第3話 混沌と雑踏

「おりゃーー!」


「な…何!?」


俺は思った。




(10秒目を合わせることができれば、何とかなりそうだ)


ギリギリで避けていく!




1…2…3…4…5…6…7…8…9…10!!


「いくぞぉぉぉ!!」


(あせるな!俺の体よ!言う事を聞いてくれ!)


その瞬間!剣を振りかざした!


「ぐわぁーーー!」




ハモンドは笑っていた。




ほんの僅かの瞬間で相手を仕留めた。


これが、彼への挑戦状の始まりだった。




「よし、終わった終わった!


飯行こうぜ!飯だ飯!」




と俺が行こうとすると9番が呆れた顔でこちらを見ている




「ちょっとまって8番!あんた戦いの余韻とかさぁ、そういうのない…」




「余韻?そんなもん…。」




後ろの方を指差して。




「その辺に置いてきた。」




1秒ほど間があく。




「は?え?な…何言ってるのか分からない。だいたいあんた鈍感すぎんの!」




ラシード副王妃が後ろから様子を見るように…




「あ…あのー。」




8番が慌てた様子で




「は、はい!なんですか。どうかしました?帰るのでしたらどうぞ!」




副王妃が言いにくそうに




「そ…そのー。う…う…」




「う?」




「靴にう○こ付いてますよ!」




8番は、一瞬キョトンとした顔をしたが、ふと我に返って。




「ぎゃーーーーー!う…う○こついてんじゃん!え?う○こ、う○こ、う○こだぁぁぁぁ!」




ふと、9番を見て。




「えい!」




「キャーーーッ!きっ汚い!付けないでーーーッ!おりゃーっ!」


ペチン!8番を殴った!




「おふっ!おえっ!かっ!けはっ!」




8番は血だらけだ。




「そ…そこまでし…しなくてもっ!仕返しだーー!えーーいっ!」




─10分後─


9番も8番も息が切れて疲れている。




「はぁ、はぁ、お…ま…えっ…のせいで、はぁ、はぁ、疲れたじゃないか。」




9番が腹を押さえながら、




「ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ、つ…つか、ブハッッッ!!」




誰かが後ろから、




「お二人さん。何バカやってんの?ほんとにもー。」




「7番!いっ…いたのか!お前!」




「な…7番くんッ!ブ…ブハッッッ!!」




7番が失笑しながら、




「だ…大丈夫か?う○こごときでそんなことしなくても…」




─10分後─


靴を洗っている。




「本当にもう!なんでう○こなんか…。もう!」




7番が心配そうに9番を見ている。




「だ…大丈夫か?」




9番の腹部から血が出てきている。


8番が自分を指差して。




「お…俺のせい?」




「い…いや、コイツっ!心臓がな、ない。」




すると、副王妃がピンときたような顔で、




「お…恐らくですが。先程戦っている途中、何やら異常な感覚がありました。ハモンドが関わっている可能性が高いです!心臓を触っていたので…。」




7番は一瞬で状況を理解した!




「そ…そんな!だとしたら、その時に、攻撃の判定が出るはずです!でも…今来たということは…。そ…そんな能力が…あいつに?」




副王妃は首を振って、




「いえ、その可能性は低いです!なぜなら、私は彼を見てきていますが、能力はすでに1つ備わっていました。彼の能力は人の心に干渉する能力です!能力の上限は1つのはずです!2つ持てるはずが…。」




8番が疑っているような顔で、




「神様と合体すると、相手の気配が分かるのですが、俺が、戦ったとき少なくとも、時間に関わるような能力は感じませんでした。」




「じ…じゃぁ、ど…どうして。」














─30年前─


ハモンドの住んでいた所は、一番最下層にあるアルカナという街だった。


街といっても、ゴミ屋敷のような家とも言い難い、錆びた建物が立ち並んでいる。


そんな貧相な街で産まれたのがハモンドだった。無能力だった。


だが、残念な事に4歳の時…




「せめて、お前だけでも生き延びろ!」




両親は、家を襲撃され亡くなってしまう。


ハモンドは、無慈悲に殺された両親の姿に涙した。


だが、そうしているのも束の間、食料がなくなってしまいました。




「食べないと…な…なにか、食べるのものは…。」




俺は、必死で探した。


だが、ひ弱で食料を奪うことができない。


そのまま30日が経過した。




「た…食べたーい…食べるものは……。」




食べ物がない。もう死にそうだった。そんな時…




「あ…あのー、大丈夫…ですか?」




「え!?」




「よ…よかったらこれ…。」




少女が差し出したのは、一切れのパンだった。




「で…でも、そ…それ、君のじゃないの?」




「ん…!」




あげると言わんばかりに差し出してくる。




「あっ、ありがとう。」




「ん…!」




少女は、パンを受け取ったのを確認するとすぐ帰っていった。




「な…なんだ。へ…変なやつ!」




それからというもの毎日、俺に食料をくれるようになった。相変わらず口数は少ないが、それでも、俺はそれだけで満足していた。


食料問題は解決したが、問題は風呂だ。風呂には流石に入らないと、気持ちが悪い。


近くの川で入浴した。


入らないよりマシだった。




そして、なんだかんだ16歳になった俺は、ある異変が起きてしまう…それは…




─end─

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