第25話 クラスメイト side
国王からの願いを引き受けた後、天之達はクロードさんに城内のとある一室へと案内された。
その部屋は、俺達が全員入っても余裕がある程の広さで俺達がいた高校の教室一個半位の広さはありそうだった。
案内されたのは良いがこの部屋何もないが何をするつもりなんだ?
この部屋には、物等が殆んど無く唯一部屋の中央に水晶玉の様な物が備え付けてある高さ1メートルちょっとありそうな長方形の岩の台座がある位で他には何もない。
天之は、他の皆を見てみるがクラスメイト達もこれから何をするのかイマイチわかってない様で顔に困惑の色を浮かべている。
亮介から借りた異世界モノの漫画とかの定番だとこの後は、ステータスを確認するとかがありそうだが。
天之が、1人内心そんな事を考えてたら…………
「勇者様方には、これから1人ずつこちらの鑑定用魔道具でステータスの確認をして頂きます」
あ、マジでステータスの確認だったよ。
「使い方ですが、この球体部分に手を乗せて頂ければ自動でステータスを読み取り表示される仕組みです。それでは、確認の方よろしいでしょうか?」
とりあえず、このクラスでは俺がリーダーみたいだから皆に指示出ししていく。
「皆~とりあえず、ステータス確認するみたいだから出席番号順で確認していこう。良いかな?」
手っ取り早く全員がわかる出席番号で良いかなとクラスメイトに提案すると全員それで良いみたいで早速ステータスの確認をしていく。
「それじゃあ、まずは私ね」
そう言って前に出てきたのは、出席番号1番のクラスの女子の1人である
趣味が料理で特にお菓子作りが好きらしく良く家で作ってはクラスの皆に食べさせてくれる女子力高めの女子だ。
そして、言い方は少し悪いが今時の女子にしては意外で特技は弓道らしくウチの高校の弓道部で1年でありながらエースを務め大会でも上位入賞する程の実力らしい。
ちなみに、ウチの高校わりと部活動が盛んな為こんな感じで弓道部があったりしてる。
「手を乗せるんですよね?」
「はい。そうしたら、自動で表示されます」
そして、相沢さんが鑑定具に手を乗せた次の瞬間球体が白く光輝いた後、空中にステータスが投影された。
「これが、私のステータスなのね。何か納得だわ」
────
名前:
種族:人間
状態:通常
LV:1
HP:25/25
MP:18/18
筋力:21
耐久:15
敏捷:25
魔法:20
─スキル─
【言語理解】【弓術Lv1】【料理Lv1】
─称号─
【異世界からの来訪者】
────
他の比較対象が無い為わからないがスキルの部分は、彼女らしい構成だと感じられるものだ。
それと、言語理解これが俺達がこの世界の言語を知れた理由だった様だ。
そして、称号これは俺達が異世界から呼ばれたと言う事を示しているのだろう。
「始めからスキルが有るとは」
「珍しいんですか?」
「はい。この世界では、スキルは、生まれながらの先天的、ある程度熟練して後天的に発現もしくは、スキルオーブと呼ばれるアイテムで取得しなければスキルとして所持出来ません。相沢様の所持する弓術、料理は、先天的には無理ですので後天的発現のケースです。余程優れた才能そして努力をされたのでしょう」
「あ、ありがとうございます」
相沢さんは、べた褒めされて顔を赤くしてこちらに戻って来た。
余程クラスメイトの前で誉められたのが恥ずかしかったのだろう。
しかし、クロードさんの話しと相沢さんのステータスの例からして俺達は、何かしらの特技がスキルとして所持してる感じなのだろうか?
「そんじゃ、行ってくるわ」
出席番号が2番の将吾が相沢さんに続いてステータスの確認に行く。
「どんなステータスなのやら」
────
名前:
種族:人間
状態:通常
LV:1
HP:51/51
MP:21/21
筋力:46
耐久:37
敏捷:43
魔法:19
─スキル─
【言語理解】【体術Lv1】【強腕Lv1】
─称号─
【異世界からの来訪者】
────
「ガッツリ近接って感じだな」
「そうですね。このまま、鍛えられたら素晴らしい拳闘士になれそうです」
「拳闘士?あぁ格闘家みたいなもんか。まぁ、とりあえず次に変わるか」
そう言って、将吾がこちらに戻って来る。
「お疲れさん」
「お疲れ」
「おう。つっても確認しただけだがな。どうも俺は、近接タイプみたいだな」
まぁ、将吾は部活動こそしてないが昔俺達と近所の空手道場で空手してたし今も見た目通り良く身体を鍛えてるから当然っちゃ当然な気がする。
「お、次が始まるぞ」
将吾の声に鑑定具の方を見る。
「次は、俺だな」
出席番号3番のクラスの男子である
趣味がゲーム特技は授業中バレない様に寝るとか言う奴だがコイツ部活でキックボクシングをしており相沢さんと同じで大会で上位入賞する程の実力を持つ野郎だ。
ちなみに、友人の1人だ。
と言うか、このクラスの奴ら男女関係無く仲が良いな全員。
「さてと、どんなステータスが出てくんのかな」
────
名前:
種族:人間
状態:通常
LV:1
HP:42/42
MP:13/13
筋力:39
耐久:27
敏捷:32
魔法:17
─スキル─
【言語理解】【体術Lv1】【強脚Lv1】
─称号─
【異世界からの来訪者】
────
やはり相沢さんや将吾もそうだが趣味や特技に関する事がスキルになるので間違い無さそうだ。
「まぁ、こんなもんか」
「これは、相沢様、青木様同様に朝田様も素晴らしいですね」
「ありがとさん」
京が終わってこちらに戻って来た。
京の次は、俺の番だ。
「俺の番か。どんなステータスが出てくるのやら」
「ハハハ!!勇者とか出てくんじゃねえのか?」
「かもね。天之君昔から人や動物だろうと困ってたら助けようとするし。強いし。人の上に立つ事が多いし。現にウチのクラスのリーダーだし」
「将吾、亮介やめろ。後、亮介お前が言うな」
この2人とは、何だかんだ幼稚園の頃からの幼馴染みで今日まで腐れ縁が続いている親友だ。
だから、こうして茶々を入れて来るが流石に勇者が出るとか言わないで欲しい。
フラグに成ってしまう。
台座の前に立ち球体の上に手を乗せ先程までと同様光輝いた後俺のステータスが投影された。
────
名前:
種族:人間
状態:通常
LV:1
HP:65/65
MP:54/54
筋力:67
耐久:53
敏捷:61
魔法:58
─スキル─
【言語理解】【体術Lv1】【剣術Lv1】
【光属性魔法Lv1】
─称号─
【異世界からの来訪者】【異世界の勇者】
────
見事俺は、フラグを拾ってしまった様だ。
恨むぞ将吾、亮介!!
「おおお!!天之様やはりあなたが勇者様だったのですね!!」
「ハハハ…………みたいですね」
俺は、何とも言えない気分でそう言いながら戻っていく。
勿論将吾と亮介を睨みながら。
「睨むなよ勇者様。フラグ乙」
「そうだよ。睨まないでよ。フラグ回収乙」
「後で覚悟しろよお前ら!!」
煽りまくる目の前の2人に並々ならぬ苛立ちを感じながらも今は落ち着けと自分に言い聞かせる。
しかし、俺のステータスの称号何で普通に勇者じゃなくて異世界の勇者って表記だったんだ?
単純に俺が、異世界の人間だからなのか?
まぁ、わからない事を考えても仕方ないか。
俺は、疑問に思ったものの結局わからない為考えるのを止めた。
その後は、特に何事もなくステータス確認が続いていき亮介の番になった。
「僕の番だね」
そう言った瞬間俺に将吾そして、クラスメイト全員が黙った。
「ん?どうしたのさ皆突然黙って?」
「いや、何でもない。気にせず確認してこい」
全員が黙った事に亮介は、疑問符を浮かべるが俺がそう言ったので気にはなるようだがそのまま鑑定具へと歩いて行った。
まぁ、俺達が黙ってしまうのも仕方ない事だろう何せ亮介は…………
「どんなステータスなのかな」
────
名前:
種族:人間
状態:通常
LV:1
HP:352/352
MP:176/176
筋力:357
耐久:258
敏捷:385
魔法:162
─スキル─
【言語理解】【体術Lv1】【剣術Lv1】【槍術Lv1】【棒術Lv1】【豪脚Lv1】【豪腕Lv1】【鍛冶Lv1】
【料理Lv1】【思考加速Lv1】
─称号─
【異世界からの来訪者】【超人】
────
ちょっと何と言うか人間の理を外れている様な奴だから。
ほら、ちゃんと称号にも示されてる。
「………………は?」
「あれ?バグ?」
それなのに、何故か本人はこの通り自分を一般人だと思ってるから不思議で仕方ない。
どう考えても、一般人じゃなくて逸般人だろ。
それを、俺達はわかってたから黙っていたのだ。
「こ…これは、いったい」
「んんん???」
駄目だこりゃ。
さっきまで、スムーズに話を進めていたクロードさんが混乱している。
「おい、バカ亮終わったんなら戻ってこい」
「あ、え、うん」
「クロードさん、続きお願いしますね!」
「あ、えっと、はい。次の方お願いします」
ちょっと無理やりだが何とか混乱からクロードさんも戻りその後は、亮介みたいな変なステータスが現れる事もなくステータス確認は終わった。
「やっぱり亮介は、イカれてたな」
「だなぁ。まぁ、俺のステータスもおかしかったがな。何だよ勇者って」
俺達は、あれから部屋へと戻り夕食まで自由らしいのでのんびりしていた。
ちなみに、亮介はあれから日課の筋トレとか言って何処かに行った。
また、頭のおかしいトレーニングをしているのだろう。
前に見た時は、1つ百キロ近い岩を片手で握って振り回してた気がする。
「ハァ~昨日皆で、神白さんを見付けて魔王ぶっ倒して帰ろうと言ったばかりなのに。2日目でもう頭がイカれそうだ。」
俺は、たった半日足らずで昨日の宣言を達成出来るのか不安で仕方なくなってきた。
そんな、俺を見ながら将吾は、苦笑いを漏らしながら宣言の1つの神白さんの事を話す。
「ハハハ……まぁ、頑張れ。それにしても、神白さんどこで何してんのかな?そもそも、本当にこの世界に居るのか」
「魔法陣?には乗ってたんだきっと居るだろ。そうだなぁ、何してるんだろうな。意外と良くあるテンプレみたいに変な輩に絡まれて喧嘩でもしてるかもな」
「あ~~確かに、神白さん美少女なのに見た目に反して喧嘩強いもんな。なのに何故か自分を弱いって言うもんな」
将吾の言う通り神白さんは、ああ見えてかなり強く以前ヤンキー数人を1人で沈めてたのを見た事がある。
まあ、喧嘩の理由が友達が絡まれてたかららしく友達思いな人だと思ったもんだ。
「亮介みたいな奴が近くに居たんじゃそう思っても仕方ないだろ」
「それもそっか。にしても、明日は何するんだろうな?」
「そうだな。訓練でもすんのかな」
その後、俺達は他愛もない話を夕食の知らせが来るまで続けるのだった。
ちなみに、亮介は結局知らせが来る直前になって部屋に帰ってきた。
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