心と贈り物 28日目
「はぁ……」
今日何度目かの大きなため息が、部屋中に響き渡る。
ベッドの上で横たわる私は、昨日奈緒から言われたことにまだ頭が囚われていて、鈴音のことを余計に意識してしまっていた。
そもそも、私は鈴音の何処に惹かれたんだろう。
その要因を一つ一つ思い浮かべながら、何もない天井に目を向けながら物思いにふける。
顔は小さいのにその中に顔のパーツが綺麗に収まっていて、大きな瞳や筋の通った鼻が彼女の色んな表情を丁寧に作り上げている。
それは不愛想と思われている私には、充分魅力の一つになっていた。
性格面で言えば、真面目で少し律儀なところもあるけれど明るく前向きで、その姿勢がたまに羨ましいと心の片隅で感じることもあった。
声はお淑やかながら強弱がはっきりついていて、遠くから聴こえてもすぐに鈴音だと分かるぐらいには特徴的でとても聞きやすいものだった。
後は、彼女の体つきも傍から見ても整っている方だった。
小柄だけれど服の上からでも分かる綺麗な身体の曲線美が、彼女の育ちの良さと身体のメリハリをしっかり現わしていて、たまに周囲の目を引くことがある。
その視線には私が顔を向けるとすぐ離れていくものの、同性の私から見てもその身体に目がいってしまうことがあって……それがたまに扇情的に見えてしまって……。
おかしな方向に進みだした思考を、私の理性が脳を揺さぶって一気に叩き直す。
それと同時に、熱を持った身体を起き上がらせていた。
今、鈴音のこと変な目で見てた……?!
同世代の女の子をいやらしい目つきで見ていたことに気づかされてしまい、それが信じられずに二日酔いでないのに頭痛すら起きてしまう。
こんな調子で、これからも鈴音と向き合っていけるのかな……。
新しく芽生えた感情に彼女の全てを好きだと言われても、この気持ちを彼女に告げる勇気は全然なくて。仮に伝えたとしても、その先の反応を考えてしまうとそう簡単に言葉なんて出てきそうにない。
それでも、鈴音のことを想う心は、今も脈打ちながら膨らみ続けていた。
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