第五話

「けほっ。けほっ……」

 翌日、風邪を引きました。

「と言うか特急乗ってしばらくしたら体調おかしくなったもんなぁ……」

 この風邪……椿ちゃんにうつってないと良いんだけど、とベッドに転がりながら。

 その後、意識がフェードアウトしていき、気がついたら夜。

 部屋の時計を確認する。うわぁ。

「スーパー閉まってるからコンビニ行くしか無いかぁ……旅で散財したから節約しようとしたのにこれとは」

 買い物に行くため財布とスマホを取り出す。

「ん、メッセージ来てる……椿ちゃんからだ」

 数時間前に届いていたメッセージを確認する。

『あの時、風邪うつしちゃったかも。今ベッドで転がってる』

 ……まぁどっちか風邪ひいてたらうつるよなぁ、アレは。

『私も今日一日ダウンしてたよ、今起きた所』

 数分後、返信が来る。

『ちゃんと栄養取ってね!』

『うん、今からコンビニ行ってプリンとか食べれそうなもの買ってくる』

 返信を返すと、めんどくさいので部屋着にそのままコートとマフラーで強引に隠しコンビニに行く。

 脳が働いてないのを実感しながらプリン、ゼリー、ヨーグルト……。

 確実にこいつは風邪を引いてる買い物をする。

 会計を済ませ、レシートを見て苦笑いしつつ、家に戻りコートとマフラーをその場に置いてベッドに転がる。

 メッセージを確認する。

『あのさ、合格したらお母さんが旅費出してくれるって言ってくれたから。よかったらそっち行っても良い?』

『全然構わないよ、うちに泊まっても良いし』

 と、書きながら。昨日のあの瞬間がフラッシュバックする。

 これは熱か、それとも恥ずかしさか、なんだかわからなくなるくらい、顔が赤い、ほてる。

『良かった、頑張るね!』

『うん、頑張ってね!』

 熱だろうか、なんなのだろうか。もはや意識が混濁してきたけど。

 これだけは、絶対に伝えとかなきゃと――。

『その時は、今度は私からするよ』

 それだけ返信して、私の意識は溶けていった。

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