3-12 同窓会と親友



「いらっしゃい、雪音姉さん!」


「ふふ、お邪魔しまーす」


「ほ、本当に雪音さんと俊介が姉弟になったっていうのか・・・


 御無沙汰してます雪音さん!相変わらずお美しいっす!」


「小吉も久しぶりね。

 相変わらず元気いっぱい」


「それだけが取り柄っすからね!」


今日は俺の家で、約束していたバスケ部の同窓会だ。まぁ、この三人だけなんだがな。


「この3人で集まるのも本当に久しぶりね。

 なんだか懐かしいわ」


「俺と俊介は一方的に雪音さんの事をよく見てましたから正直そこまで懐かしさはないっすね」


「へー、二人でよく見てくれてたんだ。

 ちなみに俊はどの動画が好きなの?」


「俊介っすか?俺にはなんのキャラかはよくわからなかったんすけど、胸元の開いた衣装のキャラクターのコスプレしてた動画の時にめちゃくちゃ褒めてましたよ。こいつスケベなんで」


「おい!なんて事をバラすんだよ!」


「だって電話して感想言ってくるくらい、興奮してたじゃねーか」


そうやって小吉はニヤニヤとこちらを見てくる。確かにYukiが投稿を始めて3ヶ月たったくらいに投稿した『魔法もつかえる美魔女エニス』のコスプレの時はすごく興奮したが、何もここで言う事もないだろう!


「へぇ、アレ・・・ね」


・・・なんか雪音がすごく悪い顔をしているように見えるのは気のせいなのだろうか。


このような俺のイジリ話や、バスケ部時代の思い出話などに花を咲かせ、会はどんどん盛り上がっていった。




「あはは。 本当にあの時の俊は面白かったよね!先生に怒られてるのになんで怒られてるかわからなくて、なんで怒られてるんですか?って聞き返しちゃうんだもん」


「いや、まじでそれですよ。

 それにキレられて二倍怒られてるんですもん。もうあれはバカではなく、才能ですよ才能」


「・・・二人して馬鹿にしやがってよ」


「ふふ、そんなに怒んないの。私たちはあなたの事が大好きなんだから」


「そうだぞ俊介ー!大好きだぞー?」


「テンションがうざいおっさんなんですけど・・・」


「ふふふ・・・ん?」


話をしていたら雪音の携帯から着信音が鳴った。


「なんだろ、ちょっと電話にでてもいい?」


俺らが どうぞ というと、雪音は電話に出るために廊下へと向かった。出ていくのを最後まで見送ると小吉は俺の肩をトントン叩き


「おい、俊介!いい感じじゃないか!」


「? なにがだ?」


「何がって、雪音さんとお前の仲だよ!

 俺の見立てだと雪音さんお前に気があるぞ!」


「あ、あ〜〜〜それのことか」


「・・・なんだよ、気乗りしないって返事だな」


小吉よ、すまない。既に俺は雪音から告白をされているんだ・・・


「いや、そうなら嬉しいけど、もう俺たちは昔のような関係じゃなくてだな・・・

 それに雪音姉さんも、今ではもう有名人だし・・・」


「・・・確かにな。けど、そんなことで諦めてもいいのか俊介!俺はお前が雪音さんをどれだけ愛していたのかも知ってる!こんな千載一遇のチャンスとも言える瞬間は二度と訪れ無いかもしれないんだぞ?」


「でも・・・」


「でもじゃない!まず理由を探すのはお前の悪い癖だ!考える前に行動を起こすんだ俊介!」


俺よりも数段高い熱量で俺を諭してくれる小吉。自分には全くと言っていいほど関係のない事なのに、ここまで気にしてくれるなんて・・・でも


「・・・・・・もしかして俊介、別に好きな人ができたのか?」


俺が口籠もっていると、小吉がそう聞いてきた。本当にこの男は物事の核心をつくことが大得意のようだ。


「・・・正直、よくわかんないんだよな」


「・・・うーーーむ、そうか。

 まぁ、確かにあれから日も経ったしなぁ。

しかも身近にあんな可愛い子ばかりいたらそうなっちゃうもんか・・・」


「まだはっきりとは言えないんだけどな・・・」


「・・・ふふ、まぁいいさ。正直、俺としては雪音さんと付き合って欲しい気持ちはあるが、どんな結果だとしても俺はお前の味方だ。それだけは忘れるなよ、俊介。」


腕を組んで少し悩むと、笑顔で俺にそう言ってくれる小吉。・・・なんでお前はここまでしてくれるんだ?俺はお前に大事な事をずっと黙っているのに。


「・・・小吉、あのさ」


「俊、小吉ーちょっと聞いてもいい?」


俺が小吉に足の事を話そうとした時、雪音さんが廊下からリビングへと戻ってきた。


「あら?お話中だった?」


「ん?どうしたんだ、俊介」


「あぁ・・・いや、また今度な。

 それで、なんですか?」


からの電話だったんだけど、私に用があったらしくてさ、もしよかったらここに呼んでもいい?」


「神奈か懐かしいな、俺はいいっすよ。

 小吉は?」


「あぁ、俺もいいよ」


「懐かしい?まぁ、そっか。

 おっけい!じゃあ、伝えとくね」


・・・まぁ、小吉の件はまた話すとするか。


それにしても神奈か、懐かしいな。

なんか雪音さんはそんなに懐かしいか?みたいな顔をしていたが、よく会っているのだろうか。


神奈こと 宮園みやぞの 神奈かんなは俺たち3人と同じ中学のバスケ部で、俺たちと同じ学年のマネージャーだった子だ。


あの頃はメガネをかけていて、少し内気な女の子ってイメージだ。確か、雪音さんが引っ越して暫くしたら、神奈もどこかへ引っ越したんだったな。


確か、最後になんか言われたような・・・まぁ、来たら直接聞いてみるか。



雪音さんもリビングへと戻り、3人でまた話をしているとインターホンが鳴った。きっと神奈が来たのだろう。


俺は、玄関へとむかい、モニターをみる。


「・・・え?」


俺が驚いたのも無理はないだろう。今、目の前のモニターに映っている人物は俺の想像していた、メガネをかけた大人しい女の子 宮園 神奈ではなく。


舞香と同じアイドルグループ『Amour』のメンバーで先日俺と少しもめた、大人しいとはかけ離れた美女 桃宮 可奈 だったからだ。




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次回更新は 8/2(月)です。


新作

『ずっと推していたアイドルが引退してお隣さんになったが、俺は彼女にめちゃくちゃ嫌われている』 連載開始しました!お時間がございましたらよろしくお願いします!

↓小説URL

https://kakuyomu.jp/works/16816452221427664579


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