第67話 ダンジョン探索(8)

 残り五層もあるというのに、進化出来て強くなり完全攻略出来るかも?っと意気揚々と調子に乗っていた私よ。

 出来る事なら、調子に乗るなと説教してやりたい。


 ん?

 突然どうしただって?

 あ~~うん。

 ただ、調子に乗ると痛い目に合うって身に染みて痛感したってだけ。


「痛つつ。ハァ~~やっぱ、ダンジョンってヤバいは」


 ダンジョン第二十八層。

 現在私は、切り裂かれ、へし折られた腕をプラプラと揺らしながら歩いていた。


 何で、そうなってるのかって?

 それじゃあ、反省会含めて少し振り返るとしよう。


 ※※※※※


 進化した後、探索を再開して恐らく5分位だろうか。

 あの二体が階層の魔物を殆んど喰い殺していた事もあり戦闘は一度も無く直ぐに第二十六層へと続く螺旋道は見付かった。


「第二十六層にとうちゃ~く」


 これまでと変わらず螺旋造りの大きな下り坂道を歩き第二十六層へとたどり着いた。


「さて、先ずは」


 索敵スキルを発動。

 辺りに魔物が居ないか確認する。


「少し離れてるね」


 そこそこ強そうな魔物の反応が幾らかある。

 しかし、返ってくる反応からして私の直ぐ近くには居ない様だ。


 一番近くて此処から歩いて多分二十、三十メートル位?の所に四体。

 そこから、更に離れた場所に順番に五体、一体って感じで居るね。

 この階層もそこまで数は居ない感じかな?

 返ってくる反応の感覚からして、大体の奴が先の糞ゴリラや毒トカゲ野郎と同じか少し強い位かなぁ?

 少し倒すのが面倒そうだけど、進化した今の強さを確かめるのには丁度良いかもしれないね。


「ヨッシ。行きますか」


 歩いて一分足らず。

 一番近い魔物三体との距離が僅か二十、三十メートル程度だった為、直ぐその姿が見えた。

 そこに居たのは、上層で見た狐の恐らく進化個体であろう二メートル近い体長の尻尾が三本の灰色の狐が三体。

 そして、その更に進化個体であろう三メートル近い体長の尻尾が四本ある灰色の狐が居た。


「ギィヤアァァ!!」


 近付いた事で向こうも私に気付いたのだろう。

 いち早く気付いた恐らくリーダー格の尻尾が四本の狐が一鳴すると同時に三体が私を取り囲ってきた。


 さて、どうするか。

 群れ系は、基本リーダー格を最初に潰すのが定番だけど別に数は少ないし。

 適当に倒していくか。


 そうと決めた私は、三体の内の目の前に居る狐から片付ける事に決めると、飛び掛かろうとしてるのか身体を屈めようとしている所へ間合いを詰める。


「ギィヤアァ!?」

「遅いよ」


 飛び掛かろうとした瞬間に目の前まで近付かれ驚いたのか動きが乱れる。

 その隙を逃さず私は、血液支配と黒血を発動。

 血剣を一本造り狐の首へ一閃する。


「へぇ?」


 そして、とても驚いた。

 何故か。

 それは、狐の首があまりにもあっさりと切断出来たからだ。


「マジかぁ」


 何だろうか。

 上手く表現出来ないが、包丁で豆腐でも切ったかの様に全く抵抗感を感じなかった。

 私的には、相手は一応進化個体なので斬れても首を半分程度斬れる位かなぁと考えていた。

 しかし、どうやら想像以上にスキルは強化されていた様で今手に握っている黒い血剣は、簡単に狐の首を刎ね飛ばして見せた。


「ギャーー!」

「ギャアァァ!」

「おっと」


 仲間が一瞬で倒された事にキレたのだろう。

 私を囲む残り二体が、咆哮をあげながら飛び掛かってくる。

 それを、霧化で軽く回避。

 霧になった私を二体が通過したと同時に即霧化解除。


「血弾」

「ギイ"ッ"」

「ギャ"」


 背中を見せる二体の後頭部に向けて血弾を撃ち込む。

 今度は、黒血を使わずに試してみたがどうやらスキルLv7はあるので十分通用し血液の弾丸は狐の頭部を貫いた。


「さて、後はコイツか」

「ギャルルルル!!」


 いや、顔怖。

 これ、相当私にキレてるね。

 物凄い顔を歪ませながら牙を剥き出しにして唸ってるよ。


「ギィエアアァ!!」


 咆哮をあげながら私に飛び掛かってくるリーダー格。

 それに対して私は………


「フッ!」


 飛び掛かってきたのに対して逆にコチラからも間合いを詰める。

 前足を若干振り上げてるのは、恐らく爪で斬り掛かろうとしてるのだろう。

 その振り上げてる前足とは逆の前足を私は鷲掴む。

 そして、力任せに思いっきり地面に振り下ろした。


「ハァッ!!」

「ギィ"ア"ァ"ァ"!」


 リーダー格は、そのまま一切の抵抗無く流れる様に地面に激突。

 激突と同時に何か「ベキョッ」か「ベギッ」的な音が聞こえた。

 恐らくリーダー格の身体の骨がへし折れた音だろう。

 その証拠に地面から起き上がらず倒れたままだ。

 戦闘を長引かせるつもりもない。

 なので、倒れてるリーダー格の首を血剣で突き刺しトドメを刺した。


「終わりっと。うん、かなり強くなってるねこれ。コイツらもそれなりに強い筈なのに」


 実際に戦闘してみて理解出来たが、私は相当強くなってるみたいだ。

 身体能力もそうだが、何よりも黒血のスキルの効果がかなり半端ない。

 狐共だって、仮にも進化個体。

 当然強いし索敵の感じからしてゴリラ共より少し弱い位。

 それを、ここまであっさり倒せるとは思いもしなかった。


「いやはや、やっぱり進化って凄いね」


 進化の凄さを改めて理解した私は、狐共を収納して次の魔物が居る場所に向かう。

 次は魔物の数は五体。

 狐共よりも数が多い上に、索敵の感じからして強さは今戦闘した狐共より上だろう。


「多分そろそろ居ると…………居た。げっ"!」


 歩いて多分三、四分位。

 お目当ての魔物五体の姿が見えた。

 そこに居たのは、一メートル程の大きさの三匹の蜂と二メートル程の大きさの二匹の恐らく蜂だと思われるもの。

 何故恐らくなのかは、三匹の蜂はともかく、残りの二匹には、蜂には似つかわしくないカマキリみたいな大きな鎌の様な腕を持っていたからだ。


「ハァ~~虫系はキモイから嫌なのに」


 虫系とわかりやる気がガクンと下がる。

 出来たらスルーして次に行きたいが、私に気付いたのかブンブンとこちらに飛んで来る糞毒蜂五匹は私を完全にロックしていて逃がしてくれそうにない。

 倒すしかないだろう。


「一瞬で終わらしてやる」


 正直見るのすら嫌なのだ。

 出来うる限りの手段で即殺して戦闘を終わらせる。

 そう決めたアカリは、次の瞬間害虫駆除を開始した。

 私が動き始めると同時に毒蜂共も毒針を連続で射出して攻撃してくる。

 だが、何となく毒蜂の身体の向きから毒針が飛んでくる位置は読める。

 なので、そこから逸れて毒針を避けながら魔法を放つ。

 放ったのは1つの空気の塊。

 それが、毒蜂の直ぐ側まで飛んでいった瞬間。


風爆エアバースト


 空気の塊が爆発し爆風が発生した。

 爆風の発生源である空気の塊の側に居た毒蜂はモロに爆風を受けて為す術なく吹き飛ばされ岩壁に叩き付けられる。

 瞬間私は、毒蜂に向けて何度も炎槍を放つ。

 ただ、炎で焼いては痛覚が無いという虫では燃え尽きる前に動いてくる可能性がある。

 なので、炎槍で身体を焼く上に貫いて殺す。

 結果、毒蜂は身体を何度も炎槍で焼かれると同時に貫かれ元の姿がわからない程にボロボロになり死んだのだった。


「これで良し」


 徹底的に殺したアカリは、一応殺した毒蜂も収納し次へと向かう。

 正直次の魔物がこの階層で一番強い。

 多分糞ゴリラ共と同じかそれよりも強い。

 歩いて四、五分。

 最後の相手の姿が見えた。


「熊かぁ」


 この階層最後の相手。

 それは、恐らく立ち上がれば五メートルはありそうな巨大な熊だった。

 そして、驚いた事に熊は私の事に気付いていた様で既に臨戦態勢状態になっており私の姿を見るやいなや襲い掛かってきた。


「ゴアァァ!!」

「うおっ!て嘘!?」


 鋭い突進からの前足の振り下ろし。

 それを、霧化で回避し直後驚いた。

 何故か前足が振り下ろされた前方の地面に触れてもいないのに爪痕が出来ていたからだ。

 余所見出来ないので鑑定出来ないのでわからないが、多分この熊のスキルだろう。

 爪で攻撃すると同時に飛ぶ斬撃的なのを出してるんじゃなかろうか。

 現に今も避ける度に背後で「ザンッ!」と地面を裂く音が聞こえる。

 当たればかなりのダメージだろう。

 最悪そのまま身体が輪切りに切断されるかもしれない。

 だが、それは当たればの話だ。

 熊の動きは問題なく見える。

 油断しなければ当たる事はないだろう。

 そう判断した私は反撃を開始する。


「ほっ」


 血液支配を発動し適当な量の血液を出すとそれを熊の目に向けて放った。

 そう、血液による目潰しだ。


「ゴアァ!?」


 熊も驚いた事だろう。

 いきなり視界が真っ黒になったのだから。

 私は、熊が驚いて硬直した隙に背後に回り込み跳躍。熊の肩に乗ると血液支配と黒血で血の爪を作る。

 そして、熊のうなじへと抜き手を放った。


「ゴア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」


 毛皮を貫き生暖かい肉と血液の気色悪い感触が手を包むがそれを無視。

 手を動かし目的のモノを見付けるとそれをグシャリッ!と握り潰しそのまま首から手を抜き取る。


「ゴア"、ア"…ァ"ァ……」


 直後糸が切れた操り人形かの如く地面に倒れた熊。

 鑑定を掛けてみれば、HPが0を示しており死んでいるのがわかった。

 まぁ、死んでるのは当然だろう。

 何せ、私が首の中で握り潰したのはコイツの動脈やら首の骨といったもの。

 それを、握り潰したまま手を抜き取り強引に引き千切ったのだ。

 即死だったに違いない。


「うえぇぇ~~ベタベタする。水水」


 手につく熊の血を水属性魔法で洗い流したアカリは、熊を収納すると索敵を発動。

 周囲一体を探るが、魔物の反応は返ってこない。

 この階層の魔物は、全て倒したとみて良いだろう。


「そうと決まれば、次に行きますか」


 私は、次の階層へと続く道を探しに向かった。


 ※※※※※


「やって来ました第二十八層~~」


 え?

 第二十七層はどうしたって?

 あの階層は、特に語る事はないよ。

 上2つが弱肉強食の塊みたいな場所で強者が生まれてたのに対して第二十七層はそんな例外が起きていない普通の階層。

 だから、あっさり戦闘も終わって直ぐに第二十八層へ到着した。

 ほら、何も語る事が無い。


「さてさて、何が居るのかね。…………ヤバ」


 索敵をして私は気付いた。

 まず、この階層は例外。

 強者が生まれてる階層だ。

 その強者は一体だけ。

 そして、その一体が相当ヤバいっぽい。

 他にも、それなりに強そうな反応があるのにコイツが強過ぎるのか他の魔物は軒並み階層端へと寄っている事からもそれが伺える。


「とりあえず行くか」


 索敵の反応からしてソイツの所まで少しある。

 私は、いったい相手が何者なのかと考えながらソイツの元まで歩いて行った。

 大蛇やゴリラ、毒トカゲ、灰狐、毒蜂、大熊とこれまで遭遇した個体を思い出しながらコイツらが更に進化を遂げたりしたのかな?等と私は安直ながら予想した。

 だが、私が歩きながら考えていた予想は色々な意味で大きくハズレる事になる。


「ここか………………は?」


 私は、自分の目を疑った。

 あんなに強い反応があると思ったらそこに居たのは、何とパッと見三十、四十センチ程の普通の白い兎だったのだから。


 どういう事?

 もしかしなくても、この兎が索敵の強い魔物なの?

 まさか………いや、確かにコイツだ。


 勘違いかと思った。

 しかし、索敵は目の前の兎を示し良く見てみればその兎は普通じゃなかった。

 脚が普通じゃなかったのだ。

 普通の兎も今まで見た魔物の兎も脚は筋肉等で太かった。

 だが、コイツは桁が違う。

 明らかに、今まで見た兎と比べて一回りも二回りも。

 いや、下手したら三回り以上太く、そして、見るからに筋肉でガチガチだったのだ。

 それを見て何となく理解した。

 コイツは、マジでヤバいかもと。

 そして、案の定コイツはヤバかった。


「クーーッ!」

「は?っ!?ぐあ"ぁ"!」


 兎がコチラを見た次の瞬間には、いつの間にか私の目の前にまで接近。

 あまりにも突然の事に反応が大幅に遅れ気付いた時には、私は岩壁にまで吹き飛ばされていた。


「ゲホ!ガハッ!……マジか」


 叩き付けられた壁は、大きくヒビ割れ崩れている。

 それを見て驚愕しながら立ち上がる。

 背中や後頭部、内臓等々痛みはあるが痛覚耐性、再生のスキルで既に痛みは引いてきている。

 後十数秒もすれば治まるだろう。


 今の見えなかったけど多分蹴りだよね。

 蹴りが、この威力っておかしいでしょ。

 どんなステータスしてんだよ。


 幸い兎は、起き上がる私を観察してるのか次の攻撃をしてこない。

 私は、兎から目を離さず鑑定をした。


 ────

 名前:なし

 種族:マーダーラビット

 状態:通常

 LV:42/50

 HP:496/496

 MP:85/85

 筋力:512

 耐久:286

 敏捷:523

 魔法:61

 ─スキル─

【豪脚Lv6】【俊足Lv5】【気配感知Lv4】

【毒耐性Lv3】【縮地Lv5】【爪術Lv4】【空力Lv3】

 ─称号─

 なし

 ────


 何だこれ。

 ヤバ過ぎるだろ。

 こんにゃろう。


 兎のステータスは、一言で言うとヤバい。

 全体的なステータスでは私が上だが、この兎も十分に高く油断して下手したら負けかねない。


「ヤバいな。どうすっ!?」


 気付いたら、再び目の前に現れる兎。

 これは、縮地によるものだろう。

 思い出せば、前にボコった屑が同じ様に使っていた。

 霧化が間に合わず腕を上げてガードする。


「キーーッ!」

「ぐう"ぅ"ぅ"!!」


 直後腕を襲ってくるとんでもない衝撃と焼ける様な痛み。

 ガードを下ろせば腕はジンジンと激しい痺れと裂かれた事でダラダラと血が流れていた。


「やっべぇな。ハァッ!」


 腕の惨状を見ながら一撃の破壊力の高さに引き笑いが漏らしながら、流れる血液を利用して兎に血弾を何発か撃ち出す。

 しかし、俊足と縮地を巧みに使い容易く避けられる。


「クソっ!風爆!」


 少しでも付け入る隙を作ろうと風爆を放つ。

 次の瞬間爆風が吹き荒れ兎は、風に吹き飛ばされていく。

 それを見て私は良しと思ったのも束の間、兎は空中で体勢を立て直し岩壁を足場に着地した。


「クーーッ!」

「嘘だろ。っ!ハァ!」


 次の瞬間には、再び縮地で現れる兎。

 前の屑との戦闘から縮地のパターンは何となく理解している。

 そこから、目の前に現れると予測し血剣を作り一閃。

 しかし、兎は当たる直前空中であるにも関わらず後方へ跳んで避けやがった。

 そのまま、空中で跳躍回転し私目掛けて踵落としをしてくるのをバックステップで回避。

 直後、轟音が響き渡り目の前には放射状にヒビ割れた地面が。


「ウッソでしょ。っ!」


 地面の惨状に驚愕していると顔の真横に見えた白いモノに咄嗟に上体を反らして避ける。

 直後ブオンっと風をきる音と共に兎の脚が通過していった。


「危っねぇ。……それが空力か」


 目の前には、空中に立つ兎。

 空力のスキルの力で空中に足場を作って立っているのだろう。

 先程から数回程度目にしたがマジで厄介でしかない。


「炎海!」


 私は、炎海を放ち周囲一帯を炎の海にする。

 空中でも動けるコイツに対しては意味ないかもしれないが、地面という活動場所を奪えば多少は行動を制限出来る。

 そして、思惑通り兎は突然周囲に出現した炎の海を見て困惑しているのか忙しなく辺りを見渡している。


「血散弾!」


 その隙を逃さない為に、炎海を維持しながら兎に向けて百発近い血弾を一度に造り出し放っていく。

 兎は、自身に放たれたそれを認識すると同時に空力と縮地を駆使して空中を駆け抜ける。

 造り出した血弾が切れた。

 兎は、自身を狙う攻撃が切れたとわかると縮地で私との間合いを詰めてきた。

 それを、血液の繭の中で索敵で確認した私はそれを放つ。


「ブラッドニードル!」

「ギーーーッ!!」


 瞬間、兎が逃げてる間に準備した黒血で強化されている無数の血針が私を中心に全方位へと射出される。

 当然間近に居た兎は避けられる筈も無く無惨に身体を血針で貫かれた。

 しかし、流石この階層の頂点に君臨する兎。

 これだけでは決め手にはならなかった様で傷だらけのまま私に向けて蹴りを放ってきた。

 それを私は、左腕でガードする。

 瞬間、腕から焼ける様な痛みとベキッと嫌な音が聞こえた。


 クッソ、骨が折れたか。

 傷だらけの癖にこのパワー。

 火事場の馬鹿力ってやつか。


 私は、腕の痛みを顔をしかめながら我慢。

 蹴りを放ちダメージから上手くバランスが取れずよろける兎に向けて右手に握る血剣を振りぬいた。

 次の瞬間、兎は身体から血を吹き出しながら炎の海へと落ちていく。


「ギーーーッ!」


 生きたまま炎に焼かれ苦しみ断末魔の声をあげる兎。

 その声も一分もしない内に小さくなりやがて聞こえなくなった。


「勝てた~~!!」


 まさかの、ボスモンスター並みの兎との戦闘。

 予想以上に苦戦しダメージを受けてしまった。


「ハァ~~疲れた。この階層はもう良いかな。次に行こっと」


 まだ階層に魔物は居る。

 だが、階層の端に居るためにわざわざ向かうのがメンドクサイ。

 なので、さっさと次の階層に向かう事にする。


「さてさて、道は何処かなぁ」


 ※※※※※


「うん、マジで強かったなあの兎」


 思い返しても兎に関してはそうとしか言えない。

 そして、反省としては……


「ハメ技考えるべきかなぁ」


 もう少し頭を使った戦闘をするべきと結論に至った。

 まぁ、前世で幾つものゲームをプレイしてきたのだ。

 ハメ技位簡単に思い付くだろう。


「それはそうと着いたなぁ」


 目の前には、第三十層へと続く道。

 気付けば、螺旋道を見付け第二十九層にたどり着いたものの探索が終わっていた。

 戦闘もあったし毒霧を吐いてくる四メートル位の毒蜘蛛等の強い魔物も居た。

 だが、一つ前にボスモンスタークラスの兎何ておかしな存在が居たせいで弱く感じてしまった。

 まぁ、けど無事に第三十層までやって来れたのだから別に気にしなくても良かろう。


「さて、行きますか」


 最後の階層である第三十層へと続く螺旋道を下りていく。

 この階層で最後だと、これまでの各階層での戦闘を感慨深げに思い返していると螺旋道が終わりあの台座がある場所へとたどり着いた。


 そして


「……………は?」

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