第2話 俺と尻ドラム部をやろう
この鳴沢高校では部活動の参加を積極的に推奨しており、新入生は体験入部期間という期間を設けられ強制的に部活動の参加を求められた。
スタンプカードのような用紙を渡され、毎日任意の部活に参加し、顧問の先生に印鑑を押して貰って担任の先生に提出……といった流れである。
俺は既存の部活へ入部するつもりは無かったが、折角の機会なので女子生徒と共同で活動を行っている運動部、もしくは女子生徒の活動を近くで拝むことの出来る運動部を選んでこの期間を過ごした。
俺は健全な男子高校生だ、目的は言うまでもなく女子生徒を卑猥な目で見ることだった。
運動部は体育着や特有のユニフォームを着用するため、身体のラインが強調されたり、制服に比べれば露出度だって高まる。
特に陸上部はユニフォームが群を抜いて際どい。クラウチングスタートの構えなんかはお尻のラインが堪らなかった。
バスケ部は動きが激しく、腕を伸ばした際に裾から見える脇も良かったし、胸の揺れも見ていて飽きなかった。なにより、ハーフパンツに浮かぶパンティーラインがエロい。
体験入部期間中は、イケナイ妄想に耽って毎日が寝不足だった。
さて、一週間ほどの体験入部期間が終了し、入部希望者を求めてそれぞれの部が勧誘活動を始めた。昼休みの廊下で陸上部の部長が新入生に入部を呼びかけていたときに、偶然そこを通る俺を呼び止めた。
「小森宙(こもりそら)くん、よく来てたよね。陸上部に入部しないの?」
「あっすみません、他に決めたので」
頭の中で何度も復唱していた断り文句を上手く言えたと思う。……言えてたよな?
そう、俺はすでに入部する部活を決めていたのだ。いや、正確には俺の求める部はこの学校にないから、新たに発足するのだ。
陽子のもとへ向かうため、隣のクラスの教室に入る。流石にクラスは別だった彼女は、クラスの友達であろう数人と机を並べて談笑しながら昼食をとっていた。
俺の入室に気付き不思議そうな顔をする陽子の前に立ち、俺は一つの提案をした。
「俺と尻(しり)ドラム部をやろう」
「しり……え?」
場の空気が凍り付くのを感じ取った俺は、慌てず落ち着いた態度で「返事は放課後でいい」とだけ言い残してその場をあとにした。
しかし放課後、彼女は先に帰っていた。
そして翌日、クラスでの俺のあだ名が「尻ドラム小森」になっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます