鍋の魔力

鍋を開けた時の煙と匂いは、人間を興奮させる効果がある。これは科学的な根拠は無いが胸を張って言える。

夢莉「この瞬間がたまらん……」

陽那「何よりも幸せな瞬間だよ」

そしてこのお餅。この伸びるという特性は、見た目のインパクトにも充分だ。

陽那「写真撮りたいよーー」

夢莉「こっちの世界では無いもんね」

主婦は料理のレパートリーを増やすために、小さい子供はお餅の伸びに目を奪われていた。

夢莉「美味しそうにできたぞー」

陽那「楽しみだーー!」

子供「この伸びるやつ美味しそー!」

小さい子はお餅を一斉に取っていった。そして引っ張って楽しそうに食べていた。主婦の方々は、作り方をメモしていた。そして、簡単にできる事を知って喜んでいた。

子供「これ楽しいー!」

夢莉「これは大成功だね」

陽那「老若男女楽しくしていた」

あっという間に間食してしまった。そうして片付けをしていると……

子供達「手伝うよ!」

子供達の気遣いに感動した。この街は寒くても、住んでいる人はすごく暖かい。

夢莉「この街の人は良い人ばかりだね」

陽那「街が寒いから団結して暮らしていく必要があるからかな?」

夢莉「たぶんね!」

ここまで丁寧にされるとさすがに別れるのは辛い。見送りも盛大にされた。

陽那「この街で暮らしてたいよーーー」

陽那は子供のように泣いていた。

夢莉「さぁ行くよー!」

寂しかったが、ここで渋っているとズルズルと出られなくなるので、陽那を連れて街を後にした。

陽那「夢莉は寂しくないの?」

夢莉「すごく……寂しいよ。でも、頑張らなきゃ!」

陽那「そうだね……頑張ろう!」

こうして、次の旅の目的地も決めないで出ていった。

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