第245話 偵察

 困った。

 非常に困ったぞ。

 現在の時間は2時過ぎなのだが、本当ならそろそろマイ異空間に帰って実験の続きをするつもりだったのに女の子に懐かれてしまった。


 早く帰って実験の続きをしたいんだけどなぁ。

 未来を視るのはつまらないから視てないけど、私の勘だともうじき神と殺し合いすると思うから早めに実験を終わらせて戦力UPしときたいんだけど。

 フェリ達には此処では一般人と変わらない生活を送って欲しいから力を借りるつもりは微塵もないし。


 はてさて、どうしたもんか。

 こんな事なら見捨てておけば良かったかも。

 …………いや、それは駄目だ。

 敵なら見捨てても良いけど、この女の子は現段階では敵ではない。

 見捨てたら確実に後で僅かだろうけど後悔する可能性がある。

 私はそういうのが大嫌いだ。

 吸血鬼になり邪神へと至って精神がかなり変質してるから後悔しても直ぐに気にしなくなりそうではあるが、後々気が滅入る可能性があるから結局はこれで良かったと思う。

 まぁ、私の精神に関しては今はどうでもよい。


「それで、もう一度確認するけど、桃子ちゃんはあの変質者と面識ないんだよね?」


 近場のファミレスに女の子……桃子って名前の質の良さそうな服を着た中学生位の女の子と共に移動して先の変質者について再度確認をした。

 ちなみに、変質者に狙われた恐怖か私をお姉様呼びする変人だから私に助けられた興奮からかは知らないが、名前しか名乗らなかったので名字は知らない。

 どうせ直ぐに別れるつもりだし、わざわざ聞くつもりも正覚で確認するつもりもない。

 今共に行動してるのもの懐かれてしまったので暇潰し兼軽い興味で事の経緯を聞いてるに過ぎなかったりする。

 あ、もう一つついでに言うと、変質者は腹パンでダウンさせて変質者が着てた服で縛って目が覚めても逃げない様に精神を破壊して路地裏に投げ捨ててきた。

 この桃子って子は人を疑わない性格なのか世間知らずなのか知らないが、私が電話する振りをして知り合いにお願いして警察に渡しとくと嘘を言っても信じたので誤魔化すのが楽だったよ。


「はい。全く面識はありません。先程も話しましたが、行きたい所があったのですが家族から禁止されていました。ですが、どうしても行きたくて家の者達の目を盗んで家を出てきたんです。そうしたら、あの者達が現れて追い掛けられて。もう駄目かと思ったその時、颯爽とお姉様が現れて私を助けてくれたんです!正直、夢かと思いました。漫画やアニメでしか見た事のなかった憧れのシチュエーションを私が体験したんですもん」

「そっかぁ」


 なんか、サリエと似たパターンだ。


「こういうのは、王子様の様な男性が基本ですが「安心して、私が守ってあげるから」と私を背に守ろうとしてくれたお姉様の凛々しい表情もとっても素敵で。キャアーーーー!!」


 少女漫画脳かよ。

 てか、会話の端々からなんとなく察せるけどこの子明らかに良家のお嬢様だろ。

 お嬢様でも少女漫画やらアニメを嗜むんだね。

 少しだけ以外だよ。

 てか、さっきも思ったけど、これ私の担当じゃないよね?

 これ主人公が担当するタイプの問題事だよね?

 おいこら、勇者(笑)さっさと私と変われやボケ!!

 まぁ、呼んでないから来ないだろうけどなあ!!


「で?行きたかった場所ってどこだった訳?このままお茶だけして別れるのもなんだし近場なら送ってあげるけど?」


 良家のお嬢様なら一人にしたらまた狙われて誘拐される可能性は高い。

 過去に私みたいな一般人が連日不審者と遭遇した事があるのだ。

 良家のお嬢様なら一日で連続で狙われてもおかしくないだろう。

 折角この私が助けてやったのに後日ニュースで良家のお嬢様が誘拐されたなんて報道されてら不愉快極まりないからね。

 一度面倒を見たのなら目的地へ送る位はしてやっても構わない。

 なんなら、直ぐに目的が終わるのなら家に送ってやってもよい。

 流石に隣町やら隣県だったら少し面倒だが。

 まぁ、家を出てから結構直ぐに狙われたっぽい話し方だから家は直ぐに近くだとは思うけど。


「すみません。お姉様には話したいのですが、あまり人には話せない内容でして。本当にすみません」

「あぁ~うん。まぁ、話せないなら別にいいよ」


 なんか、厄介事の臭いが。

 いや、良家のお嬢様なら庶民には話せない裏事情的な事も多いだろうからこれが普通か。

 てか、話せないとなるとちょっと困ったな。


「けど、そうなると送れないか。多分というか桃子ちゃんって良家のお嬢様だよね?」


 これで違ったらビビるぞわたしゃあ。


「あ、はい。一応、そうです」

「やっぱり。ねえ、親御さん達に駄目って言われてるみたいだけどもう一度頼んで送ってもらったら?行き先がわからないから私は送ってあげれないし。これで別れてまた狙われてもいけないしさぁ」

「そうですけど。無理です。絶対に関わるなと私だけでなく家族全員がお父様からキツく言われたので。うぅ、帰ったらきっとお父様から怒られてしまいます」

「まぁ、だろうね。出てきた時みたいにこっそり戻ってもバレてるだろうし。今回は諦めて家に帰りなよ」


 良家のお嬢様なら家に監視カメラも設置されてるだろうし、家に居ない事を気付かれたらカメラの録画を確認されて家をこっそり出たのがバレる。

 外出+外出理由で説教は確実だろう。

 うん。御愁傷様だ。


「わかりました。うぅ、説教……憂鬱です」

「仕方ないよ。言っちゃなんだけど、完全な自業自得なんだし。こればっかりは諦めな」

「うぅ~はい。わかりました」

「素直でよろしい。ほら、しょんぼりしてないで元気出しな。丁度頼んだのが来たし」

「お待たせしました。こちら、パンケーキとチョコレートパフェです」

「ども」

「追加でご注文される際はそちらのボタンを押してお呼び下さい。それでは失礼します」


 頼んだものが来たので早速食べようと私はテーブルに置かれてる箱?からスプーンと取り出し、箱?を目の前で目をキラキラさせてるお嬢様の前に置く。


「ほれ、見てるだけじゃパンケーキは食べれないでしょ」

「はい!いただきます!」


 箱?からフォークとナイフを取り出したお嬢様は、ワクワクした声音でパンケーキを切り分けるとパクリと一口。

 うん。お嬢様なだけあって一連の動作?所作?が綺麗である。

 これで私をお姉様なんて呼ばなければ完璧なのだが。

 狂信姫もそうだが、これが所謂残念お嬢様ってやつなんだろうな。


「家で食べるケーキより味が劣りますが、これはこれで良いものですね」


 そりゃそうだ。

 寧ろファミレスのパンケーキが良家で出されるお菓子に味が勝ってたらヤベエよ。


「まあ劣るのは仕方ないよ。専属のシェフ的なのが居るんでしょ?」

「はい。毎日私達に美味しい料理を作って下さる大切な方達です。今日も美味しい朝御飯を作って下さいました」

「そっか」


 行った事がないのでわからないが、きっと出てくる料理は俗に言う三つ星レストランで出てくる様なレベルの料理なんだろう。

 オリアナ一家や狂信姫の元で貴族や王族が食べる料理を口にはした事があるが、異世界と地球では世界が異なるので料理のレベルが違う。

 異世界の料理も美味しいのは確かだが、正直言って料理のレベルなら地球の方が高い。


 三つ星レストランの料理……一度は両親やフェリ達を連れて食べに行ってみたいかも。

 でも予約待ちとかできっと長いだろうし面倒かもなぁ。


 そうして、私と残念お嬢様はお互いに頼んだモノを食べ終え、私が支払いをしてファミレスを出た。


「じゃ、桃子ちゃんは家に帰る訳だけど」

「はい。……あぁ、嫌です」

「諦めなさい。それで、家は近いの?近いなら送るけど?」

「いえ、お姉様に送ってもらうのはとても魅力的ですが、これ以上お姉様に迷惑は掛けられません。非常に嫌ですが、家に連絡して迎えを呼びます」

「そう。なら迎えが来るまでは一緒に居てあげる」


 待ち時間を共にする程度なら全然構わない。

 元々考えていた目的地に送ったり家に送る手間に比べれば圧倒的に楽だ。


「本当ですか!ありがとうございます!それでは、ちょっと電話してきますね」

「はいよ」


 残念お嬢様が私から少しだけ離れるとスマホを取り出して電話を掛けた。

 電話は掛けて五秒もかからず直ぐに繋がり、聞こえる声からして男性の受付みたいな人が電話に出たっぽい。

 男性の使用人あたりの人だろうか?

 残念お嬢様の声で直ぐに推定使用人さんが残念お嬢様だと気付いて少し慌てた声をしてたが、残念お嬢様が諫めて迎えをこのファミレスに寄越す様に伝え、それから一言二言会話をして電話は終わった。

 うん。推定使用人さんの声の様子からして残念お嬢様が行方不明だと騒ぎになってる可能性大だ。

 こりゃあ、想定以上に説教されるかもね。


「お待たせしました。直ぐに迎えが来るそうです」

「そう。それじゃあ、さっきも言ったけど迎えが来るまでは一緒に行てあげる」

「本当にありがとうございます。あ、えっと、お姉様」


 少しもじもじしながら頬を赤らめる残念お嬢様。

 はて、どうしたんだろうか?


「ん?なに?」

「実は、お願いがありまして」

「お願い?どんな?」


 神殺し位までならギリギリ叶えられるぞ?


「あの、お姉様と、れ、連絡先を交換、したくて」

「なんだそんな事?別に構わないけど」


 その程度なら全然構わない。

 残念お嬢様なら悪用する様な事もないだろうしね。

 まぁ、仮に悪用するとしても連絡先程度でどう悪用するのか知らないが。

 それに、悪用されたとしても私なら軽く対処出来るしね。

 てな訳で、残念お嬢様とスマホの電話番号とメールアプリで連絡先を交換してお互いに登録した。


「わ、わあぁっ!お、お姉様の連絡先!し、幸せですっ」

「そんな連絡先程度で大袈裟だなぁ」

「そんな事ありません!私、スマホには家族以外に連絡先がないですもん。お姉様が家族以外では初めてなんです」

「そ、そっか」


 なるほど、ボッチか。

 そして、家族以外の初めての連絡先の交換が邪神と。

 うん。ドンマイ。

 そんな事を内心思いつつ迎えの車を待っていると、一目で「あ、絶対あれだ」とわかる高級車がファミレスの駐車場へと入り車を止めると、まさに使用人って見た目の運転手の男性が車から降りてきて残念お嬢様と私の前に歩いてきた。

 どうやら、やっぱり残念お嬢様の迎えで合ってたらしい。


「桃子様、お迎えにあがりました」

「ご苦労様です」

「いえ、これが私の務めですから。それと、そちらの少女が電話で話されてた方でしょうか?」


 運転手さんが私に目を向けたので「ども」と言いながら軽く一礼しておく。


「はい。私を助けて下さった大切な恩人です。それとですね。ちょっとこっちに」

「え?と、桃子様?」

「お姉様、ちょっと待って下さい」

「え?お、お姉様?え?え?」


 なんか私に聞かれちゃまずい事でもあるのか運転手の腕を引っ張って離れていく残念お嬢様。

 わざわざ離れる位だし一応私も耳を塞いであげるとしよう。

 これが異世界での老害共みたいな相手だったら構わず盗み聞きしてたんだけどねぇ。

 一応は私をお姉様なんて呼んでくれてる相手だし少しは気遣ってあげるとしようか。

 そんな訳で耳を塞いで音をシャットアウトして待つ事二分位?

 残念お嬢様と運転手さんが話が終わって戻ってきた。


「神白様、桃子様を助けていただきありがとうございました。心から感謝致します」

「たまたま見掛けて助けただけなので。そんなに気にしないで下さい」

「いえ、神白様が居なかったらきっと桃子様は誘拐されていた事でしょう」

「まぁ、確かに」


 誘拐されてロクでもない事になってただろうね。

 で、明日のニュースで大々的に放送される的な?

 あ~~……いや、良家のお嬢様だし隠蔽される可能性もあるか?


「それでなのですが、桃子様を助けていただいたお礼をする為にお屋敷にお招きしたいのですが大丈夫でしょうか?旦那様と奥様にもお会いしてもらいたいのですが」

「すみません。予定があるので無理です」


 そんなの面倒。

 なので、私は即座に断った。


「どうしても無理でしょうか?」

「はい。無理です。お二方にはそう伝えてもらえると私としても助かります」

「そうですか。わかりました。そう伝えておきます」

「だから言ったじゃありませんか。そもそも招いてもお姉様に窮屈な思いをさせるだけです。それに、今はお父様達は忙しいのでマトモな歓迎が出来ないんですから寧ろ失礼になります」


 どうやら現在の残念お嬢様のお父さんは忙しいみたいだ。

 なんかの事業で忙しいとかそんな所だろうか?


「お姉様。そういう訳ですのでお礼はまたの機会で良いでしょうか?」

「私としてはお礼なんてなくても良いんだけど、それじゃ駄目なんだろうね。じゃあ、土曜日か日曜日の適当なタイミングで呼んでくれたらいいよ。メールで日時と来て欲しい場所を送ってくれたら行くから」


 本音としては呼んでほしくはないけどね。


「はい!必ずお招きしますね!」

「うん。それじゃあ、帰って説教されてきな」

「うッ、そ、そうでした。憂鬱ですぅ」

「自業自得でしょ?じゃ、またね」

「はい。お姉様。また会いましょう」

「神白様、失礼します」


 しょんぼりした表情の残念お嬢様と別れ、出発し遠く離れていく車をぼんやりと見送る。


「また濃い子と会っちゃったなぁ。どんな豪邸に招かれるのやらだよ。あ、変質者共を回収しとかなきゃ」


 そして、車が見えなくなった所で私は変質者を時空間の権能でマイ異空間へと回収しながらお土産でも買って帰ろうと思いスマホでお店を探しながら歩き出した。


 ※※※※※


 桃子を乗せた車は道路を走り、やがて東京内では珍しい緑の目立つ場所へと入っていく。

 車は自分を乗せて走るもの以外はなく、車の外に見えるのは緑豊かな木々と少し離れた場所を流れる川。

 先程まで自分がお姉様と居たビルや店の建ち並ぶ光景は、境界線の様に流れる川を越えた先。

 自分の身分は理解している。

 しかし、この一変する光景を見る度に自分は他とは異なるんだと突き付けられる様で少し嫌になる。

 故に、今日出会ったばかりであるお姉様との時間は、ごく普通の女の子になれた様な気分で、共に町を歩いてお店で食事をするだけの短いものだったけど、夢の様な時間だった。


「ふふ」


 思い出すだけで心が温かくなる。

 連絡先を交換したし、日時は決めてないけど次に会う約束もした。

 まだまだ先だろうけど、お姉様と会う日が今から楽しみで仕方ない。


「桃子様、到着しました」

「送迎ありがとうございました」

「いえ、こちらこそ。勿体無いお言葉にございます」


 車を止め、扉を開いてくれた使用人へ感謝を告げ、いつも変わらない決まった返事を聞き流しながら家の中へと入っていき、屋敷の中に居た使用人に聞いては両親の居る部屋へと向かった。

 部屋へ近付くにつれて気分が滅入っていく。

 家を抜け出した私の自業自得であるが憂鬱である。


「お父様、お母様、桃子です。ただいま帰りました」


 部屋へとたどり着き扉をノックして部屋の中へと入る。


「お帰りなさい桃子。無事に帰ってきて良かったわ」

「お帰り桃子。何事もなかったようで良かっよ」

「はい。本当に申し訳ございませんでした」

「そうだね。だから、ちょっと三人で話そうか」

「あ」


 そして始まったお父様とお母様による説教。

 本当、私の自業自得だけど憂鬱である。


「あの、お父様」


 説教が終わり、私は部屋に入る時に少し気になった事をお父様に尋ねた。


「何かお母様とお話していた様ですが何を話されてたんですか?」

「あ~そうだね」


 少し困った表情を浮かべお父様がお母様へ顔を向ける。


「話しても良いんじゃないですか?桃子にも話を聞く資格はあるのですから」

「そうだね。桃子も皇室の一族だ。話を聞く権利はあるね」

「ありがとうございます。お父様、お母様」


 皇室の一族。

 この言葉からわかる通り、私は天皇家の血族だ。

 私が今回家を抜け出したのもこれが関係しており、天皇家の始祖である天照大御神様がつい最近に亡くなった。

 いや、正解には何者かに殺されたのだ。

 その何者が誰なのか私は両親から知らされていない。

 けど、これまで何度か会った事があり優しくしれくれた天照大御神様が殺されたのに何も教えてもらえないのが我慢出来ずお父様が警察も使って調べてると聞いて警察庁に突撃しようとした。

 それが今回、私が家を抜け出した理由である。

 まぁ、今思えば一人で行った所で話を聞けたのか微妙ではあったが。


「実はね、桃子が出てた時に須佐之男命様と話したんだ」

「え!?須佐之男命様とですか!?」


 まさか私が家を抜け出してた間に須佐之男命様とお会いしてたなんて。


「そうだよ。神々は今回の事を非常に重く見ている。日本の主神である天照大御神様が殺されたのだから当然だ。だから神々はその者を滅するべく、須佐之男命様がリーダーとなり行動を開始するらしい」

「そんな事が」


 神々が動く。

 神の一柱だけなら過去にも何度かあったと聞く。

 神は森羅万象の化身そのもの。

 一度力を振るえば天災の如し暴威が巻き起こる。

 どうなる

 その様な神がなん柱も一度に動く。

 一体、どうなるのか人間の私では想像も出来ない。


「そして、今日偵察と宣戦布告を兼ねて神の一柱である建御雷之男神様が動いたそうだ」

「あの建御雷之男神様がですか」


 雷神や地震の神、剣の神とも言われる武に優れた神である建御雷之男神様が偵察であるが一番手に動いた。

 それだけで神々が本気で動いているのが理解出来る。


「建御雷之男神様が動いたならそのまま勝たれるのでは?」

「それで終われば話しは早いのだけどね。けど、相手は太陽神である天照大御神様を殺したんだ。何が起きるかわからないよ」

「それはそうですね」


 お父様の言う通りだ。

 何が起きるかなんてわかりはしない。

 けど、近々お姉様とまた会うんだから何事もなく無事に終われば良いのだが。


「あ、そうでした。お父様とお母様にお話がありまして」


 とりあえず、私はお姉様との再会の日を決めるとしよう!


 ※※※※※


 近くにデパートがあったのでラッキーと思い私はルンルン気分でお土産を選んで買った。

 そして、ササッとトイレで転移しようと思いトイレに入って権能を発動しようとした。


 瞬間


「は?」


 気付けば私は転移させられており、全く見覚えの無い空間に立っていた。


 そして


「雷切」


 そんな言葉が背後から聞こえた瞬間、私の身体に腹から肩にかけて何かが通り抜けた。

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