第20話 成果を確認しよう/竜と話そう
「というわけで、今日まで学んできたことをちゃんと活かせているかのテストをしようと思う」
「テスト、か」
「そう。今回はケイ兄さん含めた全員に、今まで学んできたことを生かして魔物と戦ってもらいます。危なくならない内はただ見守ってるだけにするから、気兼ねなく戦ってね」
俺が兄さん達に魔法の指導をするようになって早四か月。
さりげなく、俺は兄さん達から敬語を使われるという状況を脱するという成果を得ることができた。
さて、今回は森の奥にきて、入学試験を一週間後に控えている二人と一緒になって修行したファルブ兄さんの成果を確認しようとしている。
魔物を相手にし、どれだけ戦えるのか…或いは勝利できるのかを確認するのだ。
今回相手に選んだのは、『グラトニーベアー』という魔物。
雑食で、目に映る物全てを食べてしまう凶暴な魔物らしい。
魔法に対する耐性が他の魔物に比べて低いらしいので、魔法の成果確認には持ってこいの相手だろう。
「んじゃ、取り合えず三体ほど呼び寄せてみるから――」
「ちょっと待ってくれアレイ」
「それはやりすぎじゃないの!?」
「えー、大丈夫じゃない?だってもう皆は魔力量五桁の大台に乗った訳だしさー」
俺よりも短い期間で成長してくれやがった三人への恨みとかはまるで関係ないので悪しからず。
別に、俺よりも才能に溢れているこの三人に嫉妬して嫌がらせ的な意味を込めて、とかではないので悪しからず。
文句を言う三人を無視し、早速魔物…というか望む事を呼びよせる
このスキルは、発言に応じたフラグを建築し、即回収するスキル。
例えば、~~なわけないだろ、と言ったらそれがすぐに発生したりするのだ。
実際にフラグが建ったかどうかの確認はステータスウィンドウの右端で確認できるようになっているが、どうせすぐに回収されなければ建っていないとわかるのであまり意味は無い。
「『ま、どうせ狙った魔物が三匹まとめて飛び出てくるわけ無いんだし、気楽に行こうよ』…はい、警戒してねー」
「は、はぁ?気楽にいこうって言っておいてなんで警戒なんて―――ッ!?」
「この地響き…マジか!?」
草木の向こう側が、やけに騒めいている。
まるで何か巨大な物がこちらへ向かってきているようだ。
どこか気の抜けた態度だった三人は、途端に武器を構えて音の方向を睨みつけた。
いい反応だ。
できれば自然体を装いつつも常にこれくらい警戒態勢でいて欲しいくらいだけども。
「おぉ、グラトニーベアーだね。運が良いよ、ちょうど三体だ」
「う、嘘だろ!?」
「――やるしか、ない…!『
杖を構え、魔法を発動するルフェイ。
すると今にも三人に飛びかかろうとしていた魔物達が一斉に動きを止め、その場にへばりついた。
急激に気温が上昇した影響で、体が追いつかなかったのだろう。
今はこうして敵の前にも関わらず無防備な姿を晒しているが、もう五分も経たないうちに復活してしまうはずだ。
…と、まずは杖の有用性について説明しなくちゃいけないな。
特殊な加工を施した杖や指輪等は、魔法触媒と呼ばれる。
それらを使って魔法を使用すると、魔力の消費を抑えることができるようになり、魔法消費効率と合わせれば、どれだけ魔力の絶対量が少なくとも大魔法を使う事すらできるようになるのだ。
この世界の人達の魔力量が少ないのに、魔法の文化が衰退していないのはこのためである。
俺も今、自分専用の魔法触媒を用意中なのだが…鍛冶の腕等をかなり磨いたはずが、中々いい物が完成せずに困っている所。
それさえ完成すれば、支配魔法だって脳の負荷以外はまるで何も気にせずに使う事ができるようになる。
「ケイ!ファルブ!早く攻撃して!」
「っ、『
ルフェイの言葉に反応し、ケイ兄さんが剣に鉱石を纏わせて突進する。
カウンター用の魔法だが、剣に纏わせることで攻撃に転用できるようにしたのは兄さんの発想の勝利だろう。
最初その発想を聞いた時、無言で殴っちゃったもん。
なんでそんなのがパッと思いつくのさ。
「Guaaa!!」
「チッ!『
ファルブ兄さんの攻撃で、ケイ兄さんを背後から攻撃しようとした一体が体を氷柱に貫通される。
ケイ兄さんの攻撃を受けた魔物の方は、鉱石が頭に突き刺さって絶命したようだ。
――い、一撃ですか…
「『
「Gyaa!?」
「止め行くぞッ!『
未だに氷柱の痛みに悶えていた魔物と、ルフェイの魔法によって怯んだ魔物。
その両方の首を、ケイ兄さんが切り落とした。
戦闘終了まで約二分って所か。
入学試験を目標とするなら十二分なレベルだろう。
「うん。良いんじゃないかな。コンビネーションでは十分な結果を残せてると思う。――って訳で、今度は皆分かれて行動して、制限時間以内に何匹の魔物を狩れるか競い合ってもらいます」
「単独での戦闘能力を測るわけか」
「うん。やり方は本当に自由だから、罠を設置するとかでも勿論いいよ。あくまで今回重視するのは結果の方だからね」
それだけ説明すると、三人は一度顔を見合わせてから大きくうなずいた。
今度は文句を言うつもりもないらしい。
時間がかからなくてこちらとしても助かる。
「それじゃ、早速スタートって事で。終わったら呼ぶ…というか勝手に皆集合するから、気にせずやっちゃってね」
「あぁ。――負けんぞ、ルフェイ姉さん、ファルブ」
「へっ、こっちのセリフだね兄さん」
「…焦らず、マイペース、マイペースに…」
アイテムボックスから椅子を取り出して腰かけた俺に、頷いて返す三人。
後はそれぞれが思い思いの事を言いながら、森の奥へと入っていった。
――さ、どんな結果になることやら。
※―――
『
現在は、なぜか巨大な竜が俺を睨みつけてきている。
――え、なんで?
「えーっと、なんの用ですかね?」
どうせ聞いても無駄だろうが、取り合えず声をかけてみる。
竜種は確か、人の言葉を理解するだけの知能を持ち合わせた存在だったはず。
恐る恐る声をかけると、竜は俺を見下ろしながらも脳内に声を響かせてきた。
『人の子よ。我は竜である』
「…は、はぁ」
質問の答えになってない。
竜、だから何だろうか。
出会えるだけでも奇跡レベルって言われてるくらいだし、それ相応の喜ぶ姿を見せるべきだったのだろうか。
…でもなぁ…どうせこの後世界中回る予定だったし、いずれドラゴンと遭遇するつもりではあったから、あんまり狂喜乱舞できない。
どちらかと言えば、後の楽しみとして残しておいたものが無くなってしまった残念感の方が勝っている気がする。
「…竜なのはわかりましたけど、それでどうしたって言うんですか?」
『竜とは常に世界を飛び回り、人の暮らしを見守り続けている存在。故に食事等をとることも無く、常に――』
「腹が減ったって事ですか…そこに珍しい飯を食っている人を見つけたから、声をかけてみたと」
『つまりは、そういう事だ』
なんだ、飯が食いたかっただけか。
食事との交換ならそれほど時間も消費しなくていいし、いくらでも分けてやって構わんだろう。
何より食事は複数人で楽しむ方が良いからな。
前世じゃ、家族全員でしか食卓を囲んでこなかったくらいだし。
「じゃあ、取り合えずそこら辺にでも着地しておいてください。食事は…食べさせましょうか?その手じゃ、難しいでしょうし」
『いや、構わん。この姿では味わえるものも味わえんのでな。人としての姿を取る事にする』
人としての姿?と疑問符を浮かべると、目の前の竜が突然光に包まれた。
あまりの眩さに目元を闇の魔力で覆うも、その時には既に光は消え、人が立っていた。
…本当に人になったのか。
「む、地に足をつけるのは久方振りだが…やはり変な感覚だな」
「まぁまぁ、座っちゃってくださいよ。どんな料理が食べたいです?」
がっかりはしているが、それでも珍しい存在に会えたという事に変わりはない。
できれば少しくらい、竜からしか聞けないような話をしてもらいたい。
髭の生えた白頭の老人に、俺はこれでもかとばかりに下手に出るのだった。
※―――
「えぇっ!?本当は竜じゃ無いんですか!?」
「うむ。我はあくまで竜人族の者。真の竜種とは似て非なる物よ」
最初の内は素面の状態で話させていたが、あまりに情報を吐かないので酒を飲ませてみた。
すると、開始後秒くらいで酔いが回ったらしく、すぐに衝撃情報を吐いてきた。
いやいや、コイツあんだけ威圧感満々で竜種であるとか言ってたくせに、違うのかよ。
竜人族って、それほど珍しくもねぇ奴だし。
感動を返してくれよ。
「そう落胆を表に出すな。代わりと言っては何だが、竜人の里の話をいくらかしてやってもやぶさかでは」
「いやどーでもいいんだけど。竜人の里の情報なんて、それこそ軽い日帰り旅行のガイドみたいな奴にでも書いてるでしょ」
「きゅ、急に反応が雑になったな……しかし安心するがいい。今回話すのは訪れた際にお勧めの場所等ではなく、もっと込み入った…深い内容の話だ」
自信満々にそう言ってのけ、俺の返事を待つことなく話始めた老人。
正直俺はまるで聞く気が無かったが、その内容があまりにとんでもない物だったのですぐさま真剣に聞くことになった。
…まさか、里の長の話とか、そういう内容を全部話すとは思わなかった。
「長は病気で先が長くない上に、一人娘が聞かん坊で皆を困らせ続けてて…その上その娘がある国の王子の元へと嫁がないものだから、戦争が起こるのではないかと危惧されている…ねぇ」
「その通り!そして、最も業務を押し付けられているのがこの我、先代の長なのだ!」
「ただの一般市民かと思ったら超ビッグな立場じゃねぇか!?」
顔を真っ赤にして、酒臭い息をまき散らしながら愚痴をこぼし続ける老人。
その内容は、明らかに俺みたいな初対面の男に話していい物ではない。
どんだけ鬱憤溜まってたんだろこの人。
「まったく、シェラ嬢にはいつもいつも面倒ごとを持ってこられる…なぜ毎回毎回我が対応せねばならんのか。向こうの国王と対談したのも、結局我だったではないか。何が先代の長だからー、だ」
「シェラ、ってのが今の長の娘さんですか?」
「あぁ。本名はシエラディナ・ヴィスタン。つい先日十一歳を迎えてな…見た目は良いし、黙っていればそれはもう絵画のような少女なのだが…」
「非常に騒がしいと」
「そう!騒がしく、言う事を聞かず、掟すらも平然と破ってのける!何とも非常識で迷惑な奴か!」
ぐびっ、と残っていた酒を飲み干し、テーブルに叩きつける。
どんだけストレス溜まってるんだこの爺さん。
しっかし、最近十一歳になった、ねぇー…俺と同じ歳か。
俺は数えるのも億劫になるくらいの精神年齢だから落ち着きという言葉の擬人化みたいだが、一般的な十一歳なんてまだまだ我儘盛りなんじゃ無いのか?
夢見がちな所だってまだまだ抜けきってないだろうし、政略結婚せずに、心に決めた相手と結婚したいんだろうさ。
現実はそんな夢がかなう場所じゃ無いんだけどな。
「でも、まだ十一歳なんだろ?だったらまだまだ遊びたい盛り…っていうか子供っぽさが抜けきらなくて当然じゃねぇか。何も問題はねぇだろ」
「いいや!ある!――相手国の王子の方は、「まぁまぁ、こうやって抵抗される方が燃え上がりますので。限界まで抵抗させて、その後結婚してから従順にさせていきますよフヒヒ」とか言っているが、あの獣のような瞳は我らの里を限界まで食いつぶす者の瞳だった!」
「食いつくされるのはシェラとかいう女の体だけだと思うんだけど。ってかその言葉はどっからどう聞いてもただ変態が喜んでるだけなんだけど」
「ふん、見た目も子供なら考えも子供のようだな。実際にその場に居れば、あの王子の真意等誰でも気づけよう」
「おっと意地でも自分の発言を撤回するつもりは無いタイプだなコイツは」
落雁を齧り、抹茶を啜りながら話に興じる。
程よい甘さだ。模様になっている菊の花が雅さに拍車をかけている。
「…で、その嬢さんの方はどうする気なのさ?」
「可能な限りの抵抗を行うと言って聞かず…何とか力自慢たちを使って檻に閉じ込めてはいますが、それもいつまで持つか…」
「長の娘を檻に閉じ込めてまで結婚させるのかこの世界」
「政略結婚は多くの者を幸せにする最高の手段。政において欠かせぬ事だろうに」
否定はしない。
結婚する者同士は不幸になるのが殆どだろうが、他の人からすればその結婚によって両者の関係が深まり、利が多数生じるんだからな。
「――そ、そうだ!なぁお主、シェラを攫ってはみんか!?」
「口調変わったね爺さん……で、なに?俺が、なんだって?攫う?」
「そうじゃそうじゃ!それが良い!」
「
さっきから息継ぎ代わりかと思うくらいに酒をガバガバ飲んでるせいか、さらに爺さんがおかしくなっていった。
言動も口調も支離滅裂なのやめてくれよマジで。
会話が成立しないのって最もストレスなんですぜ、文明人にとって。
「お主に攫われた、という事にすれば相手国の怒りを浴びるのはお主に――」
「何出会って間もねぇヤツにとんでもねぇ濡れ衣着せようとしてんの!?」
「え、えぇ~…でも、そうでもしなきゃ…現長だって、政略結婚問題について何もしようとしないしー」
「…はぁ…あのさぁ、俺だって家族とか色々いるんだよ。この歳だけど三人と結婚してる…というかする予定だし。それなのに国一個滅ぼせって?俺の家族に風評被害が及んだらどー責任取るつもりだよ。里もついで感覚で滅びんぞ」
「…ま、待て。なんだ滅びるとか滅ぼすとか。お主一人でそれが可能だとでも?」
「冗談だと思うならそれでもいいけど、本当にやる気なら竜人も人も沢山死ぬよ」
ちょっと酔いが冷めた様子の爺さんに、抹茶を味わいながら毅然と告げる。
あの空間に居た時からわかっていたことだが、真面目に俺の命に対する考え方が悪くなっている。
以前ならこんな簡単に虐殺を是とすることは無かったはずなのに。
力を持ったからか?
長い時を過ごし、精神が疲弊したからか?
それとも、別の要因が?
答えはわからない。
ただ、俺が以前の俺よりも異質な存在だという事に変わりはない。
「……ってか、どこの国の王子と結婚させる予定なのさ」
「ローダンリン公国の、ガイガー王子だ」
「え、あの豚王子!?」
ローダンリン公国は、複数人の貴族(元々は別々の国で貴族をしていた)によって政治が行われている国だ。
なので、王に当たる人物が複数おり、さらにその子孫となると数が倍以上に上る。
そして件のガイガー王子は、髪の薄い頭と豚のようにでっぷりとした体、常に油で輝いている顔等と、男女問わず生理的に遠ざけてしまうような見た目をしている男だ。
聞いた所によると、毎晩のように娼婦を呼び、それはもうハードコアなプレイに興じているとの事。
ただこだわりも強いらしく、とある娼婦の話では恋人のように振舞うような事を要求された挙句、行為中はひたすら名前を呼ばさせられたというのがある。
その性に対するこだわりは同じ『性欲に踊らされし者』として尊敬に値する所がある。
「あぁ、そうだ。あの豚王子だ。――前に外交の場へ連れて行った時に一目見て、大層気に入ったようだ。シェラは見た目は良いからな、見た目は」
「はっはーん。なるほどな……これは拘束されながら好き勝手されて陥落するタイプのエロ漫画の展開の導入ですねわかります」
「む?今、なんと?聞きなれぬ言語を使われたようだが」
「なんでもないっすよ」
十一歳になっても、まだこの日本語で呟く癖は抜けていない。
誰も日本語を理解できる人がいない訳だし、全然問題ないよねって思い始めている自分がいるな。
「そういえば、お主は誰だ?まだ名前すら聞けておらなんだ」
「ん?俺はアレイスター。アレイスター・ルーデンスだけど。ここ、バンデルセン王国の貴族の、ルーデンス家の三男坊」
「――はぁぁあッ!?ルーデンス!?あの!?」
「だからどのなんだよ…」
俺の事を指示語で例える人が多い気がする。
名前にアレって入ってるからか?――いやすまんて。そんな目で見ないでって。
「……あっ、そうだ!!これならいけるぞ!!」
「だから攫わんって言ったろ」
「いいや違う。そんな浅はかな考えはもうせんぞ」
「へぇー……で、何ならいけるのさ」
「お主と政略結婚させればよいのだ!!」
「テメェ脳に結石でも溜まってんのか」
何言ってるんだこの人。酒のテンションがぶり返したのか。
この爺さんと会話していて一番の冷たい眼差しをするも、奴はまだまだ高揚しているままのようだ。
一回ぶん殴って気絶させた方が良いか?
…ってかこのまま殴って竜人の里まで吹っ飛ばしてもいいか?
「実はだな。まだ正式には結婚すると決まっていないのだ」
「え、決まってないのに豚王子はあんなやる気なの?」
「あぁ。ズボンを膨らませながらあんな事を言うくらいにな。――だが、実際は現長の体調不良が原因で口約束にすらなってすらいないのだ。だからこそ、まだシェラが抵抗しているともいえる」
なるほどなるほど。
相手さんがやる気で、明らかに国力が上だからもはや結婚した気になってはいるけど、実際はまだまだ両者間での話し合いが済んでいないと。
そんな状態で抵抗しただけで戦争が起こると危惧するとか、どんだけ臆病なんだこの爺さん。
ローダンリン公国の連中だって馬鹿じゃない。
今の平和な状態を崩してまで竜人の里を滅ぼすリターンが無いって事くらいわかってるはずだ。
寧ろ他の国から攻撃される理由を作るような物。
するとなれば、それは豚王子が下半身直結の政治を行った場合くらいだろう。
「…で、どーしてそこで俺と政略結婚させることになるのさ。態々他国の俺に頼らなくても、結婚の予定は無かったので、自国の者同士で恋に落ちてしまい…で良いじゃん」
「いいや、それでは怒りに燃えて攻撃してくる危険性がある。だが、結婚相手がかの大国バンデルセン王国の貴族の息子となれば話は違う。相手も迂闊に手を出せんだろう」
そもそも出すメリットがねぇから攻撃なんかしてこねぇって。
なんでそこがわからねぇのに重役みたいな事してんだよこの爺さん。
内心で毒を吐き、表情は凄く嫌そうなものへ変える。
というかそろそろ兄さん達に帰ってきてもらって、俺も家に帰りたいんだけど。
帰ったらこのストレスをエリーセに緩和してもらって、また愛を深めるんだ。
「しかもバンデルセン王国の貴族の中でも指折りの善き領主と名高いルーデンス家の三男!そこに難癖をつけれる者など、よっぽどのバカだろう!」
「そもそもお前の考え通りに攻めてくるような奴だったら前提の時点で馬鹿だろ」
「これは良い!なんと良いアイデア!早速里に戻り、皆に伝えねば!」
「えっ、ちょっと待て話聞けバカ!」
一瞬で竜の姿に変化し、上空へと飛び上がる爺さんに、無駄だとわかっていつつも手を伸ばす。
魔法を使えば何とかなるが、なんだかそれも億劫になって来た。
「…どーせ、竜人の里の中にいるまともな奴が指摘するだろ。俺はもう無視だ無視。――『そろそろ兄さん達帰ってくるんじゃないかなー?』」
食器や残りカスを全て『
――因みに、兄さん達の魔物狩り対決はルフェイの優勝だった。
毒薬と罠を利用して、大量に倒したのだとか。
…ルフェイのその技能、入学試験の時に活きると良いな。
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