おっ?おっおっおっ?
ジャン!ジャン!ジャン!ジャン!
ピヨロロロロッロ、ピヨロロロロッ♩
パパパラパパッパ、パララララ~♪
「あれ?この音楽も、どこかで聴いたことがるような」
僕は、マーチングバンドが奏ではじめた音楽にも聴き覚えがありそう口にした。すると、僕の隣のおっさんが言葉を返す。
「ちょっと待って。踊ってる彼女ら、何か言っていますよ?」
踊りながら耳を澄ます。
「「「「「「「おっ?おっおっおっ?オッパ
「あ、江南スタイルだww!これ、江南スタイルだwww!」
「なつかしいなぁ、10年くらい前に流行りましたよね」
「あたし、知らな~い(By 8歳女児)」
踊りながら、僕らは嬉々としてそんなやり取りをした。
女子高生たちは、なおも独特な馬またがりダンスで、左手は腕時計を見ているように、右手は西部のカウガールのように頭上の投げ縄をクルクルやるように踊りつづける。時には腰に手を当てて、テトテトとその場で回転したりなんかして。
「「「「「「「Eh~ sexy lady♪おっ?おっおっおっ?オッパ
口を
「ちょwwヤバイ、ヤバイ」
「なんで?マジ、ヤバイ」
これは自分の意志ではないんですよ。自分と関係ありませんよと周囲にアピールするように言い合っているものの、だがしかし、踊りつづけているのだ。
「なんでワタシら、こんなことしてんの?」
「知らないよ!今さら江南スタイルなんて踊りたくないし!」
「せっかくなら、NiziUとかにしてよ!」
「それ誰に言ってんの?」
「じゃなくて!なんでワタシら踊ってんの?」
「わたしに聞くなし!」
踊りながらも(もとい、踊らされながらも)元気に会話する女子高生たち。パレードのように隊列美しくステップを刻み、しかし江南スタイルと言う独特な演奏をする高校生たち。そして、振り上げる足もバラバラに、顔をゆがめ
そして、それを取り囲み車載カメラやスマホの奥に身を潜めた死んだように無感情な半分顔のない人々。
「あ、ソーラン!ソーラン!」
「「「「「「「「「「ソーラン!ソーラン!」」」」」」」」」」
「ソーラン!ソーラン!」
「「「「「「「「「「ソーラン!ソーラン!」」」」」」」」」」
また別な集団が、歩道から車道へなだれ込んできた。
小中学生たちだった。小学生の数人が、その声とリコーダーで音頭を取っている。その後ろから、子どもたちが(中には大人たちも混じっているが)、身体を大きく左右に動かして、ソーラン節を踊っていた。
「あ~、ドコイショー、ドッコイショッ!!」
「「「「「「「「「「ドコイショー、ドッコイショッ!!」」」」」」」」」」
「あ、ソーラン!ソーラン!!」
「「「「「「「「「「ソーラン!!ソーラン!!」」」」」」」」」」
気がつけば、今や車で縁どられたこの円形劇場だけでなく、歩道でも、コンビニの駐車場や神社へとつづく石段でも人々が踊っている。町中の人たちが、タップダンスやらソーラン節やらラインダンスやらを踊っていた。
カオスだ……。
酸素が回らなくなりつつある頭で、僕はそんなことを思った。
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