第13話 青島に会いに行く
私と京子は青島さんの家を訪れた。青島さんは私たちを見て、驚いた様子だった。
「こんにちは。T県警の刑事で、香崎と申します」
「あたしは磯田でーす」
「あ、あの時の刑事さんね。これはまた、どのようなご用件でしょうか?」
「相田理恵さんのことでお話を聞かせていただけませんか?」
「あ、理恵ちゃんのことねえ……どうしてここが?」
「さっき、北海高校へ行ってきました。そこで青島さんのお写真が飾られてありました。それで、あの事件の時の方ではないかなと思いまして、卒業アルバムを頼りにこちらに伺いました」
「あっ、そうなの……どうぞ」
私は事情を説明し、家の中に入れてもらった。事件の時は、青島さんは興奮していたようでどんな方なのかわからなかった。しかし、実際に会ってみると物腰の柔らかい品の良い女性だった。
「相田理恵さんとはどういうご関係でしょうか?」
「理恵ちゃんは、私の教え子なのよ。もう12年くらい前になるかしらね。私が定年に近い頃に理恵ちゃんの担任だったのよ。理恵ちゃんの事件、どうなったの?」
「それは、網走署が担当していますので、私たちではお答えできません」
「……そうなの……」
「どこの高校の時の教え子だったんですかー?」
「ええ、北海高校だったかしらねえ」
「私たちは、訳あってT県警での私たちの上司である村田係長を探しています。村田圭吾という人です。網走に観光のために滞在していたのですが、行方不明になりました。何かご存知ではないでしょうか?」
「村田圭吾? さあ、そんな方知りませんねえ」
「北海高校の卒業生です。知りませんか?」
「……ええ、その名前に聞き覚えはありませんねえ……」
「私たちは、村田係長の後を追っていました。その時、相田さんが連れ去られた事件に遭遇しました。その現場には青島さんもいました。偶然でしょうか?」
「……あ、いや……」
「ねえ、おばあちゃんー」
「……偶然ですよ……」
「おばあちゃんー、係長がどこにいるのか知らない?」
「……全く知らないわ。ごめんなさいねえ」
「青島さん、とても偶然には思えないんです。何か知っているんじゃないですか?」
「……知りません……」
青島さんは何か考え事をしながら話してるように見えた。
それ以上情報を得られそうになかったので、私たちは青島さん宅を後にした。
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