通り魔哀愁唄

みなみくん

第1話通り魔哀愁唄

晴れた空が嘲笑う

蒸し暑い火曜日の午後

偶然見かけた貴女

私は恋に落ちました


足早に過ぎる貴女の

可憐な後ろ姿を

私は網膜に焼き付けて

何度も思い馳せました



ドラマティックにまた再びなんて

あるはずもなく

網膜の貴女想うだけの日々が続く

焦がれた胸がどうしようもなく痛んで

繰り返しあの路上に足を運ぶ私



嗚呼名も知らぬ

美しいいつかの貴女よ

あれから17回目

雨の上がる夜

ようやくそのお姿を拝見できました

息を切らし声をかける私をみて

足早に去ってしまった

初夏の夜


拒まれた胸がどうしようもなく痛くて

それでもあの路上に足を運ぶ私


嗚呼名も知らぬ

美しいいつかの貴女よ

再び出会えた

雨の上がる夜

何度も後ろ姿を拝見してました

息を殺し声を潜める私を知らず

足音が重なってゆく




嗚呼名も知らぬ

美しいいつかの貴女よ

あれからどれだけ

時が経ったでしょう

ようやくこの想いをお伝えできました

開かぬ瞳で私の胸に体預け

ようやく一つになれた

初夏の夜





ぎの、次のニュースで----昨夜未明------通り魔事件が----駆け付けた警官によりますと男は女性を抱きしめ-----警察では精神鑑定をすすめると共に-----



Fin

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

通り魔哀愁唄 みなみくん @minamikun

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る