助っ人
【問】
【解】
脳が情報を処理しきれずパニックを起こす。
特殊スキル
優しく教えると言ったあの
畳み掛けるように襲いくる
「ぅぐ…きぼぢわるぃ……」
途中
震える僕の肩に、ベルデさんがそっと手を添え声を掛ける。
「お疲れ様でした。あちらに救護室がございますから、少し横になりましょう。」
「…はぃ……すみませ…」
過度のストレスがかかったせいで脳が
漫画やゲーム内でのスキルの習得方法と言えば、キャラクター自身のレベルアップや、スキルポイントの振り分けが思い浮かぶ。
レベルアップに
対してここイディアリュウールでは、
当然それは
僕が今回習得に
が、知覚強化の効果は、
突然そこら
そこから必要な情報だけを切り取り、自分が感じやすいように調整しろと言われたって、脳みそボコボコにされている
後でベルデさんから
知覚強化は修得時にかかる精神への負担が非常に大きく、
その事実を先に告げなかったのは、僕がビビって
とは言え、無事習得には至れたのだから、今更騒ぐのはやめておこう。
今後のための教訓として、心に
力を
ベルデさんに貰った吐き気止めの薬で
これからどう行動するかのプランは固まり、僕自身はもう焦る必要は無いのだけど、“
今この瞬間も、
「アル。少し予定を早めて、先に
寿命の書き換えに
言い方は悪いけど、問題無く行えるのかを試すのなら彼らが最適だ。
エトバスに並び、覚悟を持って自らの役目を全うする彼らならば、万が一の不測の事態にも動じることは無いだろう。
「俺はただの助っ人だしな。カルムが決めたことに従う。」
笑ってそう返すと、ベルデさんが用意してくれた焼き菓子を一つ
「ただの助っ人ねぇ。ま、そういうことにしておくか。」
手足の感覚を確かめつつベッドを降り、
「じゃあベルデさん、
「はい、お気をつけて。…あぁ。本日のランチはハンバーグステーキですので、お戻りになりましたら
「は、ハンバーグステーキ…っ⁉︎カルム!」
シャーフに滞在している間は、まず仕事には困らない。
「はいはい、好きなだけどうぞ。何なら予約しておいたら?」
「あ、えっと、えぇっと…三……。…いや、五人前で。」
僕の顔色を
五人前か、どう考えてもキロ
食費よりアルの胃袋の方が心配だが、どうせ
「アル、よだれ。まったく…、僕が“
「えぇ…、
「気合いで、頑張って。」
いってらっしゃいませと
「あれ?アルディートさんじゃないっすか。
昨夜の酒の席、アルはあちこちのテーブルで団員達と話していたようだったから、そこで仲良くなったのだろう。片手を上げて返すと、僕の両肩を
「あー、エトバスからは何も聞いてない?」
「副団長からっすか?んー…、オレは特に何も。」
いや、副団長って。なかなかに
エトバスには、僕が書き換えに応じる
となると、目の前の彼は対象外ってことか。この件をどこまで知っているのかはわからないが、これから書き換えてしまうものを隠す必要も無し。
せっかくだから、彼に
「先に言っておくけど、
「?…よくわかんないっすけど。わかったっす。」
「ちょっと
数秒の
「あぅ…。アルディートさぁん、オレどうしたらいいんすかぁ…」
一人で勝手に追い詰められ、こじんまりとした左右の角を掴むと、涙目になって助けを求めた。
何だこの可愛らしい生き物は。
アロガンさん情報では、
何と言うか、思わず
「カルムの言う通りにすりゃいいんじゃないか?十二人が誰なのかわかんないんだったら、団長か副団長が知ってるだろ。」
「あ。そ、そっか。わかったっす!玄関のあたりで待っててください、
アルがアドバイスしてやれば、
んむ、やはり彼は癒し系。
何も無い所で
十分程待った頃だろうか、先程の青年が勢いよく玄関扉を開け飛び出して来る。
「お待たせしましたっす!第一会議室に全員集めて来たっす!」
そんな彼の背後から
「くあぁ〜…おはよう、カルム君♪…と、アルディート君。
寝起きだろうが何だろうが、エトバスはブレない。
とは言え、この程度もう慣れてしまった。
大人って年が行けば行くほど、内に
抵抗が無いのをいいことに、顔やら髪をひたすら撫で回す手を掴んで押し戻し、その
「まぁ、エトバス含め
「くっくっくっ…人の内面は顔に表れるって本当だねぇ。まったく、君はどこまでも美しいよ。できることなら、おじさんの
僕のこの容姿は性格
ふとエトバスの背後を見れば、そばかすの青年は感情を
あぁ、彼は知らなかったのだな、もうじき自分の
考えてみれば、
「その件だけど、今から全員に
「…リッドっす。」
「リッド。
僕の笑顔にも、眉を下げたまま目を伏せる。
アルがそんな彼を励ますように肩を叩き、ニッカリ笑って見せた。
「エトバス、他にもこの件を知ってる人が居るんだったら会議室に呼んでもらえるかな。一緒に聴いてもらった方が、
“
「じゃあ、カルム君は先に会議室に行ってもらえるかい?リッド、案内を。」
「わかったっす。救世主様、こちらへどうぞっす。」
エトバスはシャツのボタンを掛けながら
はぁ。このしょんぼりした背中を見るだけでも、胃の辺りを
時刻は午前十時。
書き換え対象の団員十二名とリッド、団長のルクラさんに、その父である町長。それから町長の
僕が救世主だという事実はやはり意外だったようで、本人を前にしながらひそひそと
昨夜は少しの間だけど宴会にも参加していたわけだし、幾分
話し始めの
「
一先ずリラックスしてもらう目的も含め言ったものの、残念ながら効果は薄い。
ドア付近に立つアルに視線を送れば
「そんな緊張すんなって、別に取って食おうってわけじゃ無いんだからさ。」
特殊スキル
「町長さんも居ることだし、俺も名乗っとくか。アルディート・ポテンザ。カルムの
見た目にもわかる程に肩の力が抜けた一同へ向け、
ありがとう。どういたしまして。…と、互いに目で伝え合う。
「前置きはこれくらいにして、本題に移りましょうか。…これより、十日後に
すこぶる真面目な顔をこしらえ、静かに告げた。
『こいつは一体何を言っているのだろう?』
そう言いたげな顔で、
この世界の常識では有り得ないことを言ったのだから当然とは言え、
そんな
「
あ、そっちで呼ぶんだ。
と、そんなことより。まずは町長の問いに答えなければ。
聞かれずとも話すつもりではいた事だ、
「僕には、“
できるから信じてください!などと単純な言葉で押し通すよりは、実例も
「では…ここに居る者達も同様に、結末を差し替えることが可能だと…?」
「はい。ですが、どう
「しかし、その者がこの先歩む可能性のある未来であれば、オレオル殿のお力で…」
「えぇ。とりあえずここに来る前の段階で、その可能性を
「もしかして、
町長の隣に座っていたエトバスが、言ったことの意味を察し声を
笑顔で
「
「っ!敵が前もってわかっているのなら対処できる!俺たちが…っ!」
「
「君たちが戦闘に参加すること自体が書き換えの
「だが、町を守らなければ。俺達だけじゃなく住民にだって被害が
「確かに。君たちの書き換えを終えた後も八十六人が僕を待っているし、十二人もの戦力を削れば、死なずとも
アルの
僕も片手を腰に当て、自信満々に笑って見せた。
「
「いや、Sランク超えが二人居るとしてもだ!
それぞれ思うことは同じか。懐抱の効果も及ばず、不安と焦りが広がる。
「予言…ってほどじゃ無いんだけど、勝つのは確信してるから安心して。だいたいそうでもなきゃ、寿命を
町長も居るから敬語でと思って序盤は意識していたものの、エトバスへ受け答えているうち気付けばいつもの
「あとは、
「これはアンタ達の魂を預かるあたしからの命令だ!以降、
言っていることはハチャメチャだけど、泣きそうな声で彼女の必死さは伝わった。
改めて、救世主が救うのは“
十二人分の覚悟を
「じゃ、
何より、こういうことにはルクラさんが厳しそうだもんな…
「えっと…誰からやるのか、順番はそっちで決めてもらえる?あと、できれば一人ずつ別室でお願いしたいんだけど。」
「向かいの応接室を使っとくれ。順番は…エトバス、まずはアンタだ。」
「え?…あぁ、わかった。」
ルクラさんに指示され眉をひそめるも、仕方ないといった顔で了承する。そんなエトバスとアルを連れ、応接室へと場所を移した。
向かい合うソファーに腰掛け、エトバスは頭を抱え深く溜め息を
「はぁ…。まさかここにきて、
「ん?どういうこと?」
僕へ向けテーブルに呼び出した“
顔を上げると苦笑して、左手首に着けていた銀製のバングルをテーブルに置いた。
裏面には文字が刻まれている。エトバスの名に続いて何か意味のありげな記号、更にその後ろには『ルクラ』。
もしかしてこれは…
「なんだ、あんたら付き合ってんのか。」
あれこれと考えるまでも無く、あっさりとアルが言った。
なるほど、それで
エトバスは立場上、書き換えの順番は自分よりも若い者からと考えていたのだろう。けれどルクラさんにしてみれば、エトバスは副団長であるより前に最愛の恋人。全員救うことに変わりは無くとも、優先したくなるのは当然である。
「俺が早く死ぬのは入団の時点で伝えていたんだ。けど、あいつはそれでも構わないから
再びそれを左手首にはめる顔はこの上なく幸せそうだ。
「…おや?カルムくん。
「そんなわけないだろ。」
即答を受け、喉を鳴らし笑った。
女性経験の無い僕の前で堂々
昨日僕らと会って
いや、いくのか?たとえ
でも彼らには、そういうところも含めて受け入れ愛せる何かが、お互いにあるってことなんだろう。
何と言うか、恋愛って難しい。
気を取り直し、エトバスの“
その全文は短く、こう
『エトバスはその日も、愛する者と共に仕事に
変わらぬ日常。町も畑も平和そのもので。
美しく広がる景色は、彼の心を
その力はあまりに
耐え
三十二歳を迎える年
七月三日
十時四分』
教会では対象者の死亡日時にばかり注目して、記録された物語の内容までは見ていなかったけど。エトバスの物語を読めば恋人が居ることも、それが一緒に働いている人物だってことも
後半はなかなかにヘビーな内容ではあるものの、どうせ無効になるものと思ってみ見れば“
当てられて溜め息を
「でも良かったね。これが済めば、二人の将来を考えることもできる。」
「将来か。くくっ…それもそれで気が重いな。」
「嬉しそうな顔してよく言うよ。で、どうする?最長で七十八年。
「あぁ、それで頼むよ。もう、あいつより先に
「了解。」
この部屋で向かい合って以降のエトバスが、あまりにも純粋で可愛らしく思えて、つい笑ってしまった。一生を
脳内に浮かび上がるイメージの中で、先程確認した内容への書き換えを
が、いざ後半の死因に関わる部分に差し掛かったところで、
ひょっとして、まだ制限が解除されていない…?
「ねぇ、エトバス。
目を細め
「っ…。い、いやぁ、カルム君が心配でね。少しでも力になれればと思ったんだよ。それに…」
あー…はいはい。恋人を町に残したまま自分だけ
どこまでも
「はぁ…。ルクラさんも連れてっていいから、大人しく!
「ぁはは……、すまない。」
いや、別に取り乱しているわけでも無いのに、こっそり触れて
「ったく…。続けるよ。」
そこからは実に順調。
「お疲れ、一人目完了だな。」
のし掛かる
エトバスは書を手に取り、じっくりと“
「すごいな。本当に丸ごと書き換わってる……」
何の
己の
「ありがとう。心から感謝するよ。今
「いいよ別に、何か貰おうと思ってやったわけじゃ無いし。」
「そうは言っても命を救ってもらったんだ。礼の言葉一つ言ったくらいでは、おじさんの気が
「あはは、こんな頑張ってるんだし、数日滞在する部屋くらい町長さんが用意してくれるでしょ。」
「いや。カルム君はこの後、他の連中の“
そう言って、少々意地悪に口角を上げる。
サービス精神旺盛な女性に囲まれるのは僕だって嫌いじゃないから、その点のみ取ってみればちゃんとご
「逃げられそうに無かったら、
「くっくっくっ、了解したよ。
「ぅえぇ。薬が必要になる前に助けてよ…」
かなり切実な僕の訴えとは裏腹に、二人は
和やかな
「さてと。他の
削られた魔力はアルに満たされ、以降の動きに影響が出る程消耗している感じも無い。これならば、続け様にでも問題は無さそうだ。
「無理をさせてしまって申し訳ないが、引き続きよろしく頼むよ。必要なものがあれば遠慮なく言ってくれ、
「あ、それなら。全員済んだ後でいいから、団員の中で回復魔法が得意な人を
午後は教会でも書き換えを行うつもりだが、それより前に休憩を兼ね昼食を
“
「回復魔法?得意と言うなら、リッドがケアを使えるはずだが…」
「ケアを!?…すごいな。是非協力して欲しいと伝えておいて。」
「あぁ、わかったよ。それじゃあ、また後でね。」
次の対象者と交代するため、エトバスは部屋を出て行った。
それにしても、ケアを使える者が居るとは予想外だ。教会で自由に使っていいと言われたケアを込めた魔籠石も、町外から仕入れたものと思っていたのに。自警団で補充できるのだから、
普通の人間なら生力を完全に満たすのもヒールで
僕も一応習得可能ではあるものの教えを
「そうだ。町の人達の書き換えの時、リッドに回復を担当してもらうってどうだろう?一日何人って区切らずに、なるべく詰めてやりたいからさ。」
「まぁ、ケアが使えるなら効率はいいだろうな。使った分の
問題はそこだ。回復魔法を使ってもらうだけならまだしも、
「アルが了承してくれるなら…」
「俺は教会の人らより、リッドのが信用できるかな。てかカルム、俺の力がバレないように気を遣ってくれるのは有り難いけど、
「え…それはちょっと困る。」
「リッドには後で俺からも頼んでみっか。ま、受けてはくれるだろうけどな。」
それから、残りの十一人の“
「ほぼ全員百十歳前後の
寿命を延長できると言っても、その人が進む可能性のある未来から選択し差し替えるだけ。誰もが
「
「うぅ…。僕はもう、アル無しでは救世主を名乗れない。一人では何もできない人間なんだ…っ!」
弱い自分を
「あ~あぁ。感情移入し過ぎてだいぶ弱ってるだろ。午後からもやるんなら、今日は二、三人くらいにしといた方がいいぞ。そんなだと夢魔に
そんな忠告を受け頭を起こした。
アルを見れば、思いの外に真面目な顔をしている。
「夢魔?って…インキュバスとかサキュバスとか言う…」
「知ってんのか?」
「あ、いや、この世界のは知らない。前世でも同じ呼び名の悪魔が居たってだけで。」
実際には神話の中で登場したり、僕の場合はエロゲで少々お相手していただいてたわけだけど。アルの
「男のカッコしてるのがインキュバスで、女がサキュバス。前に王都で聞いた話だと、無害な連中は人間の多い街で酒場なんかを開いて暮らしてるらしい。ただ、あちこちに野生のが居てさ。
「え?この町にも居るってこと⁉︎」
「あちこちに居るって言ったろ。討伐依頼が出るくらいだし、ここのはだいぶ悪質なんだろ。それに、光魔法か精神干渉系のスキルを使えなきゃ、魂に取り
光魔法に精神干渉系のスキル。光魔法については僕も低位のものは使えるけど、悪魔相手にそれじゃ太刀打ちできそうも無い。でも、アルなら基本属性が光だとギルドでの基礎データ提出時に出ていたし、きっと光の上位魔法だって使える。ならば最悪僕が取り
「…アルが居れば大丈夫!とか思ってるだろ。」
「へ?い、いや、そんなこと。そ、そもそも!僕が気を強く持って、付け入る隙を与えなければ良いんだから。大丈夫、大丈夫。あははは」
あからさまに動揺する僕の両肩を掴み疑いの目で見てくる。アルには僕がかなり
「光魔法で取り
「ハハハ…。お手数おかけします。」
何から何まで頼りきり。申し訳なくて頭を下げる。
しかし、そうか。もし取り
アルだって、仲間を攻撃したくは無いだろう。結界を張ってもらったとしても油断しないようにしないとな。要は気の持ちよう!
両頬を強く抑えて持ち上げ、溜まった感情を押し出すように強く息を吐いた。
ドアがノックされ、どうぞと返し入ってきたのはエトバスとリッドだ。外に立つ町長の秘書からティーセットが乗ったトレーを受け取ると、すかさずドアを閉める。
あまり
二人を向かいに座らせ、置かれた紅茶を
ルクラさんを含めた他の団員と町長は仕事へと戻り、この件の礼は改めて夕食の時に…とのこと。そう言われては流石に断れない。町の長が居る場であれ程までに
「あの、
瞳を輝かせ、前のめりでリッドが言う。
だいぶ僕を見る目が変わったな。
小動物感が増しているように感じて、思わずお
「アル、エトバスも居るけど、いい?」
「おや、おじさんが聞いてはマズい話だったかい?」
「いや、いいよ別に。さっきも言ったろ、あんま神経質になるなって。カルムが問題無いと判断したんなら、もう
僕の仕事の様子を全て見ていたせいか、とんでもなく信用されてしまったようだ。急激に信頼関係が築け嬉しい限りだが、ホントのところ自分で判断するのが面倒になっただけな気もする。
「まぁ、アルがこう言ってるし。口止めしたものを二人が
「了解っす!」
「あぁ、俺も。了解した。」
書き換えで消費した僕の
「とりあえず、リッド。アルの
「さんじゅっ…⁉︎いや、オレ自警団の中でも
「
相手の了承も得ずにアナライズを使うことは無い為、平均的なステータスを知ることも無かったが、冒険者Aランク
「まぁまぁ、詳しいことは後で。
「いや、意味がわかんないんすけど。まぁ、カルムさんの言う通りにはするっすけど…。」
“
十回を終えたあたりでアルがリッドの肩に触れ、
リッドもエトバスも困惑の表情であったが、リアクションは後回しに三十回きっちり唱え―――
「ありがとな♪」
アルはそう言ってリッドの頭をくしゃくしゃと
どうやら説明は僕に丸投げか。リッドにもこの後の書き換えでサポートに加わってもらおうって話、俺からも頼んでみるとか言ってなかったっけ?まぁいいけど。
頭の中は、もうランチのことでいっぱいの様子。手短に済ますか…
「じゃあ、説明するよ。“
「あ、だからさっきの…」
「そう。アルは自身のエネルギーを
「あぁ。それに、俺達が感謝すべきはカルム君だけじゃ無いってことも知ったよ。ありがとう、アルディート君。」
二人が揃って深く頭を下げる。
「いいって。俺は美味い飯と酒がありゃ十分。夕飯期待してるな♪」
「厨房に連絡しておくよ、酒も食材もケチるなってね。」
外見の好みの問題で、アルに対し完全に僕のついでといった態度をとっていたエトバスだが、どうやら認識を改めたようだ。僕へ向けるのと変わらぬ好意的な顔でアルに返した。
さて。以上の説明を踏まえ、リッドにはこれから二件協力してもらわねばならない。
とは言え、リッド自身は直接僕らに恩があるわけでは無い。当然後で
彼が何を望むのかを尋ねた上で、午後以降の書き換えに
協力は惜しまないし、
「あ。この件が終わるまでは、リッドも救世主の一人ってことになるね。」
「えぇ⁉︎なっ、何言ってんすか!オレはただの助っ人っす!お、おお恐れ多くて、なんかもう…吐きそうなんで……やめて欲しいっす。」
顔色悪く、口元を両手で覆い背を向ける。
思いの
「ごめんごめん。立場的なものは本当に気にしなくていいから、仲間を助けるんだと思ってよろしく頼むよ。」
「だそうだ、リッド。お前はホント小心者だな。こっちの仕事は心配しなくていい、せっかくだからカルム君に付いて
「うえぇぇ……」
エトバスに肩を叩かれ、涙声で
仕事の他でも一緒に過ごすってのは親交を深めるのに丁度いい。
ハンバーグステーキでも
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