第8話
早朝ではなく、しっかりとした日刺しの中、ちらほら学生の姿が見えだした。モミジは席が後ろとサクラの窓際の席と離れているので、サクラの席の前の椅子に反対に座りながら、サクラと昨日の件について悩んでいた。
算数の先生に苛めをしている理由がわからないのだ。シャツアウトは月九のドラマの流行りだし、みすぼらしい所や不衛生な所等は皆無だ。なのに「くっせ」「汚な」なのだ。そのうち不良じみた男子達がそろって教室に入って来たので、モミジとサクラは会話を中断して、軽く居眠りをした。 疲れて居たモミジは最初から深くて質の良い睡眠を満喫して目覚めた。サクラはその此方に俯く後頭部やうなじを見つめていた。『綺麗』とサクラはこっそり想ったりしてみた。そして授業開始のベルが鳴る。蜘蛛の子を散らす勢いで、生徒達は自分の席へと戻った。 勿論、モミジも言うまでもなかった。
担任の先生が来て朝の会が始まった。くだらない連絡事項に、くだらない世間話。サクラは一生懸命聴いていたが、モミジはスルーしながら、算数の教師に対する苛めの事を考えていた。悪者『妄執』以外の苛めの場合、仲の良い他の先生に告口するか?とか、考えていた。ドライヤーガン戦士のでるまくの無い結果の方がみんなに幸いだろう。ドライヤーガンで射たれたら、人間の形を保てないかもしれないのだから。そう、『妄執』とは無関係で自分から相談してくれると良いのだが、弱くみせたくないプライドとか、忙しい仲間に対する遠慮とか、不良じみた男子達の圧力が邪魔をするのかも(怖くてフリーズしてるのかも)な?とモミジは落ち着いて考えていた。担任の教師は役目を終え職員室に戻った。今日は朝から算数の授業だ。何もおこらなかったら良いのだけど、とモミジとサクラは想った。
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