第66話 ダンジョン探索(7)
やあやあ私だ!!
現在の私だが、少し面倒な状況に居るよ!
って、誰に挨拶してんだろ私。
まぁ、どうでも良いか。
私だが、相も変わらず寝心地悪い岩ベットでの眠りから覚めた翌日?からダンジョン探索を再開。
第二十二層から第二十四層まで順調に探索を進める事が出来、現在は第二十五層に居る。
まぁ、順調と言っても普通に魔物と遭遇して戦闘があったんだけど。
第二十二層、第二十三層では、階層の一角を埋め尽くす程に増殖した百?二百?近くのポイズンスライムの群れや五メートルはあった巨大な毒蛙の魔物等と遭遇した。
スライムに関しては、無数の紫色をしたスライムが毒液をドロドロと滲ませながら私を囲んでのみ込んでこようとしてきたので、炎海で周囲全てを焼き尽くしポイズンスライムを蒸発。
毒蛙に関しては、計六匹程と遭遇。
大量の毒液を吐いたり長い舌で私を捕まえ様としてきたが、どれも遅いので軽く回避。
動きも遅いので、あっさり土槍や炎槍で顔面や胴体を貫いて倒した。
ぶっちゃけ、一つ前のポイズンリザードの方が厄介に思った。
だが、最初に遭遇した毒蛙を鑑定したら総合的なステータスや毒の効果的に毒蛙の方が強さは上。
その後、次に遭遇した毒蛙がポイズンリザードを補食してるのを偶然見て毒蛙の方が強いのだと納得した。
そして、第二十四層が特に面倒だった。
遭遇した魔物は他にも居たが、特に十メートル以上はあった巨大な毒蛇であるポイズンバイパアー三体との戦闘。
コイツが、毒を吐く、動きが速い、パワーが強いと実に厄介な相手だった。
俊敏性の高さを活かして攻撃を回避する事で後ろをとり頭部を魔力を込めた大剣で串刺しにして倒せたが、同時に吐かれた毒液を避ける為に霧化した直後を尻尾で弾き飛ばされ岩壁に叩き付けられたり囲まれて同時に毒牙攻撃してきたりと大変だった。
弾き飛ばされた時は、かなり派手に衝突して岩壁が大きくヒビ割れ崩れていたが、イヤリングにMPを込めてたので効果が発揮された事で思ったよりダメージは無かった。
だが、岩壁の惨状からイヤリングが無かったら危なかった事だろう。
危ない部分も少しはあったが、そこまで苦戦する様な事は無く大体こんな感じで対処出来た。
だが、たどり着いた第二十五層はそうはいかないかもしれない。
「これ、どうするべきなのかなぁ」
目の前の光景を眺めながら私は、そう言葉が漏れ出るのだった。
※※※※※
それは、第二十五層にたどり着いて直ぐに気付いた。
何にかって?
それは、索敵に反応が全然無いのだ。
初めは、索敵範囲内に居ないだけかと思ったがしばらく進んでも殆んど無くあっても階層の端っこ辺りに二、三匹程度。
幾ら何でもおかしいと思い疑問に思ったが、考えても原因等わかる訳ない。
しかし、こういう場合の原因は大抵進めばわかる。
なので、そのまま進めば思ったよりも早くその原因と遭遇した。
「ゴオアアァァァ!!」
「グエアアァァァァ!!」
目の前に居るのは、多分上層で遭遇したゴリラの進化個体と思しき五、六メートル近い魔物とポイズンリザードの進化個体と思しき六、七メートル近い魔物。
そんな二体が、見るからに空腹そうに涎を撒き散らしながら私の目の前で戦闘を繰り広げていた。
「これ、どうするべきなのかなぁ」
目の前で繰り広げられる巨大な魔物同士の激闘。
それを、ポケ~と眺めながらどうするべきかと考えた。
参戦してどちらも自分が倒す。
どちらか倒れた後に残った方を倒す。
このままスルーして進む。
「どうしようかなぁ」
強い魔物を倒してレベルを上げる目的でこのダンジョンに来たのだから、毒蜂みたいなかなり面倒かつ気色悪い相手でないならスルーは無い。
かと言って、無理して参戦する危険を犯さなくてもこのまま放置すれば確実に一体は倒れる。
そうすれば、私は手負いの残りを楽に倒せる。
普通に考えれば最後に残った手負いを倒すのが一番安全な案だろうが私が選んだのは…………
「私も混ぜろ~~~!!」
二体の戦闘に参戦だった。
理由は至極単純。
一体よりも二体の方が経験値が沢山手に入るから。
ただ、それだけの理由で戦闘に割って入った。
「ゴオアァァ!?」
「グエアアァァ!?」
「喰らえ!!」
二体が、私の突然の乱入に驚き戦闘中であるのにお互い動きが止まる。
その隙をラッキーと先ずは、毒持ちと思わしき毒トカゲ野郎に炎槍や水槍、鎌鼬等々連続で攻撃を叩き込んだ。
「ギエ"ア"ア"ァ"ァ"!!」
「ハァ!!」
連続で魔法を喰らい苦しみの声をあげる毒トカゲ野郎へと駆け寄りそのまま地面を蹴り身体強化+脚の部分強化込込の渾身の飛び蹴りをぶちかます。
「ギエ"エ"ェ"ェ"!!」
飛び蹴りは、毒トカゲ野郎の胴体にクリーンヒットしその巨体は横倒しになる。
苦し気な声をあげて倒れこむ毒トカゲ野郎の頭元に立ち私は眼球目掛けて炎槍を放つ。
「炎槍」
「グエ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!」
「嘘!?ヤバッ!」
炎槍は、眼球を貫き頭部を貫通。
毒トカゲ野郎は、苦しみに満ちた声をあげる。
てっきり、貫通と同時にその熱で頭部内を焼かれて死ぬかと思ったが、予想に反してまだ動ける様子。
その証拠に、私を狙ってポイズンリザード同様尻尾の刺を放ってきた。
それを私は、霧化で回避し直ぐに次の攻撃を仕掛け様としたが。
「ちょっ!?」
「ゴアアァァァ!!」
「ギエ"エ"ェ"ェ"!!」
後ろから、ゴリラの咆哮が聞こえ咄嗟に横へと大きく避ける。
直後、起き上がろうとしていた毒トカゲ野郎の顔面をゴリラの巨拳が打ち抜き毒トカゲ野郎は、再び地面に倒れこんだ。
避けるのが遅ければ、二体の衝突に挟まれていたに違いない。
「危ないな糞ゴリラがぁ!!」
そう言いながらゴリラへと走る。
それが聞こえたのだろう。
私を視界に映したゴリラは、自分に向かって来る私へと巨大な拳を振り抜いてきた。
ゴリラの攻撃に対して私は、霧化を発動、直避けで避けるのでは無く…………
「ハアッ!!」
「ゴアァァ!!」
ゴリラの拳に向けて自分も殴り返した。
レベルも上がり今では、500を越えている私の筋力の打撃だ。
身体強化も施している今、私の拳はゴリラの拳とぶつかりその拳を止めてみせた。
「ゴオアァ!?」
ゴリラは、まさかこんなチビに止められる何て思わなかったのだろう。
驚愕の声をあげ僅かながら動きが止まる。
命を掛ける戦闘においてそんな隙を見せるのは致命的だ。
私は、その隙を逃さず胴体に向けて炎槍を放つ。
「炎槍」
「ゴア"ァ"ァ"!」
胴体を貫き風穴を開けられたゴリラだが、驚いた事に貫いた箇所が脇腹辺りだった為か毒トカゲ野郎同様に即死にならなかった様で、そのまま私に再び殴り掛かってきた。
しかし、ゴリラにダメージは当然ある。
先に比べてスピードは落ちているので簡単に回避。
トンっと地面を蹴り空中後ろ蹴りをゴリラの顔面に思いっきし喰らわした。
「ハァ!!」
「グア"ァ"ァ"!!」
私の全力の蹴りで顔面を蹴られ鼻血を吹き出しながら倒れるゴリラ。
倒れたゴリラが起き上がる前に私は、倒れているゴリラの顔面に踵落としを叩き込む。
足を退ければ、ゴリラの顔面には何かに貫かれた様な風穴が開いている。
何故か?
それは、踵落としをする時に血液支配で踵部分に鋭く太い円錐状のモノを造り出していたから。
「」
流石のゴリラも、顔に風穴が開いては生きてはいられず今度こそ即死。
動く事はなかった。
「良し。次ってうお!」
残り一体の毒トカゲ野郎を倒すべく振り返る。
と同時に私は霧化。
直後、私が立っていた場所を刺が通過していく。
「危ねぇ、な!」
霧化解除と同時に私は、再び身体強化+部分強化を施し駆け出す。
部分強化をしたのは脚。
そうすれば、脚力は飛躍的に上層。
一息に毒トカゲ野郎に接近出来た。
接近と同時に私は、毒トカゲ野郎の胴体を今度はドロップキックで蹴り飛ばしてやる。
そして、次の行動を起こす前に。
「ハァ!!」
「ェ"、ェ"…ェ"………」
大剣を取り出し魔力で強化。
毒トカゲ野郎の首へと深々と突き刺した。
刺された事で動脈やら首の骨やら断ち切れたのだろう
大剣を抜くと刺した部分から大量の血液が吹き出し同時に毒トカゲ野郎は息絶え動かなくなった。
「フゥ~……勝った~~!!」
無事勝てた事に安堵し緊張感が緩んでその場に座りこんでしまう。
一応は、周りを索敵し魔物の反応が無いので襲われる心配は無いので無防備を晒しても大丈夫だ。
「にしても、こんな奴が空腹で暴れまわってたら居ないわなそりゃ」
この階層に魔物が全然居なかった理由。
恐らくそれは、この二体が餌として階層の魔物を喰らい尽くしていたからじゃないだろうか。
その証拠にこの二体は、空腹みたいに涎を垂らして暴れていた。
二体ともお互いを殺して喰らう目的で戦闘していたのではないだろうか?
「多分階層に新しく湧いた魔物は直ぐに喰われてたんだろうなぁ」
空腹になって階層中を徘徊。
新しく湧いても直ぐに喰われるのだから居ないに決まってる。
偶然生き残っても二体が居る限り好きに動けないのだから、階層端に逃げてるに決まってるわ。
「弱肉強食の典型だねぇ。それにしても、他の階層に移動しないのはダンジョンだからなのかね?う~~~~ん…………わからん。気になるけど、考えてもわからないもんは仕方ないか」
オタク的にダンジョンの仕組みとかは、少し、いや、かなり気になるが、わからんので頭の片隅へと置いておく事に。
「そういえば、ステータスどんな感じかなぁ」
ヒドラ毒を喰らって以降確かきちんと見てなかったステータス。
それなりに……いや、普通に数百以上の魔物と戦闘をして全て倒してきたのだからレベルもかなり上がったのではないだろうか。
「ステータス」
さて、現在のアカリのステータスは。
────
名前:アカリ
種族:紅血鬼 『進化可能』
状態:通常
LV:40/40
HP:611/611
MP:529/646
筋力:653
耐久:504
敏捷:671
魔法:613
─スキル─
【鑑定】【収納】【言語理解】
【血液支配Lv6】【吸血】【眷属化Lv3】【索敵Lv8】
【偽装魔法】【火属性魔法Lv5】【水属性魔法Lv5】
【風属性魔法Lv6】【土属性魔法Lv5】【再生Lv5】
【日射耐性Lv6】【状態異常耐性Lv7】
【痛覚耐性Lv5】【霧化】【魔力制御Lv4】
─称号─
【女神アリシアの加護】【女神アリシアのお詫び】
【Bランク冒険者】
────
「あ、進化出来るじゃん」
何か、知らない間に進化可能なレベルまで上がっていた。
いや、まぁ、進化個体が更に進化した様な奴らを何体も倒した上にその他多くを数百も倒していたのだ。
別に進化出来ても不思議ではなかろう。
アカリの場合は、経験値増加の恩恵もあるのだから。
「そうと決まれば…………早速進化だあ~~~~!!ヒャッフ~~!!!」
早速どんな進化先の候補があるのか見るべくステータスの『進化可能』の欄をタップ。
そうすれば、毎度毎度私の期待を色んな意味で裏切ってくれてきた進化先の候補が表示された。
「さてさて、どんなのが有るのかなぁ」
────
【黒血鬼】
-説明-
吸血鬼の中でも特に血液の操作に長けた種族。
過去に戦場に現れた一体の黒血鬼の手によって軍隊が滅ぼされた事から『死の象徴』や闇夜の如く黒色に染まった血液を自由自在に操り人々を殺戮する様から『黒い死神』の異名で呼ばれている。
────
【エルダーヴァンパイア】
-説明-
吸血鬼の中でも身体能力に優れた種族。
人々の間では、大昔から存在すると言われ古い文献の中でその存在が知られている吸血鬼。
目撃例が、非常に少ない事から幻の存在とされている。
────
表示された候補を一瞥。
アカリは…………
「『黒血鬼』っと」
進化先を僅か三秒足らずで即決。
即、『黒血鬼』をタップした。
ん?幾らなんでも、即決しすぎだろだって?
いや、だって、ザクトと同じ種族って何か嫌だし。
嫌いな相手と同じって嫌じゃね?
え?候補先が明らかにヤバい種族だろだって?
いや、今更でしょ?
それを言ったら、『紅い悪魔』だぞ私。
なあ~に、チラッと見たけど説明的に『紅血鬼』の正当進化した種族っぽいから多分問題ないでしょ。
アカリが、即決した理由。
それは、ザクトと同じ種族が嫌だったから。
ただ、それだけ。
それだけで、『黒血鬼』を選んだのだ。
まぁ、一応はチラ見した範囲で読んだ説明文から多少は考えてはいるみたいだが。
「ぐぅ!」
進化する時に起こるあの感覚が身体を襲う。
身体の内側から力が溢れてくる様な不思議な感覚。
時間にして僅か数秒。
身体から、力が溢れてくる不思議な感覚が消え去り進化が完了した事がわかり再びステータスを開く。
「どれどれ~」
────
名前:アカリ
種族:黒血鬼
状態:通常
LV:1/60
HP:665/665
MP:487/697
筋力:695
耐久:531
敏捷:714
魔法:653
─スキル─
【鑑定】【収納】【言語理解】
【血液支配Lv7】【吸血】【眷属化Lv4】【索敵Lv9】
【偽装魔法】【火属性魔法Lv6】【水属性魔法Lv6】
【風属性魔法Lv7】【土属性魔法Lv6】【再生Lv6】
【日射耐性Lv7】【状態異常耐性Lv8】
【痛覚耐性Lv6】【霧化】【魔力制御Lv5】【黒血】
─称号─
【女神アリシアの加護】【女神アリシアのお詫び】
【Bランク冒険者】
────
「おお~~相変わらず強くなるね。てか、何かスキルが増えてるし」
種族名が、『黒血鬼』。
スキル名も【黒血】。
まぁ、どう考えても何か由来のあるモノだろう。
「どれどれ」
【黒血】をタップして詳細を開く。
────
【黒血】
-説明-
吸血鬼の中でも限られた種族のみ所持するスキル。
MPを消費し自身の魔力と血液を合わせる事で【血液支配】のスキルによる血液での攻撃、防御等の効果が高くなる。
又、魔力が合わさった事で血液が黒く変色する。
────
「強化スキルって所か。有能なスキルだね」
ダンジョンでは、それなりに血液支配を使用している。
このタイミングで、このスキルの登場はかなりありがたい。
MP消費というデメリットも私的には、元々魔法使いである事からそこまで問題ではない。
「これで、またダンジョン探索がスムーズに行けるね。もしかしたら、本当にダンジョン攻略も出来るかも?フフフフ、ヨーーシ!!このまま、一気に第三十層まで行くぞお!!」
探索がここまで順調に進み進化も出来て気分が良いアカリは、テンションも上がり笑顔を浮かべ完全攻略目指して次の階層を目指すのだった。
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