第9話
その日、算数の教師はこなかった。理由は知らない。代理の理科の先生が算数の自習の監督をしてくれた。プリントが配られる。教室の真ん中で不良じみた男子達は「くっせめ、ざまぁみいっ」と自習時間、偉ぶっている。それの態度にモミジやサクラは嫌な想いをした。そんな不穏な空気の中、学年で一番美少女の『なりり』(教卓前の座席)が理科の先生に熱心に数学の問題を質問していた。その姿にざわめく不良じみた数名の男子達。中でもサブリーダーが歯ぎしりをしている。あれ、モミジとサクラは気がついた。サブリーダー君、『なりり』が好きなのかな?小学生男子の精神構造で、クラスメイトの女子が好きとかある?
(幼いながらも、悪者退治を生業とする、モミジとサクラは特殊だから、普通の小学生から省くけど)
そう言えば、『なりり』の質問の的は正確で、沢山あった。サクラは不良じみた男子達が怖くて算数の先生に全然質問出来ないのかな?と労ったが、モミジは困惑しながらも丁寧に教えている理科の先生が、焦ってるのを見逃さなかった。確か、この理科の先生は算数の先生の友だちの筈。この自習の成果を喜ばないのは、目くじらをたてる事に飽きた不良じみた男子達のサブリーダー君だけだった。
彼の他の男子達はもう、女子同様、真面目にプリントにとりかかっている。このプリントが出来た生徒は宿題が減るからだ。『なりり』が1番にプリントを終えた。それでも満足しない『なりり』は今度は理科の先生の十八番の理科の授業内容の質問をしだした。サクラは一生懸命プリントにとりかかっているが、モミジは『なりり』の質問の的がドンピシャばかりなのに、何か違和感を感じた。『出来すぎている?』と、その時から彼女にはそう想う様になった。
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