第5話
清潔な6畳間、大人のセミダブルくらいのベットに腰をかけて、先程の課題に話題が始まる。「女子はなんで算数の先生を苛めないんだろう?」モミジが言う。わからないので沈黙が場を支配する。「なんでなんだ?」とごろんと横になるモミジにサクラはハッとした。いけない。二人はまだ子供。だから妖しい空気になる前に「トイレ行ってくるね」ミント水を飲みすぎたと言い訳して、ドアに向かって急いでノブを回してから、階段を勢いよく降りきった。「転ぶなよ」と、モミジは身体を起こして声をかけた。
結局、その日はモミジの部屋に戻らず、そのままキッチンで夕飯の支度を手伝うサクラだった。
その事に少し不満げなモミジをスルーしてクリームシチューを食べるサクラ、とうさま、かあさま、モミジだった。クリームシチューはイカの出汁が効いていて、クリームシチューというよりは、イカの煮物スープになっていたが、美味しかったので、問題は無かった。みんなで一緒におかわりをして、完食した。
「ミントが減ってるね」と、かあさまが何気なく話すと、モミジが「サクラと一緒にお茶してたんだ」と悪びれる事もなく明るく爽やかに答えた。「なんでも飲みすぎは毒だよ」と言うかあさまに「熱中症対策も兼ねたんだ」と問題なし発言に、むぎ茶も冷やしてるんだから、そっちも飲む様にとアドバイスされた。「ありがとう。かあさま、そうする」とサクラが微笑むと、モミジの顔(ほっぺただけ)が少し赤くなった。
とうさまは「何を話してたんだい?」と聞いてきた。「学校で、別々になった時の報告会だよ」とモミジが笑うのにサクラもあわせた。
「仲良しさんだね。子供なのに、もう良いお婿さんだね」との爆弾発言に、二人は沈黙で答えた。ほっぺただけを、赤くしながら。
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