3-11 理不尽と落胆
「・・・えーっと、桃宮さん?」
「あ?」
「なんで怒ってんすか・・・」
いや、 あ? て・・・
いきなり来たとおもったらすごい睨まれている。というか美形の人の凄みってまじで怖ええええ・・・自己紹介の時から目の敵にされてた節があったがなんでだ?めちゃくちゃ理不尽すぎるぞ!
俺を知っているような口ぶりだったけど・・・
俺は彼女の事をメディアを通して一方的に知っていたが、俺が舞香の兄だという事は縁さんの他に伝えていない筈だし、彼女はそのことは知らない筈だから俺のことなんか知るよしも無いと思う。ただの冴えない一般人だし・・・
「あんたが絵里さんまでも手籠にしようとしてるからでしょ!」
「て、手籠て・・・
別にそんなことしようとしてませんよ。
彼女とは幼なじみなだけです。」
「はぁ!?ついさっき押し倒して襲おうとしてたヤツのいうことなんか信じれるはずが無いでしょ!?まじでありえないんだけど!
まさか、ま、舞香にまで手を・・・」
「だしてません!」
「当たり前よ!」
すごい勢いだな・・・
まじで俺はいったい何をしでかしたんだ?
「ていうか仮に俺が襲ってたとして、
桃宮さんはこっそり見てたんすか・・・」
「だ、だって・・・とにかく!今日はここまでにしてやるわ!私の目が黒いうちは絶対にこれ以上あんたのすきにはさせないから!」
俺のことを大魔王かなんかと思ってんのかこの人は・・・言うだけ言って帰って行ってるし・・・ん?いや待てよ?
「ちょ、ちょっと待って!」
「な、何よ・・・」
桃宮さんの肩を俺はとっさに掴む。
いきなりの事に驚いたのか目をパチクリとしている。
「申し訳ないんだけど、ここがどこかよくわからないから俺も一緒に行っていいかな・・・」
「・・・はぁ。馬鹿なの?
まぁいいわ、いくわよ。」
「あ、ありがとう!」
俺がそう言うと桃宮さんは呆れた顔を浮かべるが、了承してくれた。
なぜか理不尽につっかかってくるけど基本的に悪い人ではないようだ。
でも彼女は俺を誰と間違っているんだ?
こんな鮮やかな桃色の髪の美少女は俺の記憶にない、はずだ・・・
*
「・・・ねぇ?
あんたって、舞香と同居してるのよね。」
「そうですよ。」
「・・・妹とはいえ義理なのにそんなのいいの?」
「いやいや、義理でもなんでも舞香は俺の妹っすから・・・」
「・・・てかそんなことよりさっきから思っていたけど、何なのその気持ちの悪い敬語は!最後にあった時からそんなに時間も経ってないじゃない!」
「・・・・・・」
「・・・え? ま、まさかあんた私のこと」
「ごめんなさい・・・」
「っ! ・・・ま、まぁいいわ。
よくよく考えれば結構経ってたしね!とりあえず早いとこプールに戻るわよ・・・」
・・・気まずい。
俺が100パーセント悪いんだろうけど、実質初対面で相手だけ俺のことを知っている妹の同僚と二人きりは流石に気まずい。
桃宮さんを横目でチラチラ見ると、目に見えてわかるほど落胆してしまっており、いったいどこで俺と知り合ったのかを聞くに聞けなくなってしまった。
*
「あ、お兄ちゃんいた!
あれ、なんで可奈も?」
無言で気まずい雰囲気のまま歩き、辺りに見慣れた景色が広がってきた時、プールから我が義妹である舞香がこちらに気づき駆け寄ってきた。
「俺がプールへの帰り道に迷ってた時、それに気づいた桃宮さんが助けてくれたんだ。」
「え、そうだったの?ありがとね可奈!
・・・けど、可奈って忘れ物を取りにいったんじゃなかったの?」
「え、えーと・・・」
えぇ・・・桃宮さんなんでめちゃくちゃテンパってんの。
その態度をみて舞香の桃宮さんを見る目も少し怪しんでいるものになってるし。
はぁ。ここはここまで連れてきてくれた恩に報いて助け舟を出そう。
「桃宮さんは絵里ちゃんに用があったみたいでさ、俺も絵里ちゃんと一緒にいたから偶然出会ったんだよ。」
「・・・絵里さん。
なるほどね。本当にありがとね可奈!」
「う、うん!
じゃあ私は先にプールいってるねー」
舞香は少し考え、お礼をいうとプールへ行くと言った桃宮さんを笑顔で手を振って送った。
ふぅ。なんとか何事もなくおわることができ
「・・・さて、と。
俊介お兄ちゃん?私が納得のいくような説明をしてもらいましょうか?」
・・・てないよなー。そりゃそうよなー。
「私が美香たちに遊ばれている間に、俊介は絵梨花センパイとよろしくやってたんだ〜」
「おじさんみたいな言い方だな・・・
俺はただ話していただけだぞ」
「ふーん。まぁ、今日は信じてあげる」
「それに絵梨花ちゃんも悩んでて・・・
って、え?許してくれるの?」
「当たり前じゃない。私のこと何だと思ってるの?それよりもう帰るわよ。楽しむどころか質問攻めで疲れきっちゃった・・・」
「そ、それはお疲れさんです。
ごめんな。リフレッシュは難しかったな」
「んーん。その点に関しては俊介のおかげでばっちりよ!けど、私本来の半分くらいしか楽しめてないのよねー。これはもう振替プールがあってもいいとおもうのよねー。
どうおもう?お・に・い・ちゃん?」
「・・・おっけい。
また、一緒に来させていただこうかな。」
「ふふ、100点満点よ!
じゃあ挨拶して帰ろ?おにーーちゃん!」
「お、おい!」
そう言って俺の背中に飛びついてくる舞香。
水着を着ているといったって、皆もう少しこちらの事を考えて欲しいものだ。彼女いない歴=年齢の俺にとっては毎日毎日刺激が強すぎてたまったもんじゃない。
・・・当たり前だが、
「いいぞもっとやれ」であるけどな。
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次回更新は 8/1(日)です。
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