第7話 ギルドに到着!!早速テンプレか?

「ついた~~!!」


「帰ってきました~~!!」


 私とアリサの2人は、ようやく街までたどり着く事が出来、現在居るのは城門前。


「それにしても、大きな城壁だね」


 目の前には、都内に建ってた三階建ての建物並の城壁が街を囲う様にズラ~~と建てられていた。

 空を飛んだ時や、歩いて来た時も遠くからも見えていたから城壁の存在は知っていたが、やはり本物を間近で見るとなると迫力が違う。


 やっぱ、魔物が生息する森が隣にあるから城壁の存在は重要なんだろうなぁ。

 これだけ立派な城壁ならそこらで見た魔物じゃ壊すなんて無理だろうし、街に魔物が侵入する事なんて無さそう。

 まぁ、ここに魔物が1人?1匹?今から街に入ろうとしてるんだけどね。


「とりあえず、街に入ろっか」


「ですね」


 街に入ろうとアリサと城門の門番に近づくと、こちらに気付いた門番の男性がアリサを見た瞬間何故か驚いた声をあげた。


「アリサの嬢ちゃん!?」


「あ、門番さん。こんにちは、昨日ぶりです」


「おう、こんにちは…じゃなくて!嬢ちゃんお前心配したんだぞ!いつもなら遅くても夕方前には帰ってくるのに昨日は、夜になっても帰ってこなくて先生達も心配して森に探しに行こうとしたんだぞ」


 あ、なるほど、そりゃ心配にもなるわ。

 ところで、先生って誰だろ?


「ごめんなさい。実は色々あって帰れなくて」


「早く帰って先生達を安心させてあげな。だけど、次からは本当に気を付けるんだぞ?……ところで、そっちのスゲー綺麗な嬢ちゃんは誰なんだ?」


 この人優しい人なんだろうけど、女の子には嬢ちゃんって付けるのが癖なのかな?

 まあいいや、取り敢えず自己紹介しよ。


「初めまして、アカリです。森で迷ってたアリサに会ったので一緒に来ました」


 本当はオークに襲われてたけど、わざわざ不安にさせる様な事を言う必要もないだろう。

 アリサもスミマセンって顔で私の事を見てるし。

 あ?迷子だったのお前だろだって?

 何の事だろ私わかんないなぁ。


「そうだったのか。アカリの嬢ちゃんアリサを助けてくれてありがとな」


 あ、私もやっぱり嬢ちゃん呼びなんすね。


「えっと、どうも。と、ところで街に入っても良いですか?」


 私は、嬢ちゃん呼びに苦笑いになりながらも街に入って良いか聞く。

 すると、想定外の言葉が返ってきた。


「おっとそうだったな。それじゃ身分証かギルドカードを見せてくれ」


「え?」


「はい、どうぞ」


「よし、アリサの嬢ちゃんは大丈夫だ。?アカリの嬢ちゃん身分証かギルドカード見せてくれ」


「……ない」


「は?」


「え?」


「身分証もギルドカードもないです」


 身分証?ギルドカード?何それそんなの持ってない。


「えっと、無ければ税金で銀貨1枚払ってもらえれば入れるが」


「……お金ないです」


「……」


「……」


 お金?そんなのあると思いで?

 こちとら、転生2日目の吸血鬼ぞ?

 お金なんて持ってるわけないだろ。

 ワンチャン女神様辺りが収納に入れてくれてないかどちらも確認したけど当然なかった。

 うん。マジでどうしよ詰んだ。


 その時、おずおずと一人の少女が手を挙げた。


「えっと、私が代わりに払いましょうか?」


 そう、アリサだ。


「え、アリサ?」


「街に着くまで沢山助けてもらったので私で良ければ代わりに払いますよ」


「え、本当に?だけど、そんな」


 うぅぅ~~!!!ど、どうしよう。

 正直その好意にすがりたい。

 だけど、歳下のアリサに払ってもらうなんてそんなの歳上としてどうなんだ。

 だけど、そうでもしないと街に入れないしアリサの気持ちを無碍にするのも。

 うあぁぁ~~!!どうすればあぁぁ~~~~!!


 結果


「ごめんアリサ、お願いします」


 アカリは、苦渋の決断でアリサに払ってもらう事にした。


「はい!わかりました!」


 優しいアリサの事だ、きっと私に恩返し出来るのが嬉しいんだろう。

 何でわかるのかだって?

 だってアリサの顔それはもうニッコニコな笑顔なんだもん。


 まぁ、心苦しいが何とかアリサのおかげで街に入る事は出来たのだった。

 なお、門番の男性にはアリサに払ってもらった時、何とも言えない顔で見られた。


 ちくしょう!!


 ※※※※※


「本っ当~にごめんね。絶対に返すから」


「別に気にしないで下さいって。私は、アカリさんに助けてもらったお礼も兼ねてさっきは払ったんですから。だから、別に返さなくていいですよ」


「うぅぅ、だけど」


「もう、私がしたくてやった事なんですから、あまりごねると私も怒りますよ?」


「は、はい。わかりました」


 アカリは、アリサを怒らせたい訳ではないので素直に引き下がる事にした。


「それにしても、アカリさん凄い見られてますね」


「っ!!……何の事かな」


「え?だってさっきから周りの人達みん「気のせいじゃないかな?」……アカリさん」


 そう、そうなのだ。

 実は、街に入ってからと言うもの私とアリサ、いや正直に言おう、私は街ですれ違う全ての人に見られている。

 それも、二度見、三度見ではない。

 もうガン見レベルの視線の嵐だ。

 うん、普通に恥ずい。


 私は、気分を紛らわすべく話を変えようとさっきから気になってた事をアリサに聞いてみた。


「ところでアリサ、今どこに向かってるの」


「あ、言ってなかったですね。今向かってるのは冒険者ギルドですよ。ほら、見えてきました。あの大きな建物です」


 アリサが指差す先には、確かに大きな建物が建っており、冒険者ギルドのシンボルなのか盾に重なって剣が二本交差した形のオブジェ?が入り口上に大きく取り付けてあって一目で冒険者ギルドだとわかった。


「私の依頼報告とアカリさんのギルドカードを作ろうかなって。もしかして何処か行きたいところがありましたか」


 確かに私としても身分証になるギルドカードは欲しいのでアリサの提案はありがたい。


「ううん、私もギルドカード欲しいし。このまま冒険者ギルドに行こっか」


 そのまま私とアカリの二人は、冒険者ギルドに向かっていった。


 ※※※※※


 冒険者ギルドの中は武器、防具を身に纏ったまさに冒険者って人が沢山いた。


 おお~凄い!これが冒険者ギルド!

 前世オタク時代に見た光景が目の前に広がってる!

 それにしても、意外と女性も居るんだね、7:3位かな?てっきり8:2位かと思ったよ。

 色んな格好の人が居て見てて面白いかもね……この視線さえ無ければだけど。


 街であれだけ見られたのだ、当然ながらギルド内でも男女問わずアカリは見られていた。


 ギルド内の冒険者達は、アカリを見た瞬間にアカリの姿に視線が釘付けになり一瞬前まで騒がしかったギルドは今や静寂に包まれ、まるでこの空間だけ世界から切り離されでもしたかの様だった。


「ははは、スッゴい見られてますね」


「何か、ごめんね?行こっか」


 私は、何とも言えない気持ちを振り払いながら窓口と思われる場所へとアリサと共に向かう。

 因みに、アリサは隣の窓口で対応してもらってる。


「すみません。冒険者登録をしたいんですけど」


「……」


 動かない、まるで屍の様だ。


「す、み、ま、せ、ん!」


「はっ!!あ、えっと、はい、こんにちは、本日はどのようなご用件で」


 やっと動いたよまったく。


 私は、ようやく起動した受付嬢のお姉さんに用件を伝えていく。


「冒険者登録したいんですけど出来ます?」


「はい、大丈夫です。こちらの用紙に幾つか記入して貰いたいですが大丈夫ですか?」


「はい、大丈夫ですよ」


 再起動した受付嬢のお姉さんは、物腰優しくてきぱきと対応してくれて先ほどの屍みたいな雰囲気が嘘のようだった。


「何々、生年月日、年齢、名前、あと職業?あの、この職業って何ですか?」


「はい、職業は自身が得意とするモノを書く欄です。例えば、剣が得意なら剣士、魔法が得意なら魔法使いみたいな感じで書いて貰えば良いですよ」


「なるほど」


 わかりやすい説明のおかげで理解できた。

 だとすると、私は魔法使いかな?

 だって、ステータスが完全に魔法使い寄りだし。


 私は、スラスラと用紙に内容を書いていき受付嬢のお姉さんに書き上げた用紙を渡した。


「書けました」


「はい、受け取りました。○月×日の16歳、名前はアカリさん、職業は魔法使いですね。それではこちらの内容でギルドカードを作らせて貰いますね」


 受付嬢のお姉さんが、私の書き上げた用紙の確認をしギルドカードを作りに行こうとしたその時、それは現れた。


「おいおい、こんな餓鬼が冒険者になろうってのか?

 やめてくれよ。こんな弱そうな奴が冒険者になったら俺達まで舐めて見られちまうじゃねえか」


 その言葉に対して怒りやムカつきを感じるよりも先に私は、ある事を思ってしまった。


 それは


 テンプレ、あんたまだ居たのかよ……と。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る