2◇異世界の日常を楽しみたかっただけなのになぁ…
──朝になった。窓から入る日の光が気持ちいいなぁ。
「清々しいわぁ……」
特にそんなことは思ってないけど、なんとなく口をついて出てしまう。
きゅるる、とお腹のなる音がして……はっ、と辺りを見回す。
んー、微妙。隣の部屋まで聞こえてたりしないよね?
こんなんでも一応女子だし乙女だから気にはするんだよね……少なくとも振りだけは。
そういうわけで、朝ご飯どうしよ。
……まあ、なんとなくだけど、とりあえずmp確認の意味でもステータス確認しますか。
一応クレルモンがどこまで仕事するのかは見ておきたいし。
~~~~
名前:?
種族:人類種
lv1(ボーナスポイント:+0)
職業:無職
hp…10/10
mp…10/10
str…5
vit…5
dex…5
agl…15(+10)
luc…2
「
【
称号
『唯一之取得者』
「固有魔術」
『
所有武器:クレルモン
mp貯蔵(1/1000)
~~~~
ちゃんとmp回復してるけど…ペースが遅くない?
合計11しか回復してないよ?
それとクレルモン優秀説が浮上してきた。
昨日の時点では、ギルマスの言い方的に貯められるmpは多くて100程度かなと思って確認しなかったけど、1000も貯められるのか。
私が100人集まったのと同じ位だから……うん、全然優秀なのでは…?
いや、待てよ。だったら杖でよくね?
多分杖ならもっと貯蓄出来る……やっぱ産廃説浮上…
ま、まあいいや。暫くは肌身離さず持っておこう。
ないよりはあったほうがいいでしょ。
さて、朝ごはんぬきでギルドに行くか。
いやー私は勤勉だなぁ冒険者の鑑だなぁ朝ごはんを食べる手間も惜しんでギルドにいくなんて(棒)
はぁ…朝ごはんの時間終わってた…。ぴえん。
……我ながら吐き気がしてきた。やめよう。精神が磨り減る気がするし。
外の通りに出て、太陽により照らされた視界が眩しく思わず目を閉じてしまう。
「……予想より眩しかった」
外に出ると昨日より道に人が溢れていた。
昨日は祝日かなんかだったのかな?まあ気にする必要ないか。
そんなわけでギルドに行くと丁度ギルマスがいた。
やっぱり昨日よりは人多いなぁ。
…まあ昨日は夜とかいう微妙な時間だったからか。
「おはようございます、ギルマス」
「おお、ハナじゃないか、こんな朝早くからどうした?」
「何か依頼でも受けようかと、それと何で名前バレてるの?」
こわ……やっぱり年下奴隷趣味の……
「そりゃあギルドマスターだもの王都の冒険者の名前くらい覚えてるぜ。後依頼なら少し早すぎるんじゃないか?暫くは他の奴と模擬戦でもしたらどうだ?それか昨日の奴でもいいし」
確かに昨日みたいにごたごた戦闘訓練してもいいけど……残念ながら宵越しのお金どころか宵を迎えるお金もない。
つまりは金欠。
「どっちもお金なくて頼めないから適当な依頼受ける」
なんか異世界あるあるの薬草採取やら町のお手伝い的なのを受けて小銭稼ぎでもしますか。
「でも、この周辺で受けられる依頼なんてハナにはないぞ?」
「えっ?」
「王都で冒険者をやろうって奴は基本的に他の街で冒険者をやってランクを上げてから来る奴が多いんだ。だからここのギルドには低ランク向けの依頼なんて雑用くらいしかないぞ?」
……その雑用をやるつもりだったんだけど。
もしかして、私って戦闘狂とかだと思われてる?心外だわ。
温室育ち二酸化炭素含有の平和主義者だよ?戦闘とか願わくばしたくないわ。
「じゃあその雑用します。私のランクでも受けられるやつを見せて頂戴」
「じゃあこれとかどうだ?」
そういってギルドマスター……ギルマスは、紙を私に差し出す。
ーーーーーーーー
教会の掃除
対象:ランク:F以上
報酬:銀貨2枚~(要相談)
場所:王都の庶民3区の教会
時間:昼間ならいつでも
ーーーーーーーー
これなら丁度よさそう。
ついでに昨日行ったときに誰もいなかったからその埋め合わせ?にもなるし。
「じゃあ、これにします」
「わかった、俺が登録しとくから早く行ってこい」
そう言われたのでギルマスに別れを告げて昨日行った教会のほうに向かっているけど…
人の歩く速度が全般的に私より速い。
もしかしてここの住民って平均レベルかなり高い?
これがステータスの差か。
はやくレベルを上げなきゃなぁ……そんなどうでもよさそうで、まあまあ重要っぽいことを考えてる内に昨日の教会に着いた。
……昨日と違って教会の周りで子供が数人遊んでた。
もしかして保育園の代わりとかになってるのかな?
とりあえず中の人に依頼を受けて来た旨を伝えようっと。
「失礼します。冒険者ギルドで依頼を受けてきた者ですが誰かいらっしゃいませんか?」
「あ、ありがとうございます冒険者さん。私はここの教会の司祭のロンラと申します」
そういいながら出てきたのは銀髪ロングのお姉さんだった。
異世界って顔面平均偏差値高め?
そんな失礼なことを考えながらも、口では無難なあいさつをする。
「私はハナと申します。ギルドで依頼を見て来たのですがどこを掃除すればよろしいですか?」
ロンラさんが指示した場所の掃除の手伝いをすること2時間位経過し、粗方掃除が終わった頃にロンラさんから話しかけてきた。
なんか色々新鮮な気分、こういうのもいいね。
「ハナさんって商人なんですか?」
「いえ、違いますよ。ただの冒険者ですよ。どうしてそう思われたのですか?」
「いえ、言葉遣いが丁寧なもので商人かと思いました。」
「そういえば昨日は何をしていたのですか?昨日の夕方もここに来たのですが、いらっしゃらなかったので…」
「え?普通にここにいましたよ?」
「え?じゃあ子供達はいませんでしたよね?」
「?普通にいましたよ?どうしたんですか?」
どういうこと?確かに昨日はここに人がいなかったはず……
そんなことを考えた瞬間。
脳が沸騰するような感覚がした。
《強制執行: 溘譏�◼️溘�により称号『廻遡宙の観測者』を強◼️縺与されま◼️た
Now Lording……該当事項の遭遇まで記憶の封印、偽造…称号の効果偽造のため『称号偽造』『称号◼️◼️』を用いて称号に効果:「『重複魔術』『◼️◼️◼️◼️』の取得」を付与……再表示実行》
◇
《称号『廻遡宙の観測者』を取得》
あれ?何か称号獲得した?
『廻遡宙の観測者』って普通は取れなさそうな称号だけど……
私何かやらかした?
……何の前触れもなく、突然称号を得るなんてあるのかな?
それともあの仰々しい名前なのに掃除関係の称号……みたいな?まさかね。
えーっと、効果とかあるのかなっと。
~~~~~
『廻遡宙の観測者』
効果:
【
mp+100
魔術を同時発動可能、但し消費mpは、普通に個数分魔術を使った時の消費mp×発動個数
【◼️◼️◼️◼️】
条件を満たしていないため効果が発動しません
~~~~~
おっ、mpが100も上がったということはステも大分変わったかな?
……それよりも条件を満たしてなくて、効果が発動しないならここに表示しなくてよくない?
まあいいや。存在を教えてくれるだけありがたいか。
~~~~
名前:?
種族:人類種
lv1(ボーナスポイント:+0)
職業:無職
hp…10/10
mp…10/110
str…5
vit…5
dex…5
agl…15(+10)
luc…2
「
…【
「
…【
…【◼️◼️◼️◼️】lv1
称号
『唯一之取得者』
『廻遡宙の観測者』
「固有魔術」
『
所有武器:クレルモン
mp貯蔵(4/1000)
~~~~
おっ、大分mpが上がってる。うーんここからどう育てようか……
「大丈夫ですか?」
「!?」
そうだった、別に私は一人でいるわけじゃなかった。
ロンラさんが声をかけてくれたことに、驚いて思わず変な声が出てしまう。
「急に黙ってしまって…どうしたんですか?」
「いえ、ちょっと称号が増えて…」
やばい、焦って事実を言ってしまった。この称号明らかにおかしいし説明したくない……
「よかったじゃないですか。悪い称号ではないのでしょう?」
「はい、そうだけど…聞かないんですか?」
「称号は冒険者にとって基本的に名誉な物ですから自分から言うのが普通ですが言わないということは理由が何かあるでしょうから。それに無闇に人の個人情報を探るのは人としてよくないですからね」
この人凄い良い人だ。聖職者の鑑かな?
「お気遣い頂きありがとうごさいます」
「さて、概ね掃除も終わりましたし、そろそろ終わりでいいですね。ところで報酬の話ですが…」
少なくなるのかな?まあ楽な仕事だったし無料とかじゃなければ良いけど…
「すみません、報酬は金貨1枚にしてください!」
「??どういうことですか?」
「え?だって依頼書に報酬は金貨2枚~って書いてあったじゃないですか。」
「え?銀貨2枚~って書いてありましたよ?」
「……はぁ…そういうことですか。普段は依頼を出した日には冒険者の方がいらっしゃるのですが、今回はなかなかいらっしゃらないのでどうしたのかと思いました。」
「それは災難でしたね。だから金貨1枚でも全然気にしませんよ。むしろ依頼書通り銀貨2枚でも良いんですよ」
「それは申し訳ないので金貨1枚はお支払します。後これが達成報告書です。報酬の件も書いておいたのでギルドに持っていって下さい」
……普通に優しい人だなぁ。
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