし、たまたま同じ所だったというだけですよ」

「相田さんの事件の時にいた青島さんに会ってきました。相田さんは青島さんの教え子だそうです。私たちが係長の後をつけていた時に、青島さんが、相田さんが連れ去られる現場にいた。これも偶然でしょうかね、尾崎さん?」

「ええ、偶然でしょう。網走は、首都圏じゃないんです。お二人は色々と網走を回られたでしょ。こんな狭い所では、一歩外へ出れば顔見知りだらけですよ。元教師と教え子が事件現場に居合わせることなんて起こり得ることなんですよ!」

 だんだんと尾崎さんはヒートアップしてきた。

「そう言われれば、それもそうよねー」

 京子は何となく納得したようだった。

「そうですか。わかりました。尾崎さん、ありがとうございました」

 私たちは網走署を後にして、北海高校へ行くことにした。


 北海高校でもう一度校長に話をつけて、卒業アルバムを見せてもらった。千島圭吾という名前で係長と思われる人物が載っていた。住所を写メして、私たちはそこへ向かった。

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