第17話

その日、算数の先生は授業に来た。勇気を振り絞って来た事は誰の目にも明白だった。

だから、不良じみた男子達が苛め倒すのが、何時もより、エスカレートして居た。

どちらかと言うと、大人しく笑っていただけのサブリーダーが積極的に苛めに加担しているのを見て、サクラとモミジ以上に『なりり』が心を痛めて居た。知ってか知らないのか解らない態度で彼等は、苛めを止めないし、教師は、泣き出すことも無かった。

「五月蠅い。静かにして」と秀才ちゃんが『勉学の邪魔するな』と鋭く呟いた。

それで、サブリーダーは「『くっさ』の分際で、昨日職員室で女子と抱き合ってたんだぜ」と、怒りの源を暴露した。震える『なりり』に、気がついたサクラは、挙手して「苦しそうななりりさんを保健室に連れていきます」と言って二人で教室をたった。

『なりり』はサクラに任せ、モミジは苛めの饗宴が、勉強したい女子と教師を苛めたい不良じみた男子達で、拮抗を保った。それを破ったのは、サブリーダーが投げた、生卵だった。算数の先生は涙ぐみながら、授業をほったらかしにして、トイレに髪を洗いに行ってしまった。それで皆、静まった。一方『なりり』とサクラは教諭が居ない保健室のベットで恋ばなをして居た。「私の好きな先生って」「理科の先生なんだな」と、なりりは泣きながらサクラに言った。緊張しないですむ、友人の算数の先生に、とりついで貰おうとしつこくアピールしてたら、昨日、私の想いどおりに理科の先生が算数の自習の監督してくれたよね。だから、想うがままにしてくれたから嬉しくって、職員室でハグしちゃったんだ。と、泣いていた。『なりり』を背なかから、包む様にハグするサクラに、ぎょとしたなりりはサクラに体温を任せた。

なりりは理科の先生に不倫的な感性を持っていると暴露。

そして、苛めのサブリーダーにも、叶わない初恋を、癒すために、甘えて両想いの時もある脆弱な精神を、サクラに話した。

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