第4話
スケッシーの散歩が終わると、アパートで支度をして出勤する。今日は銃の手入れはした方がいいのか、しない方がいいのかと思案しながら……。
職場には私の愛車の(スケッシーの絵がドアにある)で、A区の中央部から国道を通り3時間。B区のところにある。B区は高級住宅や大きな工場やビルディングのあるところで、A区の中小企業や零細企業など農家や商店街などがある下町のようなところと違って金持ちが圧倒的に多かった。
夜風が気持ちがいいので、窓を半開きにして走行していると、対向車がいきなり罵声を浴びせてきた。勿論、A区から来たからだ。A区とB区はかなりの貧富の差があり、それに関係してか昔から仲が非常に悪いのだ。
私は今日は運が悪いと諦めた。
私の職場はB区の少し奥にあって、A区から来たとしれたら大変なところにポツンとある。毎日通っているが、今のところは罵声くらいですんでいる。が、なかには何年か前に職場のA区に住む一人が銃で撃たれて死亡したというニュースを観た時がある。……金のために働いているがやはり身震いする。今では職場にいるA区の人は私と島田だけ。
「お早う御座います!」
工場に着き。愛車を駐車場の奥の方へと停め、受付にいた仕分けリーダーの田場さんに挨拶をした。
「お早う。今日も頑張れ」
工場は一階建で、私と島田は一番奥のカットされた肉の選別だ。ベルトコンベアーから流れてきて、それぞれのシューターへと肉を流す作業だった。
受付は清涼感溢れる白い造りで、右側に事務所があって、左側には着替えをするロッカールームと工場の製品管理部。そして、私と島田が働くベルトコンベアーがある肉の仕分け室が奥にある。
「島田は先に行ったぞ。何でも車で走行中に、B区の若いあんちゃんに火炎瓶を投げられたそうだ」
田場さんの声に私はびっくりして、
「え!! 島田は大丈夫でしたか? あいつすぐにカッとなるから」
「うん。まあ。ね、多分大丈夫だ。怒ってロッカールームへと行ったから……」
田場さんは心配な表情というより可笑しいといった顔をする。
田場さんは私と島田がA区なのを知っていて、田場さんはB区出身なのだそうだ。けれども、人柄がいいのでA区の人でも分け隔てがない。心強いA区の私たちの味方でもある。
私はロッカールームで青の作業服の上着に着替えると、島田がいるであろう肉の仕分け室へと急いだ。
ベルトコンベアーは4本あって、20人くらいが間を挟んでいる。肉の仕分けなので、肉を入れるシューターがところどころにある。
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