MOMOTARO
未結式
第1話 MOMOTARO
西暦三×××年、地球は宇宙人の侵略を受けていた。
宇宙人は『ONI』と呼ばれる人型決戦兵器を使い、地球を侵略していった。
これに対し人類は『ONI』を鹵獲し、宇宙人たちへの対抗手段とした。
そしてついに地球人と宇宙人との戦争は最終局面へ――
「あそこが宇宙要塞ONI=GA=SHIMAか」
母艦の中から広大な虚空の海に浮かぶ鋼鉄の要塞を見据え、一人ぼやく。
地球軍最新鋭人型決戦兵器「MOMOTARO」のコックピットの中で大きく深呼吸、心を落ち着かせる。
ここに来るまでいろいろあった。
宇宙漂流カプセルに捨てられていた俺を助けてくれたお爺さん、お婆さん見ていてください。俺は貴方がたに与えられた名前と同じ名前を持つこの機体に乗って、必ず宇宙人たちを駆逐して見せます。
『おい、桃太郎』
通信で話しかけてきたのは、コードネーム「Hound Dog」、「MOMOTARO」の僚機である戦闘機に乗っている人物。気さくでいい人だ。
『帰ったらみんなで一杯やろうぜ』
『死亡フラグはやめてくださーい』
俺が返事をする前に通信に割り込んできたのは「Wild Ape」お調子者である。
『お供します』
Apeさんにかぶせてきたのは「Blue Pheasant」真面目とはこの人ためにあるとさえ思うぐらい真面目で頑固な人。
「ふふ」
皆のいつもの様子に笑みがこぼれる。
「そうですね、それもいいですね」
でもそのためには。
「皆で生き残りましょう」
『おう』『りょーかい!』『了解しました』とそれぞれ返事が返ってきた後、作戦時間になったので、通信を切る。
再び深呼吸、目の前を見据えて、操縦桿を握った。
システムオールグリーン、母艦から勢いよく飛び出す。
黒と無数の光で彩られた無重力空間に躍り出て、徐々に宇宙要塞に近づく。
縮まる距離に反比例して湧き上がってくる闘争心に身を任せ、宇宙を駆ける。
要塞から無数のONIが出てきた。五十、六十、やめだ、どうせ要塞に到達する前に相手取らなくちゃいけないし。
さあ生き残るのはアンタらか俺たちか。
「勝負だ」
MOMOTAROに装備された刀を抜き、バーニアを吹かして、ONIの大群に突撃する。
今ここに人類の存亡をかけた最終決戦が始まる――
MOMOTARO 未結式 @shikimiyu
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